女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

シネマ365日

2014年1月31日

ベティ・サイズモア (2000年 コメディ映画)

Pocket
LINEで送る

監督 ニール・ラビュート
出演 レネ・ゼルヴィガー/モーガン・フリーマン

ベティという逆照射 

 カンザスの田舎町、小さなダイナーで働くベティ(レネ・ゼルヴィガー)はソープドラマ「愛のすべて」にはまっている。テレビに夢中になって「ちょっとすみません、コーヒーを」とカウンターの客チャーリー(モーガン・フリーマン)が声をかけても、テレビから目を放さず一滴も誤らずコーヒーを注げるという特技の持ち主。チャーリーと相棒のクリスは奪われたヤクをつきとめようと、犯人を追跡中の犯罪者。麻薬取引に手をだしたのがベティの亭主デルなのだ。ベティが昼ドラに現実逃避するのも無理はない。夫は女癖が悪く、無神経で妻を下女のように扱い、気立てのいいおとなしいベティをバカにするサイテー男だ。もちろん夫婦の間は冷えきっている。ベティは「愛のすべて」に没入して現実の傷を癒す▼ゼルヴィガーの出世作「ブリジッド・ジョーンズの日記」もそうでしたけど、夢見る女の役って多いですね。もっとも「シンデレラ・マン」とか「コールド・マウンテン」とか強い女も演じていますが。ゼルヴィガーがアップになった顔って、なんでこう陰影がないのでしょう。満月にケチをつける気がしない、そんな罪のない顔です。デルは踏み込んできたチャーリーらにあっさり射殺される。ベティはとなりの部屋で「愛のすべて」に夢中だった。隣室ではクリスがデルの頭の皮を剥いでいる。蛮行である。ベティは隣室の異変にきづきドアの隙間から覗いたときは、おでこにナイフの切れ目をいれているときだった▼事件後ベティは一時的な記憶喪失となり、自分はドラマのなかの外科医と婚約した女であり、ゆえあって別れたが彼と仲直りしに、ベガスに行こうと決心。アメリカ大陸横断3000キロをものともせず車を走らせる。ヤクを取り戻しそこねたチャーリーらは、隠し場所は車の中だと察しをつけてベティのあとを追う。チャーリーは気立ての良い、素直なベティがなんとなく好きである。夜のグランドキャニオンでベティの幻とダンスするほどだ▼ベガスに着いたベティは「デヴィッド医師」を探して病院にくるが、もちろんそんな人はいない。知り合ったルームメイトのローラがタレントたちの集まるパーティーの会場を教える。彼女もベティをちょっと度の過ぎた「昼ドラ」ファン程度に思っている。看護師のコスプレで会場に行ったベティはあこがれのデヴィッド医師をみつけ、あなたの婚約者だと話しかける。みな面白がってちょうどシリーズがマンネリになっているからテレビに出演させたらいい刺激になるなんて勝手に決める▼ベティを玩弄する彼らの態度はかなり不愉快である。ショックでアタマがおかしくなっているベティが笑顔を絶やさず、誠心誠意彼らにわかってもらおうとするところがいたいたしい。テレビ局のスタジオに入って、とまどうベティは台詞なんかいえるはずがない。罵詈雑言が飛びかい「デヴィッド先生」までおのれの軽率はたなにあげてベティをののしるではないか。これじゃベティの性格のよさを愛する殺し屋のほうがましだな。すべてが自分の妄想だったと気がつくと同時にスタジオで失神したベティは、ローラの部屋で目をさます。そこへヤクを取り返しにやってきたチャーリーらと保安官の銃撃戦。ふしぎなのはふわふわしたコメディ調の本作なのに、銃やらナイフやらがちょっとでもでてくると、急に本格的な銃撃戦やらアクションになるのだ。ちょっとアンバランスじゃないの?▼田舎町のベティを取り巻く人はみなベティにやさしい。夢遊病みたいなところのあるベティを愛している。彼女が働くレストランでは、ベティの誕生日に「デヴィッド先生」の等身大の人形と、看護師のアルバイトをしていたベティが、ちゃんと学校へいって資格がとれる足しにと資金カンパしてくれるのだ。この映画を最後までみたのは、ゼルヴィガーの無垢キャラゆえか。いやいや、故郷の人たちとは打って変わり、彼女をとりまく人間のいやらしさ、テレビの人気者でも所詮欲深くてエゴイストで弱い者いじめ、犯罪人はモーガン・フリーマンを除いて粗暴で卑しい、ベティという存在は、それらを妙にリアルに逆照射させるのですよ。

Pocket
LINEで送る