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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2013年11月24日

特集 LGBT-映画にみるゲイ ウーマン・ラブ・ウーマン(2000年 ゲイ映画)

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監督 ジェーン・アンダーソン/マリサ・クーリッジ/アン・ヘッシュ
出演 ヴァネッサ・レッドグレーヴ/ミシェル・ウィリアムズ/クロエ・セヴィニー/シャロン・ストーン

「時代は変わるわ」 

 オバマ大統領が2012年5月、テレビのインタビューで同性婚を認める考えを示したとき、ロスでみた旗を思い出しました。鮮やかに色分けした旗が窓から垂れ下がっていて「ここでわたしたちはいっしょに暮らしています」というゲイカップルのレインボー・フラッグでした。いいですね。ゲイであれレスビアンであれ、女性であれ高齢者であれ、マイノリティがそのために割を食う社会はまちがっている。映画はいろんな角度からジェンダーを照射しシリアスにコミカルに、重い問題を含みながら変わりつつある社会と時代を映してきました。「シネマ365日」を始めたとき、最初は気がつかなかったのですが、意図して選んだわけではないのにLGBTに関する映画がじつにたくさん作られているのに驚きました。それらのメッセージは多様で豊かで、驚きと歓びと矛盾とユーモアと悲しみ、深い思いに満ちています。本作の三作目に人工授精で子供をつくろうと奔走するカップルが登場します。真面目で明るく経済力がありユーモラスで健康な女性たちです。そうか。あの窓のむこうにいたのは彼女たちだったのだ、ふとそんな気がしました▼それにしてもこのタイトルはズバリ直球豪速球ですね。原題は「もしこの壁が話せたら2」すでに中絶をテーマにした「1」がありデミ・ムーア。シシー・スペイク、シェールらが出演していました。本作も「1」に続くオムニバスです。一軒の家を舞台に、そこに住んできた異なる世代のレスビアン・カップルのラブ・ストーリーを描きます。第一話は1961年。長年連れ添ったパートナーが急死し、親族との遺産相続問題にひきこまれたイーディス(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)。亡き人の人格や人柄にふれず家の売買と金の話ばかりする甥にイーディスはいいます「叔母さんのことをひとつも理解していないのね。彼女はやさしく勇敢で聡明だった。この家での暮らしを得るためにどんな苦労をしたかひとつもわかっていないのね」ヴァネッサ・レッドグレーヴは自伝にある通り革命と解放の旗手です。自ら党員であるイギリスの野党から、国会議員に立候補した闘士である。なのに、と書くとおかしいかもしれないがいったん映画に出演すると、骨の髄まで女優であることを露ほども疑えない。イーディスは病院で、ご家族の方ですかと看護師に聞かれ、友人ですとしか答えられず「ご家族の方以外には」と面会を拒否された。待合室のロビーで夜を明かし、ナース詰所に様態を尋ねたら彼女は息をひきとっていた。病院側は身内でないイーディスに声すらかけなかったのだ。わたしに会いたかったであろう。心に沁みるヴァネッサの声も表情も哀切に満ちています▼二話は1971年ウーマンリブ華やかな時代「マリリン七日間の恋」でオスカー候補となったミシェル・ウィリアムズがリンダに、「ボーイズ・ドント・クライ」でやはりオスカー候補となったクロエ・セヴィニーがエイミーに扮して出演します。ウーマンリブの運動家の女ともだちといっしょに住んでいる女子大生リンダは、ダイクのエイミーに恋する。仲間の女たちは女性解放が自分らの目的なのに男の格好をした女なんか逆行ではないかと否定するが、リンダはやっぱりエイミーが好きだ。もうお前らの屁理屈なんかにかまっていられるかい。リンダはエイミーのもとに走ります。リンダでなくともカッコいいと思うだろな、このときのクロエは。劇中だんだん時代は変化しつつあります▼そこで第三話は2000年。フラン(シャロン・ストーン)とカル(エレン・デジャネス)は精子バンクを利用し、人工授精で子を持とうと奮戦する。本日はフランの排卵日。月に一度のチャンスを逃してはならぬ、大急ぎでカルはバンクに走り冷凍精子を取ってくる。フランは家でスポイトを煮沸消毒。しかしこの道は長くけわしいと婦人科の女医にいわれ、女医の指導のもと何度目かに「今度こそ」気合をいれて授精させ、着床に期待をふくらませふたりは車で家路に向かう。車の揺れで精子がすべりおちはしないか、カルはノロノロ運転で後続は渋滞。助手席では少しでも着床を促そうとフランが「∨字」に開脚した長い足をオープンカーからにょっきり突き出す。この映画のシャロンはむちゃくちゃキュートですよ。あどけないくらい曇りのない笑顔で笑っています。こんな一面が彼女の映画にもっと出ればいいのに。二人のベッドシーンもあります。でもどことなくシャロンのそれはエロティックというよりエクササイズかアクロバットみたいなのよ。めでたく妊娠。ふたりは欣喜雀躍アパートの部屋も狭し、と踊りまくる。扱いの難しいテーマを明るくのびのび描き出しました。フランが「カル。子供が大きくなったら親はどっちも女だといっていじめられないかしら」カルは思慮深く「あるでしょうね。それは受け止めなくちゃ。でもそのころ時代は変わっているわ。いまといっしょとは限らないのよ」…とてもさわやかなエンドでした。

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