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シネマ365日

2013年10月2日

白いドレスの女 (1981年 サスペンス映画)

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監督 ローレンス・カスダン
出演 キャスリン・ターナー/ウィリアム・ハート/ミッキー・ローク/リチャード・クレンナ

カスダン監督の好きな女 

 古典中の古典ですね。悪女映画の最高峰といわれるけど、できる女は悪女という枠にでも押し込めなかったら、おさまりのつかなかったのがこの時代よ。これローレンス・カスダンの監督第一作ですね。オファを受けた時キャスリン・ターナーは二つ返事で引き受けた。彼女は「自然体でヒロイン、マティに入り込めた、マティを演じてほめられることが多かったのは、彼女をよく理解できたから」だと後日語っている。ローレンス・カスダンは「偶然の旅行者」(1988)のジーナ・デイビスや、「ボディ・ガード」(1992)のホイットニー・ヒューストン演じる、風変わりでわがままで、才能があって気の強い女が好きだった。もうひとつ共通するのは、彼女らがみな仕事を持ち自立力があって、生活のため男にがまんする必要のなかった女たちであったことだ。本作のマティはさらに凄腕だ。たったひとりで夫と愛人と警察を翻弄して高飛びした避暑地でリッチにすごす。カスダン監督が勧善懲悪をスパッと無視したところに彼の好みがよくでている▼32年前の映画だけど粗筋は必要だろうか。ここでしょぼしょぼストーリーを紹介していくと、やめろ、こんな面白い映画はみていて当たり前だと、根っからの映画ファンにお叱りを受けそうな気がしないでもないからだ。粗筋というより登場人物のキャラを言おう。場所はフロリダ。セレブが集まるアメリカ有数の観光地だというが、一歩路地をはいるとうらびれた陰気な一画もある。ネッド(ウィリアム・ハート)はフロリダで小さな事務所を持つ弁護士。適当に仕事を片付けたあとは、女遊びのお盛んな気ままな独身者。異常な熱波が襲った夏だった。海岸通りの酒場で白いドレスの女マティに出会う。波打つ金髪。強い光を放つ瞳。スレンダーかつグラマラスな体躯。ミステリアスなマティにネッドはくらくら▼ネッドにせよ、マティの夫のエドムンドにせよ、カスダン監督はかなりてひどく扱うのだ。いうなればマティはネッドを破滅させるファム・ファタール(宿命の女)なのだが、男を騙し裏切るのがファム・ファタールだとは男の側の言い分ではないか、ああいう女にとって男は、すくなくともお前たちは退屈で窮屈で頭も悪かったからそんな目にあったのであって、それを運命とか宿命とかのせいにするのはカッコ付けもいいとこ、要は自業自得だといわんばかりなのだ。確かにネッドは手抜き弁護で、判事は依頼人に「弁護士を選ぶときは注意して」と勧告するくらい。才能があるが出し惜しみして怠けている、なんていう韜晦は現実には通用しない、怠けているのではなく才能がなく努力もしないから仕事がこないだけだとカスダン監督は烙印を押す。夫のエドムンドはかなり年だし、昼の事業欲はともかく夜の意欲はあまり積極的でなさそう。しかし結婚してまだ子供のいない女の関心はセックスだけか。確かにマティのネッドに対する要求は「死にそうだ、15分だけ休憩させてくれ」とネッドが音をあげるくらい激しいのだが、これもマティのシナリオの一部だとあとでわかる。話を戻せば「運命の女」なんて、この映画で言えばダメ男の正体隠しにすぎない▼ネッドはエドムンドさえいなければマティといっしょになり莫大な遺産が入る。ネッドは金銭欲と名誉欲には淡白で(あればもっと隆盛していただろう)、ただマティといっしょにおれる、マティも夫さえいなければと示唆する。これが殺人の動機だ。少なくともネッドにとっては。ネッドの友人でもある刑事や検事が「あの女はやばいぞ。かかわるな」と忠告するにもかかわらずネッドは爆弾作りのテディ(ミッキー・ローク)に特殊爆弾を作らせる。決着をみるまで話は二転三転する。マティは自分をみすてようとするネッドに叫ぶ。「最初はあなたを利用するつもりだった。でも途中からほんとに愛してしまったのよ」。ネッドは冷酷に「ボート小屋に入って拳銃をとってこい」(拳銃にネッドの指紋がつiている)と指示する。小屋には開けたらスイッチのはいるテディ特製爆弾が仕掛けてある。「いいわ」マティは自分の愛を証明するごとく小屋の扉に手をかける。「待て」とネッドは叫ぶが遅い。小屋は木っ端微塵。ネッドは殺人罪で刑務所入り。ここからが最高だ▼キャスリン・ターナーもウィリアム・ハートも舞台出身で、ターナーにとって本作は映画第一作でした。このとき27歳。意欲的にいまも活躍中です。自伝を出版し共演者をなで切りにしました。ハリウッドにはひどい役者もいるようですが、チワワが可愛すぎてポケットにいれ飼い主に無断で連れて帰ったと書かれたニコラス・ケイジは「そんなことしていない」抗議し、これは受け入れたようです。彼女がめざす女優道とは何に則っているのか。数々の映画賞を受賞した女優ですが、いい女優たるべき努力目標にダイエットが含まれていないことだけは確かなようです。

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