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特集「ダンディズム-dandyism-」

2014年1月18日

特集「ダンディズム」 スティーヴ・マックィーン 華麗なる週末 (1969年 社会派映画)

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監督 マーク・ライデル
出演 スティーヴ・マックィーン

男の体臭 

 まさに男同士の絆ですね。スティーヴ・マックィーンが珍しくコミカルな役柄であるとか、原作がウィリアム・フォークナーであるとか、監督がマーク・ライデルであるとか、いろいろ書くべきことはあるでしょうけど、始めから終わりまでこの映画を貫くのは男同士の友情と主人公の成長物語が主軸、女はつけたしというスタンスはみごとなほどですね。いかにもフォークナーの原作らしいわ。娼婦のコニーに対する男連中の態度ってむかつく。ピュアな主人公の少年が将来、オッサンたちの「男らしさ」に毒されないように祈ったわ▼本作の直後にライデル監督は「11人のカウボーイ」を撮っています。ジョン・ウェインが上映時間20分を残して悪漢に背後から撃たれて殺されるという珍しい映画です。ウェインは老カウボーイ。年の離れた孫のような少年たちに西部の男の生き方を教える。少年たちを鍛え、カウボーイ魂を植え付ける。厳しい「男の作法」ともいうべきスキルでもって育った少年たちは、ジョン・ウェインが殺されたあと団結して悪党に立ち向かい、立派に「男の仕事」を証明する。二作は共通項が多い、というより前編・後編ではないかと思うくらい主題が共通しています。いわく少年を育てる経験豊かな大人の男、彼に接して少年は男とは、人生とは、友情とは、義務とは、仕事とは、犠牲とは、家族とは、愛情とは、女とは、つまり社会で一人前の男として生きていくに足る「男子の生き方とそのものの見方」を身につけるお話という▼スティーヴ・マックィーンは本作ではヒーローというより出番の多い脇役です。時代は20世紀初頭のミシシッピー州。富豪の息子である少年ルシアスと富豪の邸宅の使用人ブーン(スティーヴ・マックィーン)は、年の離れた兄弟のように仲がいい。ルシアスの祖父が当時出現しはじめた自動車を買い、鉄道で町に運んできた。車種が1905年型ウィンストン・フライヤーだ。金色の〈黄金の車〉である。車の管理はブーンが任される。ブーンの悪友で黒人のネッドはブーンから車の動かし方を教わり、隙をみて勝手に動かし町中に大騒動を起こす。ルシアス一家は親戚の葬儀で家を留守にすることになり、ルシアスはブーンといっしょに留守番だ。父親は「ブーンにそそのかされてばかなことをするンじゃないぞ」と釘をさして出かけるのだが。一家の帰宅が4日後だと知ったブーンは早速ルシアスに耳打ちする「4日あれば充分だ。メンフィスまでドライブしよう」かくして少年はブーンとその連れネッドとともに4日間の旅にでる。彼らが少年を連れて泊まり込んだのはブーンの馴染みの娼館であり、ネッドは草競馬でひともうけしようと車とサラブレッドを交換した。ブーンを愛するコリーというやさしく美しい娼婦がいる。地元でトラブルを起こしたブーンにネッド、娼館の女たちはブタ箱にぶちこまれ、全員釈放はコリーが保安官に身をまかせることだった。連れだされるコリーに「行くな、行くな、コリー」とブーンには叫ぶが、どう考えてもおかしいでしょ。行くのはコリーの意志じゃないのになんで女を責めるのよ。全員釈放されたがコリーはアザができるほどブーンにぶん殴られる。どうしてブーンはあんなひどいことをするのかと悲しむ少年に、ネッドは「あそこで殴るほうが心の傷は残らないのさ」ですってよ。女に痛い目もつらい目もさせておいて勝手なこと言うな。ともあれ少年はブーンやらネッドやら、大人の男の巻き添えを食って翻弄されながら、お坊ちゃんで扱われていたミシシッピーの田舎でとてもできなかった経験を、世間の仕組みを、娼婦に対する仕打ちと差別を、權力に手をだせない不条理を、大人の女コリーにだく恋心を、闘いを経験する▼闘いというのは本作のみどころでもある草競馬だ。草競馬の優勝の賞品はネッドが馬と交換した「黄金の車」である。取り返さねばならぬ。騎乗するサラブレッド「黒い稲妻」は駿馬だった。ゴール前の二頭の馬の全力疾走。馬ってなんでこう美しいのだろうと思います。マックィーンの田舎のアンちゃんふう飄々とした味わいと、素朴で野性的な男の体臭がブーンのキャラを、多少演技過剰のシーンはあっても、嫌味のない男にしています。

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