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シネマ365日

2014年1月2日

特集「初笑い」 俺たちフィギュアスケーター (2007年 コメディ映画)

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監督 ウィル・スペック
出演 ウィル・フィレル/ジョン・ヘダー

爆笑暴走列車 

 地獄の爆笑暴走列車というべきか、有無をいわさぬバカバカしさに巻き込まれてしまうのがこの映画だ。まずは監督、スタッフ、製作、俳優のみなさんのものすごい腕力に脱帽しよう。フィギュアスケート史上初の男子ペア、それも犬猿の仲でスケート界から永久追放されたふたりが、フィギュアスケートへの思いを断ちがたく、規則の隙間をついて復帰。ツノ付き合わせながら伝説の大技「アイアン・ロータス」に挑戦。みごと優勝して栄光を取り戻すまでの七転八倒を描きます▼幼い頃フィギュアスケートの才能を見込まれたジミー(ジョン・ヘダー)は大富豪の養父から惜しみなく金を注がれ英才教育、金髪の美青年に成長し天才スケーターとして世界選手権男子シングルの決勝進出。同時にチャズ(ウィル・フィレル)はポルノティックなパフォーマンスで観客を湧かせ、これまた決勝進出。同点1位となったふたりであるが、普段から犬猿の仲。金メダルをわけあい表彰台にふたりで立ったものの大げんかを始め場内で乱闘。協会は金メダル剥奪・参加部門からの永久追放を決めた。それから3年。ジミーは天才を見込んで養子にしたのに「金メダルをとれないやつに用はない」という養父から養子解消。スケート洋品店で販売員となり、チャズはアイスショーでぬいぐるみをきて生活していた。ある日ジミーの大ファンでストーキングしているヘクターが訪れ「追放された部門から永久追放」であって、それ以外の部門でなら復帰できると知恵を授ける。「それ以外?」つまりペア部門だ。銀盤に戻りたいと燃える思いのジミーは必死で相方を探すのだが▼チャズはアイスショーで酔っ払ってぬいぐるみの中でゲロしショーをめちゃくちゃにしてクビ、毒づいているところへ相方探しのジミーがやってきた。仇敵同士の燃える闘魂再び。またも乱痴気騒ぎを始めたふたりの大暴れがテレビニュースで放映された。それをみていたコーチは、彼らの動きから自分が考案したスケート界の幻の技「アイアン・ロータス」をやらせようと決意した。しかしその技の開発はあまりに危険なためスケート協会が続行を許さず、コーチは北朝鮮で完成させていた。ビデオをみたふたりは仰天。なんという荒業。失敗したらクビがチョン切れるのである。それでもこれをやったら優勝間違いなし。金メダルを夢見るふたりはトライを決めるが練習中も悪口雑言の浴びせあい。寝食をともにする合宿では「なんだ、そのみっともない裸は。向こうへいけ、食欲が失せる」とジミー。「これこそスケーターの肉体だ。筋金入りだ、お前のヤワな体とはちがう」とチャズ。「そのボテボテの腹でこれができるか」とジミーは氷上を〈腹滑り〉。コーチにどやされるまで争いをやめない。しかし男子ペアという前代未聞の話題にとびついたマスコミが連日ふたりのことを書き立てた。優勝を狙う兄妹ペアがいて、彼らは驚異を感じ妨害工作に出る。狙いはチャズを色仕掛けで腑抜けにすること。それも知らずふたりはいがみあいを続けていたが「アイアン・ロータス」のあまりの難度に、相手のミスを責めてばかりいたら達成できないと気づく。なにしろ練習台のマネキンの首が氷上せまし、と転がっているのだ。ミスしたらこの通りになる。ふたりはがっちり手を握った▼おおげさな演技、強烈なキャラクター、きんきらきんのド派手な衣装、プロデュースに当たったベン・ステラー(「マダカスカル」「ナイト・ミュージアム」)が、男子ペアのフィギュアをなんとしてでも撮りたかったとねじり鉢巻で製作に臨んだだけあって、豪快に繊細に笑いの波が寄せては返す。ウィル・フィレルはアクの強い露悪趣味の大男。ジョン・ヘダーは洗練されたハンサムな貴公子。正反対のタイプが激突するのはお定まりではあるものの、演出のスピードとウィルの、ああ見えてナイーブな表情が退屈しているヒマを与えない。銀盤でありえない技を披露するふたりの、しばしばクローズアップされる股間、笑うしかないシーンの連続をどう言えばいい。ジョン・ヘダーは「バス男」のキモイ男から一変した美男子ぶりですが、大きな前歯をみせてニッと笑うときの意外な不気味さは、この数年あとの「ママ男」を予感させます。ともあれ5300万ドルの制作費で2億ドルの興行収益。文字通り笑いがとまらぬ快作となりました。

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