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特集「ディーバ(大女優)」

2013年9月15日

特集ディーバ(大女優) ヘレン・ミレン 第一容疑者 (1990年 犯罪映画)

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監督 クリストファ・メナール
出演 ヘレン・ミレン

主任警部J・テニスン 

 映画界広し、といえどこの映画のこの人物だけはどんな役者もリメークできないと思う作品が三本ある。クリント・イーストウッドのダーティー・ハリー。シガニー・ウィバーのエレン・リプリー。そしてヘレン・ミレンのジェーン・テニスンだ。ヘレン・ミレンの当たり役はエリザベス女王(1世・2世とも)のように思われようが、この人には犯罪もしくはアクション映画がたいへん多い。「コックと泥棒 その妻と愛人」では泥棒の妻、「サイレンサー」では女殺し屋、「ペイド・バック」ではスパイ、「鬼教師ミセス・ティングル」なんか最高で、ハーバード大学めざす優等生のケイティ・ホームズ(このあいだ離婚したけど、トム・クルーズの奥さんだった)をいじめ倒す。昔の殺し屋で大活躍だった「RED/レッド」。冷静沈着にみえながら気性が激しく「よくキレよく泣く」と自己分析している。頭にきて公衆電話のコードを引きちぎったり、感情が激しく攻撃的であると自分でも認めています。そこからいえば「第一容疑者」のヒロイン、ジェーン・テニスンは水を得た魚かもしれない▼警部(のち昇進して警視)のテニスンが、圧倒的な男社会の警察内部で、女性ゆえの偏見や差別にさらされ、またその強烈な個性ゆえしばしば反発をかいながら数々の難事件を解決していくという捕物帳。警察組織独特の手続き、内部の対立や矛盾をリアルに、詳細に描く「ポリス・プロシージュラル」というジャンルに属する。本作が好評だったため続く9話が製作されヘレン・ミレンの名は茶の間からイギリス中にいきわたった。46歳のときだ▼それまでのイギリス・ミステリーの伝統だった名探偵でなく、年中冷や飯を食っていた中年の女性管理職が、強引に自己推薦して捜査班のトップに就いたというのがジェーン・テニスンだ。自分は警察に勤めて長く成績も優秀、なのに男はホイホイ昇進するのにおいてきぼり、幸か不幸か(不幸に決まっているが)上司が発作で亡くなった。空席になったポストに自分をすわらせろと直談判するのである。こういう発想は不明にしてまだ日本のドラマづくりで見たことがなかったので新鮮でした。男ばかりの捜査チームのボスは露骨な嫌がらせに出る。指示を冷笑し返事も返さない。テニスンは泣いたか怒ったか? 冗談やおまへん。冷笑仕返し「不満があるなら異動届をだして。いつでも受け取るわ」出て行くのはお前だということですね▼難航する捜査と身内の非協力にテニスンは崖っぷち。内縁の夫は当初理解があったものの夜討ち朝駆けの刑事生活に「話をする暇もない」不満がくすぶり、あわれテニスンは前門の虎、後門の狼。どっちを向いても助からない。たった一人だけ自分を助ける(というより妨害しない)部下をつれ現場百回。娼婦が昼間からたむろする町に来る。女たちは冷たい。しかし被害者のなかには娼婦もいる、犯人は危険な異常者だ、あんたたちの協力がいる、助けてほしいと頼むテニスンにほだされ口を割る。テニスンは嬉しくなって「いっぱい飲もうか」「うちらといっしょでいいのかい」逆にものおじする娼婦たちを引っ張るようにして飲み屋に入った▼テニスンは事実とデータを積み上げ、妨害を排除し、内なる敵としのぎを削る。テニスン追い落としの先鋒は展開のない捜査に、これ以上女とは組めない、自分が代わって指揮を取ると上申する。一方であの「テニスンつぶし」は異常だ。そんな空気がでてきた。数少ない数人がテニスンを手伝う。彼女は犯人を上げる前に身内の執拗な妨害の原因をつきとめた。彼女をみる部下たちの視線が変わった。連続殺人事件の第一容疑者の本性は暴かれるのか。テニスンは全員を叱咤しあらゆる手段を駆使して証拠固めに奔走する。このへんの、ひとつもドラマ、ドラマしていない、大げさでないところがいいですね。最後はちょっとできすぎの感がありましたが(部下一同がテニスンを捜査から外さないでくれと嘆願書を提出する)それまでテニスンがのたうちまわっていただけに、男たちの理解に「よかった」という気になりますね。脚本のリンダ・ラ・プランテは女優から脚本家に転じた。日本では「凍てついた夜」「渇いた夜」などの、ハードボイルド作家として知名度があります。

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