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特集「ディーバ(大女優)」

2013年10月18日

特集ディーバ(大女優) グレン・クローズ 101 (1996年 コメディ映画)

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監督 スティーブン・へレク
出演 グレン・クローズ

グレンの怪演に怪力 

 グレン・クローズの出番は意外と少ない。全体の三分の一くらいだろう。三分の二がダルメシアンと飼い主たちのラブストーリーだ。にもかかわらず見終わって強烈に刷り込まれているのは、グレン・クローズの暴走女である。彼女扮するクルエラは毛皮会社の社長。大富豪である。人使いの荒いガラの悪く、トサカみたいな頭を黒と金髪と二色にわけ、口紅は本来の口の倍くらいに大きく真っ赤に塗り、目は団十郎も顔負けの隈取り、グレン・クローズがいちばん痩せていたときなので彼女の容貌の特徴であるゆるやかにカーブを描く鈎鼻と、しゃくれたアゴの骨がとんがっている。いつも長いキセルを放さず、人を小馬鹿にしたように煙をふかし、自らの毛皮フェチを満足させるために動物園のホワイトタイガーさえ襲う。アレックス(「危険な情事」)といい、パティ(「ダメージ」)といい、グレンはこういう収まりきれない過激な女に、すぐ出演をOKする気味があるのとちがうか。ともあれ彼女は本作でコメディ女優として立派に通用するキャリアを身につけた。シリアスものならすぐオスカー候補にするハリウッドの単純アタマぞろいのなかで、あえてコメディに強くなる女優は少ない。ここまで犬どもにむちゃくちゃにやっつけられるとは、敢闘賞ものである。一言でいうとこの映画は訓練を重ねた総勢200匹のダルメシアンと、グレン・クローズの怪演で3億2000万ドルを叩きだしたのだ▼本作には40人以上のアニマル・トレーナーが動員された。ヘッドは名ドッグ・トレーナーのゲイリー・ヘロー。犬のほかにも馬やブタ、スカンクにアライグマ、アヒルにキツツキ、カラスまで加わったのだからアニマル・トレーナーのご苦労は察するに余りある。筋書きは「ホーム・アローン」のパクリだともいわれたが、このジャンルの映画とは大笑いできたら事が足りるのである。その点からいえば大成功だ。主演のグレン演じるクルエラが、馬には蹴られる、ブタの下敷きにはなる、はては糖蜜のたるにはまりこんだあげく、糞まみれでまっくろになる。スピード感あふれたこれらのシーンの連続は、クルエラのキャラの悪魔的なことが逆に大爆笑をよびおこす。ダルメシアンとクルエラの怪力にくらべたら人間の俳優は影が薄いがこの人だけちょっと。ナニー(乳母)役のジョーン・プロウライトだ。ローレンス・オリヴィエの妻でありオリヴィエが死ぬまで添い遂げた。オリヴィエは男爵位を得て、彼女はレディ・オリヴィエとなったが女優活動でその名称を使ったことは一度もない。ノーズ・リンカーンシャーにあるプロウライト劇場は彼女の名にちなんだものである▼さて粗筋といこう。ロンドンに住む売れないゲーム・デザイナーのロジャーと駆け出しのファッションデザイナー、アニタの飼っているそれぞれのダルメシアンがある日公園でであい恋に落ちた。飼い主たちもラブラブになり結婚。新婚家庭にはダルメシアンの子犬15匹が生まれ、アニタもお腹に子を授かる。だがアニタの上司で毛皮ファッション界に君臨する女王クルエラは、目的のためには手段を選ばず。ダルメシアンの子犬のなめらなか柔らかな革で作った毛皮を夢み、手下の殺し屋二人に命じて15匹の子犬を誘拐させた。親犬二匹と散歩にでかけた留守中、子犬を盗まれた夫婦は途方にくれるが手がかりはない。しかしたった一匹、子犬が拉致されるのに立ち会った犬がいた。彼は勇敢にも子犬が押し込められたトラックの後を追い、町外れの廃屋をつきとめる。家ではダルメシアンのオス、ポンゴがある夜、高い屋根に出て長い長い遠吠えをした。その声は街を越えテムズ川をわたり、お屋敷から街角へロンドン中の犬たちは犬仲間の緊急事態発生を知る。犬から犬へ、その犬から鳥へ、鳥から牧場の馬へ牛へブタやアヒルへ、森のスカンクやアライグマに、動物たちは情報をくまなく張り巡らした。きたるべき激突のときが近づく。悪の女王クルエラか、動物たちの組織戦か。子供と昔こどもだったオトナを熱狂させるものが本作にはあります。

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