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シネマ365日

2013年8月24日

ドミノ (2005年 事実に基づく映画)

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監督 トニー・スコット
出演 キーラ・ナイトレイ/ミッキー・ローク/エドガー・ラミレス/ルーシー/リュー

美貌と富と才能と危険

 テレビ・映画の情報サイトが、映画のなかでもっとも人を殺した女性は「キル・ビル」のヒロイン、ザ・プライドのユマ・サーマンで76人だとしていた。2位は「プラネット・テラーinグラインドハウス」のチェリー(女優はローズ・マッゴーワン)。続いて「キック・アス」のヒット・ガール(クロエ・グレース・モレッツ)、「ロング・キス・グッド・ナイト」のチャーリー(ジーナ・デイビス)、「ソルト」のイブリン・ソルト(アンジェリーナ・ジョジョリー)、「マトリックス」のトリニティ(キャリー=アン・モス)、7位が本作「ドミノ」のドミノ・ハーヴェイ(キーラ・ナイトレイ)、8位、9位10位は「アンダーワールド」のセリーン(ケイト・ベッキンセイル)、「シン・シティ」のミホ(デヴォン青木)、「センチュリオン」のエティン(オルガ・キュリレンコ)です。ベテランにまじって元気のいい若手女優が台頭しています。昔ロマンス今アクション。アクションというジャンルはすっかり女優の試金石になりましたね▼ドミノは10人劇中で殺したことになっている。実在の女性をもとにした事実に基づく映画であるがどこまでホンマか。ドミノとはイギリスの名優ローレンス・ハーヴェイの娘であり、裕福な家に育ったセレブのお嬢さんで、なにか気にいらないことがあって自分探しに賞金稼ぎの道に入った、というのがそもそも発端です。ちょっと人騒がせな「自分探し」じゃない? このときローレンス・ハーヴェイは他界していましたからさいわい、娘の逸脱ぶりは嘆かずにすんだ。母親はもとモデルで演じるのはジャクリーン・ビセットだ。ドミノに賞金稼ぎのイロハを教えるのがエド(ミッキー・ローク)、エドの弟分チョコ(エドガー・ラミレス)にアルフが加わった四人は、まるで兄弟姉妹のようなチームワークで絆を深めていく。肉親に縁の薄かったドミノは家族がほしかったのでしょうね。賞金稼ぎとは過去の西部劇のそれではなく、金融会社に保釈金を借りたまま逃走し、容疑者が期日までに出廷しないと保釈金は裁判所が没収する、よって金融会社は貸し倒れになるから、ネコババして逃走中の容疑者に賞金をかけつれもどす。ロバート・デ・ニーロが「ミッドナイト・ラン」で演じたのがこの賞金稼ぎです▼オープニング。ドミノがFBI捜査官タリン(ルーシー・リュー)の取り調べを受けている。顔は傷だらけ血だらけ、手には手錠、タリンは36時間前に発生した1000万ドル強奪事件の首謀者がドミノだと目星をつけた。ドミノの回想から映画は始まっていく。ロンドンの特権階級でドミノは不自由なく暮らしていた。4歳のとき父が死んだ。ローレンス・ハーヴェイは45歳の若さだった。母親は再婚相手を探すのに夢中。ドミノは15歳でトップモデルとなったが、人間関係がうまく結べずカメラマンやモデル仲間と衝突を繰り返す。ビバリーヒルズに移り、大学に進学しても空虚な毎日。ドミノの行動はエスカレートし、ある日ふと新聞で目にした「バウンティ・ハンター募集」に応募する。ハンター養成講座を受講したドミノはこの道のベテラン、エドやチョコと知り合う▼トニー・スコット監督はドラマティックにしすぎじゃないの? 作為がめだちすぎるわ。ドミノにしたってわがままなお嬢さんが、自分を打ち込む職業が見つけられなくて、賞金稼ぎという刺激にひかれて稼業とした。でも彼等の仕事とはどっちかいうととても地味なのよね。逃げて隠れて姿をくらましたネコババ犯をみつける、みつけて依頼人のもとに連れ戻し裁判をうけさせる。凶悪犯もいるから命を的のあぶない仕事ではありますよ、でも西部劇の撃ち合いが本来の目的なのではない。ドミノだってカッコだけは無頼風だけど、どこまで射撃ができたかこの映画ではわからない。それにキーラ・ナイトレイは彼女が登場すると「パイレーツ・オブ・カブリアン」と錯覚してしまう。「つぐない」でせっかくいい演技をしたのに、マ、あんまりアクション映画に色気をださないほうがいいな。ルーシー・リューと向い合って、尋問とそれを受けるシーンは完全にリューに食われていた。目の大きさなら細目のリューの倍くらいあるのに、にらみがきいていなかったぜ。対抗するならいっそアマンダ(サイフリッド)を連れてこいや▼実際のドミノは父親似の涼しい目で痩身。スキンヘッドの小さな頭に大きなリングのイヤリングが似合う、ひと目見るとハッとする暗い美人だ。自分を打ち込むべき何かがみつけられない不安が、賞金稼ぎというアウトローの要素に惹かれたのだろう。現実と融合できるすべを得なかったことが彼女の悲劇だった。彼女は美貌と富と才能と危険を持って生まれた。彼女が久しぶりに会った母親の家のプールで泳ぎ水から上がろうとして、自分を気遣わしげにみている母親に「愛しているわ」というシーンは胸が痛んだ。母親からたっぷりな愛情を注がれた記憶が、たぶん薄かったのだろう。

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