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特集「ディーバ(大女優)」

2013年9月27日

特集ディーバ(大女優) ヘレン・ミレン エリザベス1世 ~愛と陰謀の王宮~ (2005年 伝記映画)

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監督 トム・フーパー

女王陛下の愛と陰謀と金策 

 エリザベス1世をヒロインに映画は何度作られただろう。歴史の巨人をどんな女優が演じたのか。古くはサラ・ベルナールが1912年に。「女王エリザベス」と「ヴァージン・クイーン」でベティ・デイビスが二度にわたって。グレンダ・ジャクソンが「クイーン・メリー愛と悲しみの生涯」でエリザベスを。ケイト・ブランシェットが「エリザベス」「エリザベス:ゴールデン・エイジ」で二度。「恋におちたシェイクスピア」ではジュディ・デンチが扮した。エリザベスという女性リーダーのキャラは、これらすごい女優陣が繰り返し演じるに足る、それほど劇的な人物なのであろう。ヘレン・ミレンはとくにご縁があるというか、1世と2世のどちらをも演じ「クイーン」ではオスカーまで取っちゃったものね▼監督はトム・フーパーですよ。ヘレンとは「第一容疑者」のシリーズ最高と評価された「姿なき犯人」で組みました。「英国王のスピーチ」と「レ・ミゼラブル」ではともに、映画の面白さをみせつける演出でファンを沸騰させました。エリザベス女王即位20年後から本作は始まりますがそれでも前後編あわせて3時間41分という長尺。退屈させないのはやっぱり「エリザベス」だからか。日本でこういう「映画化されるビッグ・スター」的作品といえば何だろう。「忠臣蔵」か。それとも信長・秀吉・家康あのへんか。大河ドラマの常連、坂本龍馬か幕末ものか。どっちにしても「エリザベス」に匹敵する女性のビッグは見当たらないし、発掘しようとしていないのも残念だ▼エリザベスが結婚しなかったというか、できなかったのは、権力目当てで近づく男が信用できなかったことと、結婚が一国を左右する政治と同義語だったことの難しさでしょうね。レスター伯(ジェレミー・アイアンズ)とか寵臣はいたのですが、いくら寵臣でも信用できても臣下は臣下である。右腕とトップは違うのである。レスター伯はできる男だと思うが、国と国民を任せるには優先順位が甘すぎる。女王職でなければわからないこのへんの厳しさと難しさ。通説になったエピソードに乗っかって、あっさり通りすぎてしまったうらみがあります。その義理の息子エセックス伯もエリザベスの寵愛を受けるのですが図に乗りすぎて墓穴を掘る。エリザベスが若いエセックス伯との年齢差に苦しみ、伯爵の結婚に嫉妬するような場面もありましたが、そうでしょうか。男性からみれば女のエリザベスが加齢とともに容色が衰え、若い貴族の愛をつなぎとめるのに悶えはするものの、君主としての立場を踏み外さず彼の所業に極刑に処す、というのはじつに劇的ですが。国政という激務で二六時中国民から注視され外交で神経をすりへらし、ちょっと男を可愛がると有頂天になってヘマをするしほかの閣僚の嫉妬といやがらせがうるさい。国務に謀殺されているのにこれ以上面倒くさいことはかなわん、エセックス伯が結婚する? けっこう、けっこう、こんなもっともな理由で厄払いできるなんて…そのあたりだったのではないか▼対スペインへの圧力と国力増強のためフランス国王と結婚を決意するのですが、先祖代々フランスを敵だと思っているイギリス国民が大反対、この話を進めると暴動が起きると閣僚は怖気づき破談。小国イングランドとカトリック列強がにらみあう時代ですからね、エリザベスは一方の手で戦争を、一方の手で握手を、腕利きの営業マンを各地に派遣し貿易を振興した。どの国も友好と打算で結びつき、いつなんどき戦費を捻出しなければならなくなるかしれず、内需拡大にテコ入れしたいがいかんせん国土が狭い。増税は賢明とはいえぬ。エリザベスが身心をあげて取り組んだのは列強から国を守ることであり、そのためにはいつでも憂いなく戦える国家運営資金の捻出である。これをいかに円滑に運んでいくかの実践途上に彼女のもろもろの「愛と陰謀」対策は生じたのだから、下世話な話とはいえ「女王陛下の金策」をしっかり描けばもっと面白かったと思うのだけど。

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