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シネマ365日

2013年10月12日

ガラパゴス 大自然の偉大な力  (2008年 ドキュメンタリー映画)

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製作 BBC
出演 ティルダ・ウィンストン(ナレーター)

わたしたちの未来 

 ガラパゴス諸島の西端、フェルナンディナ島は海抜1500メートル。少なくとも200年間に24回の噴火を繰り返したカルデラの島だ。瓦礫と火山灰でできた死の山の頂上に果敢に挑むのがガラパゴスリクイグアナのメスだ。彼女らは温かい火山灰を産卵の場所とするからだ。ゆっくり這い上がるイグアナの脚で登山は苦しい。頂上まで数週間かかる。やっとたどりつくとそこは先着したメスたちがいい場所を取って、早くも穴を掘って下半身を産め産卵しようとしている。いい場所がなければどうするか。先着者の場所を横取りするのである。それに負けると残された場所はただひとつ、彼女は800メートル下のカルデラに向け恐ろしい下降を始める。脚がすべったら命はない。同じように温かい場所を求めてカルデラに降り、途中転落して死んでしまったメスたちの乾いた死骸があちこちにある。やっと適した場所にたどりついたメスは残る力で穴を掘る。産卵はまことに命がけだ▼ガラパゴスの自然は過酷だ。海底の底の底の、マグマが地殻を突き破ってできた島がガラパゴス諸島だ。今も六つの火山が噴火している。火山活動は数万年かけて島をつくり、そこに住み着いた生物の命を一瞬でかきけしてきた。他ではみられない奇岩、偉容の島もある。火山灰でできた巨大な柱のような島は北西の端にそびえるロカ・レドンダ島だ。海底火山がつくる台地にぶつかる海流は進路を変え、西からくるクロムウェル海流はここで上昇に転じる。水温が低いため赤道直下でもペンギンが棲む。南から冷たいフンボルト海流が、中米からはパナマ海流がガラパゴスで合流する。豊かな海は島の生命を支える秘密でもある。夜になれば色とりどりの光りを放つ夜行性生物たちもいる。シャコやエビの幼虫、クラゲ。全身水玉模様のミゾレフグ。クロウミガメのオスは荒い波の上で交尾し、メスはフンボルト海流が勢いを弱める春に産卵し、数カ月後、海流が強くなるころ卵が孵る。子ガメらはこの海流にのって海に戻るのだ。ガラパゴスを半年間支配するこの海流は、冷たく乾いた貿易風を導く。ガルアの季節の到来だ。ガルアとは長い間ガラパゴスを隠してきた霧である▼ガラパゴスの生命を守り恵みを与えてきた海は、ときに残酷な試練を与えた。大自然が牙を剥けば地上の生命はひとたまりもない。3~10年で現れるエルニーニョ現象はクリスマスのころに始まることが多い。エルニーニョとは「神の子」の意味。熱帯の激しい雨は乾いた台地にそそぎ川をつくり緑を輝かせるが海に与えるダメージは計り知れない。嵐のような雨量で海は荒れ魚がいなくなり、海岸にすむアシカの半分がガシする。餌である海中の苔が食べられなくなったウミイグアナが岩に張り付いたまま干からびて死ぬ。ここに棲む動物たちはこうして打ちのめされながら立ち直ってきた。変化に強いのだ。孤立した環境は原始の姿をとどめ自然の95%が手つかずのまま残されてきた。この自然に新たな変化を与えたのが人間だった▼ここ数年で10万人以上の観光客が島に来るようになった。人口は50年間で2000人から3万人になった。空路、海路から人と動物が運ばれ孤立した島は昔話となった。外来種の動物にイヌ、ネコがいたが、なかでもヤギはゾウガメの餌を食いつくした。対応はヤギの一掃しか手はなかった。2年間で数万頭が駆除されウミガメの餌は保護されつつある。しかし人間の到来によってダーウィンが170年前生命のるつぼ、かつ進化し続ける驚異の島とよんだガラパゴスの未来を決定する立場に人間は立つことになった。ここでの選択が人類の未来を左右する。ガラパゴスこそ地球の縮図だ、そう結論して三部作に及ぶこのドキュメントは閉じられている。

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