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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2013年11月9日

特集 LGBT-映画にみるゲイ Lの世界(下)(2004~2009年 ゲイ映画)

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製作総指揮 アイリーン・チェンケン

グッド・ラック 

 オスカー女優、マーリー・マトリン(「愛は静けさの中に」)が、ベットさえタジタジとさせる個性的な彫刻家ジョディに扮しました。ベットは一時彼女にのぼせきり、ジョディが他の女といることを想像するだけで苦しくなるほど嫉妬する。プラネットの友人たちも新しい仲間としてジョディを受け入れていたのに、ベットの「逆走行」はティナとの復縁にむけ走りだす。ジョディは「死んでやる」とまで怒り心頭に発するのですが、バツの悪そうな言い訳をするベットに「もうどうでもいい、あなたと別れて正解だった」と。でもかなりの仕返しをします。ジョディは粘液質で濃いキャラで、知力のうえでもベットと拮抗できる女性です。マトリンはUCLAの教授に招かれながら体制に色目を使わず、言動も作品もラディカルな女性彫刻家を好演しました▼ヘレナ・ピーボディ(レイチェル・シェリー)。母親がペギー・ピーボディ(ホーランド・テイラー)。ピーボディ財閥の総帥とその娘。ペギーはニューヨーク在住。彼女が私蔵する超一流の美術品さえ出展してくれれば、ベットがディレクトする美術館の展覧会は成功する、ベットはロスに投宿するペギーをアポなしで訪問する。ペギーはベットが気にいり美術展は未曾有の反響を呼ぶが、トバッチリを食ったのが娘のヘレナ。ママはことあるごとにベットのやる気と才能をもちだし、お前も少しはしっかりしろと…ヘレナは有能な女性ですが、得意技は湯水のごとく母親の金を使うこと。シェーンの結婚式に関係者全員をカナダのホテルに招待するわ、デイナを励ますために自家用ジェット機は飛ばすわ。女たらしのシェーンの父親に1万ドルはくれてやるわ。さすがのペギーも大風に灰を撒くような娘に、こらしめのため金銭的援助を打ち切る。アリスは一文無しになったヘレナを自分の部屋にすまわせシェーンは仕事をみつけてやり、例によって友情ある友達は総出でヘレナを助ける。しかし金銭感覚が普通とちがうヘレナは5万ドルのポーカーに負け、体で払わねばならぬことに。このときのアリスたちの慰め方がふるっている。「いいじゃないの、相手は美人だから」「女はだれでも娼婦の部分があるよ。気にしない」「5万ドルがチャラよ。我慢しなさいよ」。世間知らずのヘレナは映画会社を買ったのはいいがパワハラで罠にはめられたり刑務所に入ったり。訴訟とトラブルのたび(またか)という顔でママが収拾する。プラネットが買収された陰謀にだれも手がでない。ヘレナは思い余って母親に相談する。人間の裏表を知り抜いた鷹のような母親は一言「買い戻しなさい」と策略を授ける。ヘレナは天然だが友達が困ったときは必ず助ける信義のある女性だ。金もあるけど▼出演者たちはみな仲がよかったのかというとそうでもない。肌の合わなかった共演者もいて、たとえばペイジ(クリスタナ・ローケン)がそうだった。シェーンの弟が学校で「お前の姉ちゃん、ゲイだ」といわれ相手を殴ってシェーンは校長に呼び出される。いっしょになって殴ったのがペイジの息子で、わけを聞いたペイジは「よくやった」と息子をほめ、校長に「ゲイを差別する言葉を使う我が子に、やめさせるのが親の役目です。それを野放しにして子供のケンカは解決しません」堂々と一席ぶつ。口下手のシェーンは呆気にとられるが感動する。シェーンとペイジは役の上ではとてもいいカップルなのだけど、ローケンは「Lの世界」出演の女優の一部と仲良くなれなかったらしい。なんで? クリスタナ・ローケンという名前にご記憶はないだろうか。そう「ターミネーター3」でシュワちゃんを翻弄する最新殺人兵器T―Xが彼女である。スクリーンに登場しただけで他を圧するブロンドの180センチは、どちらかというと地味なレギュラー陣のなかで目立ち過ぎたのではないか。見た目とちがってそそっかしいベットなんか劇中「シェーンの店に放火したのは絶対ペイジよ」なんて口走ったくらい。いいのか学部長センセ、そんなこと言って▼弁護士のジョイス(ジェーン・リンチ)この人も180センチの長身ですね。端正な容貌でゲイであることを公表している。名門コーネル大学出身。女性犯罪心理学者と同性婚し、3年の結婚生活ののち別れた。若い出演者たちを(ジョイスは53歳)役柄とはいえビシビシやりこめるので「嫌いキャラ」上位だ。こうみてくるとおわかりのように「Lの世界」のストーリーには出演者や脚色者や監督陣の体験がこよなく反映され、ほとんど彼女らの事実譚に近い。だからネタ切れになるとともにおしまいになったってわけか。シーズン6くらいになると、マンネリ化は免れずジェニーが謎の死をとげたときは「ジェニーよ。よくぞ死んでくれた、やっと終わりだ」と思ったくらいだ。ジェニー役のミア・カーシュナーは「なんであんなに急にジェニーが死ぬことになったのかさっぱりわからなかった」と不意打ち同様のエンドに不満を隠さなかった。あしかけ5年に渡ったシリーズだから一種の制度疲労で、取ってつけたようなエンドではあったとしても、いい潮時だったのじゃないの。構成上の尻切れトンボと「Lの世界」がゲイ映画の新機軸を打ち出した価値と功績は別の問題として評価すべきだ。ともあれエンディングの最後に「6シーズンおつきあいいただき、ありがとうございました」と字幕がでたときは笑った。見るほうも作るほうもそりゃ大変だったよね。また会おうよ。グッド・ラック。

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