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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2013年12月6日

特集 LGBT-映画にみるゲイ イン&アウト(1997年 ゲイ映画)

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監督 フランク・オズ
出演 ケヴィン・クライン/ジョーン・キューザック/マット・ディロン

不自然なハッピーエンド

 ゲイ疑惑を受け「オレはゲイじゃない、ゲイじゃない、三日後に結婚するのだから」と言い張ってきた主人公ハワード(ケヴィン・クライン)が、結婚式の宣誓のときになって「おれはゲイだ」とカムアウトするのね。どういうこと。それまでの必死のゲイ否定は何なのよ。卒業式で教え子たちが「僕はゲイです」「わたしはレズです」「おれもゲイだ」と言ってつぎつぎ立ち上がるのは人権擁護のためか、それとも優秀教師賞をもらえなかったハワードに同賞をもらわせるためか。花嫁のエミリー(ジョーン・キューザック)は教え子のキャメロン(マット・ディロン)と結ばれるのか。キャメロンは劇中アカデミー主演男優賞を取る人気スターでしょ。田舎の女教師といっしょになるのですかね。どう考えてもいくつもの(?)が消えないのに、最後の大パーティでみな踊り狂い、大団円に持っていくのはこのフランク・オズ監督という人、強引というか牽強付会というか、意味もヘチマもあればこそ、あっぱれなほどのハッピーエンドです。本作の主張はゲイの人権主張なのでしょうか、渡る世間に鬼はない「アメリカ版」なのでしょうか、そんなことを深く考えさえしなければおもしろい映画でした▼インディアナ州のグリーンリーフ。平和な小さな町にある高校にハワードは英語教師として勤める。生徒たちは兄貴のように慕っている。彼は三日後に3年間交際中のエミリと結婚式をあげる。その夜はグリーンリーフ出身でハワードの教え子のキャメロンが、アカデミー主演男優賞候補となり、いよいよ授賞式が始まるのだ。ハワードもエミリといっしょにテレビの前で発表を待っていた。キャメロンはゲイの兵士を演じた戦争映画でみごとオスカーに決まった。さてそのスピーチで「この賞を恩師のハワード先生に捧げます。彼はゲイです」と言ったものだから町は上を下への大騒ぎ。学校長は「保護者から問い合わせが殺到している、結婚してゲイ疑惑を晴らせなかったら辞職だ」とハワードにほのめかす▼有名なリポーターのピーターが町に到着、ハワードに密着取材することになった。とんでもない迷惑だと怒り狂うハワードに「ぼくはゲイだ」とピーターは打ち明け熱烈なキスをする。ヘンなやつばかり。とにかく結婚するのがいちばんいい、みながそう考えやっと挙式にこぎつけた。ウェディング・ドレスの花嫁に誓いの言葉を述べるはずの新郎は、花嫁をみつめ「ぼくはゲイだ」とつぶやく。「?」エミリは聞き違いかと思う。でもハワードは繰り返す「ぼくはゲイだ」。エミリは怒り心頭に発し式場を飛び出す▼手短に言ってしまえば「ゲイだろうとなんだろうと、愛し合えばいいじゃないか」というノリなのですね、この映画。確かに明るく楽しくハッピーな雰囲気で終始するのはいいのだけど、コインの裏表のようにゲイにつきまとっている社会的な陰影は、どんな楽天家でも目をつぶってすむものじゃないと思うのよね。社会からの疎外どころか、同性愛嫌悪者によって殺されるゲイだっています。ハッピーエンドならハッピーエンドでもいい、むしろそれが望ましいわ。しかし教会の挙式の宣誓の席上「ゲイだ」と言わせて、あとは周囲の人物の理解ある協力に任せエンドになだれこんでいく、そんな端折り方はどう考えても不自然だ▼劇中のアカデミー主演男優賞のプレゼンターになったグレン・クローズが候補者を読み上げるシーン。なんでグレンが出てきたのかしらないが(そういえばウーピー・ゴールドバークもノンクレジットで登場する)。グレンが紹介するタイトルと俳優は「〈くそじじい〉のポール・ニューマン、〈老いぼれ〉のクリント・イーストウッド、〈悪あがき〉のマイケル・ダグラス、〈沈黙の変態〉のスティーブン・セガール、〈ホモに生まれて〉のキャメロン・ドレーク」だ。笑っちゃうね。この映画の最高はひょっとしてここと、それとジョーン・キューザックだろう。ジョン・キューザックの姉である。ハワードにゲイだと告げられ頭にきてウェディングドレスのまま車で蒸発。バーに来てウォッカをひっかけ、やってきたリポーターのピーターにクダをまく。「彼とつきあっていた3年間、夕日を見ておしゃべりよ。男性欠乏症で重態よ」彼女は本作でアカデミー助演女優賞候補となりました。

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