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シネマ365日

2014年1月11日

特集「初笑い」 ブルース・ブラザース (1980年 コメディ映画)

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監督 ジョン・ランディス
出演 ジョン・ベルーシ/ダン・エイクロイド/キャリー・フィッシャー/ツイッギー

破壊とダーティな笑い 

 毒々しい笑いが溢れかえる映画です。さすがだと思う秀抜さと、くだらなさに目をそむけたくなるシーンが同居する。ジョン・ランディスのヒット作には「アニマル・ハウス」がありました。あれにあるばかばかしさが数倍スケールアップした映画です。刑務所から出所するジェイク(ジョン・ベルーシ)を弟のエルウッド(ダン・エイクロイド)が「とても安かった」と払い下げのパトカーを運転して迎えにきた。このあたりからじわじわジョン・ランディスの〈クセのある笑い〉の触手が延びてきます。自分たちを育ててくれた施設のペンギン(尼僧)に、出所の挨拶にいった兄弟は資金難で5000ドルの税金が払えず施設は閉鎖されると聞く。自分たちが払うというと「悪事によって得たお金はいらない」と拒否される。まっとうな金なんかどうやって稼ぐのだ…困った二人は神の啓示を得ようと教会へ行く▼とにかくこの映画をまともな神経でみると腹のたつことばかりです。白人至上主義に男性至上主義。稼業を放り出して出て行く夫を見送る女房。結婚直前に棄てられた女。ナンパした男のセリフを真に受けてモーテルの前で待つ女(これがツイッギー)。くどくどと長いしつこい、うんざりするカーチェイスで、市民生活を完膚なきまでに破壊する無法行為。シャンペングラスとワイングラスの違いも無視して〈ズズーッ〉と音をたててワインをすする男の気色悪さ。兄弟は黒ずくめのスーツに帽子、おまけにサングラス。弟が住むアパートは狭くて汚く、窓のすぐ外を電車が走るたび揺らぐ。彼が「晩飯だ」といって食べるのはガスコンロの上においた針金にのせて焼くパン一枚だ。いい忘れたがこの街はシカゴだ。中西部最大の都市。犯罪と貧困が押し込められた一画の窒息しそうな閉塞感。あくどいまでにハチャメチャの限りを尽くしながら、監督はこの映画の底を流れる〈ダーティーなもの〉の解像度を徐々にあげていきます▼「まっとうな金」を稼ぐために彼らが受けた神の啓示はバンド再編成。昔の仲間を探し出しメンバーに加える。ホテルのおかかえバンドになっているやつ、レストランのマスターにおさまっているやつ、あちこちに散らばっていたメンバーがなんとか集まった。うんざりするところはあってもくだらない映画だとは思えないところのひとつは、ダンスと音楽がとびぬけていることです。最初の群舞は兄弟が教会に入ったシーン。老若男女を問わぬ数十人が、思い思いのポーズをとりながらじつは一糸乱れぬダンスを繰り広げる。ジョン・ベルーシは33歳という若さで、この映画の数年後に亡くなりますが、彼のダンスは特筆ものです。背の低い太めのずんぐりしたあの体が羽を得たように軽々と動く。ブルース・ブラザーズが公演するホテルに、兄弟が行き着くまでにトラブルが続出し、なかなかに行き着かない。ホールでは満員の観衆が「早く始めろ」とブーイングが最高潮。いまか、いまか。気が気でないバンドの仲間ら。このへんのひきつけ方は苛ただしいほどです。兄弟は無事「まっとうな金5000ドル」をこしらえ税務署に納税したのち逮捕され、ふたたび刑務所に。刑務所の集会所で二人の奏でる「監獄ロック」が爆発する▼税務署のしょぼくれた職員でスティーブン・スピルバーグがカメオ出演しています。それとこの女優。ジェイクを殺そうと付け狙う謎の女がキャリー・フィッシャー。機関銃やらバズーカ砲やら「ターミネーター」も真っ青なバイオレンス女を演じました。名の通りエディ・フィッシャーとデビー・レイノルズの娘。「スター・ウォーズ」のエピソード「4・5・6」のレイア姫です。このときオーディションに最後まで残ったのが彼女とジョディ・フォスターでした。フォスターのその後のサクセスと思うと、そのときうまくいかなかったことがあとで考えるとかえってよかったという事例の典型ですね。エルウッドにナンパされて放ったらかしにされる女性がツイッギー。日本のCFに出演していたころは165センチ、41キロで文字通り「小枝」のミニスカの女王でした。本作では当時よりふっくらして落ち着いた美人になっています。

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