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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2013年12月14日

特集 LGBT-映画にみるゲイ KISSing ジェシカ(2001年 ゲイ映画)

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監督 チャールズ・ハーマン=ワーフェルド
出演 ジェニファー・ウェストフェルド/ヘザー・ジャーゲンセン

人生はやってみないとわからない 

 ジェシカ(ジェニファー・ウェストフェルド)は28歳。ニューヨークの新聞社で働く、明るいキャリア・ウーマンだが恋愛ベタがたまにキズ。男の欠点が目について出会う男をケチョンケチョンに口撃する。でも恋人はほしい。ある日リルケの詩を引用した「恋人を求める」新聞広告を目にし思い切って電話した。約束の場所で待っていたのはヘレン(ヘザー・ジャーゲンセン)という画廊のディレクター。男に経験豊富なヘレンであるがイマイチ満たされていなかった。相手が女だと知ってジェシカは逃げ出そうとする。世間知らずで完全天然のジェシカにヘレンは興味を持つ。ジェシカは謹厳なユダヤ人家庭で育ち、親戚・友人ら同胞が強い団結力でコミュニティを形成している。両親は一人娘のジェシカの男運の悪いことが悩みの種だ。なんとか結婚させてやりたい、そこへやっとめぐりあった恋人が女だなんて言えない…というふうに映画は進展する▼ジェシカとヘレンはなかなか打ち解けなかった。話題の乏しさは愛想笑いでごまかし、タクシーに乗れば端と端に座り、どうにかインド料理を食べ終えてケラケラ笑いながら宵の口のニューヨークを歩いていたとき。人生はなにが起こるかわからない、不可知に満ちているというヘレンに、すべて知で解決できるというジェシカ。アッそう。ヘレンにしたらジェシカの頭でっかちがしゃらくさい。じゃこれはどうなのと、雑踏の真ん中でジェシカをガバッ。抱きしめ熱いキスをする。その翌日。出勤したジェシカはすっかりハイ。仕事はウキウキ。今夜はヘレンのアパートに招待されているのだ。緊張してソファにすわるジェシカに、女同士だからといってべつに変わったことをするわけではない、とヘレンは先輩らしく薫陶する。コチコチのジェシカの体をほぐそうと抱き合うものの、ジェシカはパニクって肝心な行為に進まない。慣れるのにどれくらいかかる、とヘレンが尋ねると「10日くらいね」とジェシカがくそまじめに答える。じつにコミカルだ▼しかし道は遠かった。何日たっても度胸をすえないジェシカに、ヘレンは(広告まで出してつかまえたのがあんなウスノロだったとは)癇癪が爆発、関係を解消しようと決心したときジェシカの家のパーティーに招かれる。ユダヤ人の習慣や文化を知らないヘレンをみんなは温かく迎え、ヘレンはすっかりジェシカの家族が好きになる。酒を飲んで夜も遅い、泊まっていきなさいというママのすすめでふたりは小さなベッドに同衾。人が変わったように積極的に迫るジェシカに「どうしたの。ジェシー」押され気味のヘレンがきくと、ジェシカが耳元でささやく「10日目よ」▼3カ月後。ジェシカは完全にイメチェン。ミニスカートでオフィスを闊歩、自信にあふれやりとりは知的でユーモアにあふれる。そこへ兄の結婚式が迫ってきた。ヘレンは自分が招待されていないことを知ってショックを受ける。ジェシカの恋人として当然招かれると思っていた。ここは同性愛に対するジェシカの引け目がよくでています。オフィシャルな場にヘレンといっしょに出るのにどうしてもためらいがあるのです。ヘレンは激怒し「わたしはあなたが誇りなのにあなたはわたしを恥じているのね」「心の準備がまだなだけよ。時間をかけたいの。恥じてなんかいないわ、いったいわたしにどうしろというの?」「結婚式に出席させて!」ジェシカはジレンマに落ち込む。毎日沈みきっている娘にどうしたのかと母親が尋ねる。女を愛したことを打ち明けられず「わたしは一生ひとりぼっち」と泣く娘に「人生はやってみないとわからないわ。それにママはヘレンが大好きよ」お見通しだった母親に背中を押され、ジェシカはヘレンが恋人であるとカミングアウトし改めて家に連れてきます。家族全員色めきたつ。最高なのはおばあちゃんです。「子供をつくるのはどうするの」とゲイにとってもっともナーバスな問題をズバリ直撃「人工授精をぜひおすすめするわ」とあっさり踏み越える。長身のスラリとしたハンサムな「婿どの」に父親も満足する。やがてジェシカとヘレンの甘い新婚生活が始まりました…▼ラストシーンだけ言いますね。コーヒーショップの、屋外のテーブルに座っているヘレンのところへジェシカがいそいそとやってくる。どちらもリラックスし顔をよせ親密な話が始まる。仕事のことか、それともヘレンの恋人のことか…この映画意外と奥が深いです。コミカルな映像を背景に、愛が様々な関係性(母と娘、男と女、社会と個人、女と女)の中で、ひとくくりにして片付けてしまえない慎み深い問題を、角度を変えて丁寧にとりあげました。まったく有名でなかった女性ふたりによる主演・脚本・共同製作です。100万ドルの低予算でつくられた本作が、公開後俄然注目。1000万ドルの収益をあげロサンゼルス映画祭最優秀映画賞を受賞しました。ジェニファーはイェール大卒業後演劇やミュージカルに携わり、脚本家の新人養成所でヘザーと知り合い意気投合。ふたりで寸劇の脚本を書いたのが本作のスタートでした。彼女らは今もせっせと脚本を書いています。

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