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コラム

2011年9月1日

夢は思い描くものでなく、自分の手でつかむもの

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学校法人塚本学院
塚本英邦さん・1976年生まれ

夢は見るものではなく、かなえるものーなでしこジャパンを世界一に導いた立役者・澤穂希選手の勝利の弁が日本中を駆け巡ったのは記憶に新しい。奇しくもその言葉を教育理念に掲げ、芸術に賭ける若者の夢をサポートし続けているのが大阪芸術大学、創立46年と関西で最も歴史ある総合芸術大学である。その理事長補佐・国際部長としても多忙な毎日を過ごすかたわら、准教授として教壇に立つ塚本さんは、取材中も柔和な笑顔を忘れない気配りの人でもあった。

「アートの世界は昔と比べると随分多様化していますが、ストレスと飽食の時代にあって、今後ますますニーズは大きくなると予想されます。時代が求める様々な芸術分野の担い手を輩出していくのが私たちの使命です」。氏が言うようにひと口に芸術といってもその範囲は広い。同大学では美術や写真などの造形系5学科、演奏や音楽など4学科、キャラクター造形や映像などメディア系5学科に教育系、そして今春あらたに声優コースが新設された放送学科と全部で15の多岐に渡る学科を擁している。
「一つ一つが特化して専門性を追及しています。ジャンル別の単科大学が集まっていると考えてもらったらわかりやすい。違うのはそれぞれ横のコラボレーションが緊密だという点です。俳優・映画監督・脚本家・漫画家、演奏家とそれは多彩な教授陣に、各分野の学生がいますからね。例えば映画を作ろうとなったら、役者も監督も撮影も美術も音楽も、全部自前で出来るんです。協力しあって即実行に移せるのが総合芸術大学の強みですね。例えば、NHKホールなどの大ホールで舞台芸術やコンサートを披露したり学内の情報発信ステーションとして大阪芸術大学テレビという情報番組を制作したりなど、普通なら相当負担がかかることもここでならできる。もちろん主役は学生、スタッフや先生方はあくまで裏方です」。
学生がプロとして大舞台に立つ、公共の電波を使って番組を製作するー、失敗したらとんでもないことになるのではと思いきや、「それがいいのです。わたしは本番の実習と呼んでいますが、学内だけでは得られない緊張感が学生を育てます。技術を学び感性を磨いてほしい。しかしその環境を提供するのは教育の一環ではないかと」。進取の校風は学生自身にも浸透している。閉ざされた世界で学ぶだけでは飽き足らない若者たちは、自分たちの企画や着想をひっさげて社会に飛び出すことを臆しない。劇団・新感線は在学中のサークル活動がそのままプロとしてシフトしていった例だ。「表現したいという欲望は、芸術系の学生にとって切実なものがあります。そんな時、まず必要となるのが発表の場、本学にはそれがある。毎週のように学生たちが主催する展覧会やイベントが学内や学外であり、今日はどういう展覧会が催されているのか楽しみです(笑)。教える立場である私が、学生達から逆に刺激を受けることも多いですね」。

そんな大学の評判を聞いて最近では企業や組織からもオファーが入るという。学生の製作による大阪府警のCM作成や地域起こしのキャラクター作り、化粧品メーカーのパッケージデザインまで産学協同プロジェクトにも積極的だ。恵まれた施設、多彩な指導陣、即戦力養成に注力する教育方針。ここでは学生のやる気を引き出すための受け皿が揃っている。自然と学生のやる気は増すというわけだ。取材の終盤、窓から一陣の風が吹いてきた。見やると何の樹だろう、大木が見える。木漏れ日を受け楽しげに揺れる濃緑色の葉たちを、その身にしっかりと抱き泰然と風に揺れている。その姿がアートの世界を目指す若者達とそれを守り育てる大学の姿と重なった。

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