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特集「ディーバ(大女優)」

2013年9月17日

特集ディーバ(大女優) ヘレン・ミレン 第一容疑者3 (1993年 犯罪映画)

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監督 デヴィッド・ドゥルーリー
出演 ヘレン・ミレン/トム・ベル/シアラン・ハインズ/ピーター・カヴァルディ

なんちゅうボスだ

 「お前なんかといっしょに仕事できるかい」と気に入らん男が上司になった殺人課から、転属願いを出したジェーン・テニスン主任警部(ヘレン・ミレン)はどこで仕事をするのでしょう。ということで「第一容疑者3」の彼女の配属先は風紀課。でもテニスンは事件のあるところどんどん首をつっこむ。これは風紀課の仕事じゃない、とストップがかかっても被害者の少年は未成年で売春の疑いがある、立派な風紀課の仕事だと馬耳東風。警察内部には蓋をしたい臭いものがあるらしく、テニスンの挙動を報告するためのスパイ役が本庁から送り込まれます。あとでこれが悲劇の要因になるのですけどね。本シリーズも「3」になると、登場人物たちの過去の関係もわかってくる。女の上司テニスンを嫌うあまり捜査から外されたオトリー(トム・ベル)が、なんと風紀課でテニスンの下に配属されている。オトリーはテニスンがガンガン指示を飛ばすと黙って受け、横を向きながらチラッと頬を緩める。その微笑は(おのれテニスン)ではなく(やれやれまた始まった、仕方ないなー)という彼流の彼女の認め方だとわかる。そこへテニスンの古巣サウサンプトン署から応援としてやってきたのが、ハスコンズ&リリーの二人。昔なじみがテニスンの脇を固めました▼ゲイの歌手ヴェラ(ピーター・カヴァルディ)のアパートで焼死した少年の事件を調べていたテニスンは、彼が売春でかせぐホームレスで、火事は放火、殺人と断定。捜査線上に慈善家パーカー(シアラン・ハインズ)の運営するアドバイス・センターと、ホームレスの少年少女を食い物にするジャクソンという男が浮かび上がる。売春組織と殺人が関係あるとにらんで事件を掘り下げてくるテニスンに、警察上部が不穏な動きを取り始める。少年買春には警察上層部の不祥事が隠蔽されていた。それをかぎつけた女性新聞記者がしつこくテニスンをつけまわす。とにかく本シリーズ「3」は登場人物も増え、人間関係も入り組んで重層的になってきた。そこへまあ、不眠不休で捜査に当たるテニスンが妊娠▼テニスンの上昇志向は馬触れれば馬を斬り人ふれれば人を斬る。警察の不祥事の真相をつきとめそうなテニスンを、事件からはずせと上部から指示がでた。テニスンは「犯人は今週にも挙げます。小児愛に耽ったあげく事件に関係した元副総監は自殺した。彼の過去を今さらほじくっても仕方ない。彼と同じ類の関係者はまだ内部にいるが、話次第では放っておいてもよい。しかしわたしを捜査から外したら黙っていませんよ」と上司を脅し上げ「上級職(警視)試験がありますが、わたしも受けるつもりです」ちゃっかりプレッシャーをかけるのだ。オトリーはテニスンの指示通り田舎町を探しまわって重要参考人を探し出し(これで証言がとれるぞ)喜びいさんで報告したとたん「わたしが会いに行くわ」とテニスン。「えーッ。おいしいところだけさらっていくのか、ボス」と呆気にとられるオトリー。上司は脅す、部下の手柄は横取りする、試験には受からせろ、いまは子育てどころじゃないワ…(もう、この人ついていけんなあ)と思いながらまた見てしまうのがテニスンなのだけど▼冒頭でふれた「悲劇の要因」ですが、テニスンの捜査が署内の内通者によって妨害され、迂回しているあいだに少年虐待事件の真相を告白した青年は裁判での証言を拒否して自殺、元警察官寮も自殺、自分が少年を殺したと思い込んだヴェラも自殺未遂、これらの不幸は情報の妨害さえなければ防げたとテニスンは怒る。ゲイや少年愛好者たちの心の陰り、世間や家族にさえ受け容れてもらえない疎外感、それをふみにじる無神経な女性記者のゆきすぎた行為。犯人の自殺によって逮捕にいたらなかった結末に「警視正はおあずけね」ぼやくテニスンに「いや、そうでもないぞ」この部長は最初上司からの圧力でテニスンの動きを監視するのだが、風紀課にいながら殺人課をおしのけて進む「捜査の鬼」テニスンに共鳴、上司をほったらかし味方となったのだ。とまあこういうふうに次作「4」への伏線がちゃんと張られているのでございますね、ボス。

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