女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集 LGBTー映画にみるゲイ

2013年11月17日

特集 LGBT-映画にみるゲイ 告発の行方(1988年 ゲイ映画)

Pocket
LINEで送る

監督 ジョナサン・カプラン
出演 ケリー・マクギリス/ジョディ・フォスター

8月9日の星

 検事補キャサリン(ケリー・マクギリス)は、サラ(ジョディ・フォスター)が受けるレイプをみながら被害者を助けようとせず、囃し立てそそのかした周囲の男たちを強姦教唆で告発する。非常に困難な立証だった。それをやりとげたのはサラの怒りと嘆きと孤独が、検事補を衝き動かしたからだろう。最初彼女は弁護にたったもののサラに有利な状況はなにひとつなく、彼女が望む「有罪にして」を叶えさえすればいいだろうと、犯人側の弁護士の妥協案を飲み、「強姦」ではなく「過失傷害」という裁定に応じた。これにサラは深く傷つく。ベストを尽くしたというキャサリンに言う。この判決のどこに「強姦と書いてあるの。あなたはたった一人のわたしの味方だと思っていた。わたしの気持ちがわかる? わたしがゴミ溜め住まいのフーテンだから信用できない? パンティを脱がされアソコを丸出しにされ、三人の男が突っ込むのを皆は手を叩いて見物していたのよ。ベストを尽くした? 自分の得のためわたしを売ったのよ」キャサリンは声もない。激しい自己嫌悪から自傷事故をおこして病院に収容されたサラが鎮痛剤を打たれ眠っている。絶望だけがある。キャサリンは事務所に戻り徹夜で強姦教唆の起訴状を起こす。翌日サラの家を尋ねたキャサリンをサラは腕ずくで追いだそうとする。「わたしが間違っていたわ」そう言ったキャサリンに初めて耳をかす。「やり直すわ。でもそのためにはあたなの証言がいるの。なにか言いたいことは」「もう取引しないで」「約束する」検事局では負ける裁判をあえて引き受けたと集中非難。キャサリンは言う「クビにするならどうぞ。わたしは司法の裏取引を暴いて役所とあなたたちを告訴するわ」脅すつもりなら倍返しだって感じですね▼裁判の進行とともに明らかになるのは女性蔑視である。被告側の弁護士はサラにこう聞く。「あなたは強姦されているときどんなことを考えました」「…考えたって。なにも」「ほう。あれだけ人が大勢いる酒場で、警察を呼んで、とかだれか助けてとか普通は助けをよぶものではないですか」「口をふさがれ腕を抑えられていたので声がでませんでした」「抵抗するのをやめていたのではないのですか」この弁護士は強姦されているのが自分の妻でも娘でも、こういうピントの狂ったことをいうつもりか。女は男を受け入れるものだ、こんなアバズレが本気で抵抗したはずがない、男とヤルのが好きだったはずだ…侮辱と言わずなんといおう▼陪審員の結論をサラとキャサリンが別室で待っている。「ね、あなたの星座の運勢をチャートにしたのよ」とサラがいう。今までなんども星占いをしてやる、誕生日を教えろ、生まれた時刻はわかっているか、などと聞いてくるので、キャサリンは「それどころじゃない」と取り合わなかったのだ。「ほら、みて」と一枚の紙にサラはなにやら見取り図のようなものをつくっていた。「誕生日は8月9日だわね。第十宮がすごいの。土星と野心、金星が公のしごとを支配している。太陽と冥王星が高い次元を示す。こんな星の重なりは滅多にないわ。大統領にもなれるわ」キャサリンは苦笑し「あなたの未来は」と聞く。サラの表情がくもり「チャートをうちに忘れたわ」「思い出して」「わたしの運勢は第七宮で感情とか、信頼関係とか…とにかく役にたたないお告げばかりよ。ハイあげるわ。サインはいらないでしょ。あなたは信じてないのだから」キャサリンはちょっと黙っていたが「サインして」チャートをサラのほうにおしやる。サラはとまどったがきちんとサインして返す。「ありがとう」とキャサリン。「わたしこそ」とサラ。なぜここを長々書くかといえば、サラはキャサリンにお礼をいいたかったのですね。キャサリンがもう一度やり直そうと言ってくれたときから。でも言い方がわからなかった。相手は学のあるえらい検事補である。だから星占いにかこつけて、キャサリンが「大統領にもなれる」女性だとほめちぎった。チャートまで作って、見せよう、見せようと待っていた。「サインして」と言ったキャサリンにサラは微笑を返します。親と離れ子供のころからろくに可愛がってもらえず、安い賃金でその日暮らし、男を渡り歩いてきたサラをだれもまともに扱ってくれなかった、レイプされてもお前が悪いのだとしか世間は見なかった、そんな自分のいうことを信じ、職を賭けていっしょに戦ってくれたキャサリンが嬉しかったのです、サラは▼撮影中にジョディ・フォスターとケリー・マクギリスのビアンな関係が話題になりました。マクギリスはフォスターのタイプですね。理知的で冷静ですらりとして背が高い。30年まえに本作をみたときは情報がなかったのでわかりませんでした。でも今回その気で見ると、主演女優ふたりは丁々発止とプロに徹していますが一箇所だけ。あれ、と思ったシーンがあります。強姦教唆が成立し、祝福をうけ、法定を出ようとするキャサリンとサラが手をつないで、というより指をからめているのですね。スクリーンからはほとんどわかりません。DVDを巻き戻してやっと画面の下のほうに認められる。カプラン監督が指をからめろと指示していたはずはない。それならもっと前面に出していたでしょ。ヘーイどうだ、このメッセージ、みんな見逃していただろ。

Pocket
LINEで送る