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特集「ダンディズム-dandyism-」

2014年1月13日

特集「ダンディズム」 スティーヴ・マックィーン ゲッタウェイ (1972年 アクション映画)

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監督 サム・ペキンパー
出演 スティーブ・マックイーン/アリ・マッグロー

意外と女が面白い 

 非常に明快な映画ですね。一言でいえば本作は主人公ドク・マッコイ(スティーヴ・マックィーン)と妻キャロル(アリ・マッグロー)の復縁劇です。ただし監督がサム・ペキンパーですから「恋愛? ロマンス? メロドラマ? ケッ」って感じで、マックィーンは逃亡の途中「拳銃なんかでラチがあくかい」ずかずか銃器店に入っていきショットガンを手に入れます。「華麗なる賭け」の「もうひとりの主人公」は主題歌でした。本作のそれは銃です。銃撃戦をやらせたらなにしろ「ワイルド・バンチ」の監督と「拳銃無宿」のマックィーンですからね。絵にもなり写真にもなる銃とその使い方が決まっています。後半ショットガンを撃ちまくる銃撃戦がスタイリッシュでさえあるところはやっぱりサム・ペキンパー。本作がたった335万ドルの制作費で2698万ドル(しかもアメリカだけで)のヒットとなったのは、いまさら映画の父グリフィスの言葉を持ち出すのは気がひけますが「映画は女と銃だ」といった「銃」の部分をうけもっていたからです。マックィーンが使う拳銃がコルト45の1911ですが、発砲シーンで使用されたのは9mmのスター・オートでした。ハイスタンダード社のショットガンにもうひとつ、ギャングのひとりが使うコルト・パイソン6インチ。思い出しません? イヴ・モンタンが「真夜中の刑事」で自分の分身のごとく扱っていた拳銃がパイソンです。銃はこれくらいにします▼夫マッコイを刑務所から出すためギャングのボス、ベニヨンと寝た妻を夫は許せない。ベニヨンがマッコイを出所させる条件はマッコイに銀行強盗をやらせることだった。強盗はうまくいったがマッコイはベニヨンを射殺。50万ドルの現金が入った鞄をもって妻とメキシコへ逃亡を企てる。警察、ベニヨンの手下、強盗の最中にマッコイを裏切ったルディという男が追跡する。このルディであるが傷の手当をしに獣医の診療所に押し入り、女房を人質に獣医に車を運転させマッコイを追う。ルディと女は旦那をのけものにセックスにふけり、毎晩イスにしばりつけられそれをみせつけられる男は、とうとう首を吊って死んでしまう。なんでこんなとんでもない女が出てくるのだろうと思ってしまうが、考えてみればこの映画は女の開き直りと男の優柔不断がじつに対照的なのよね。「愛している」と言わせないで女に愛を言わせたいペキンパーの叙述方法をちょっとみてみよう。マッコイ「足がついてしまった。警察がおれを手配する」「テキサス中の役人と寝て刑務所から出してあげるわ」「テキサスは広いぞ」「平気よ」「だろうな」「だから?」「別れよう。金をわけて」「本気なの?」「ああ」「わたしはイヤよ」他の男と寝た妻にこだわる男と、好きな男を助けるためならテキサス中の男とでも寝てやるという女のこの違い。サム・ペキンパーの粘着ぶりは相当なもので、ただただマックィーンをカッコいいだけの単純な男にしていません。そんな男に本当のダンディズムはないのです。マッコイの愚痴っぽいセリフをまだまだ言わせます。「なにも信用できん」妻「でもなにか信用しなくちゃ」夫「信じている、これを(ト札束を示し)神を信じる、とどの札にも書いてある」妻(あわれそうに)「大事にすることね。わたしたちには他には何もないのだから」やがて煮え切らない男に女はとうとう愛想をつかし「あなたは刑務所でもタフにはなれず、いつまでもベニオンのことを言っていたわ。わたしは彼よりあなたを選んだのに。別れましょう」(マッコイはあわて)「君のいうことが正しい。いっしょにやっていこう」妻「もう言わない?」二度と蒸し返さないわね、と釘を刺す。「なにがあろうと奴のことは口にしない」とマッコイ。このシーンはゴミトラックから山のようなゴミといっしょにゴミ捨て場に投げ出された二人があわれにもゴミに囲まれ、精も根も尽き果てたキャロルが「こんな男といっしょにいてネチネチ嫌味をいわれゴミと棄てられ、ガマンならない、もうひとりで地獄にでもどこでも行ってやる」と開き直ったやけくその愛の告白(だいぶ変形していますが)です。アリ・マッグローは「ある愛の詩」のプロデューサー、ロバート・エバンズと大恋愛のすえ結婚し、この映画でエバンズと別れ、スティーヴ・マックィーンと結婚します。なぜかわかりませんが、エバンズとかマックィーンとか、性格の複雑な、好みの難しい男に好かれるところがあったみたいです。たぶんわかりやすい女性だったのでしょう。

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