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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2014年3月3日

特集 LGBT-映画にみるゲイ ボーイズ・ドント・クライ(1999年 ゲイ映画)

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監督 キンバリー・ピアース
出演 ヒラリー・スワンク/クロエ・セヴィニー

永遠の愛をこめて 

 とうとうこの映画の番になりました。つらくてなかなか書けなかったのですが、いつまでもそうじゃいかんな、という気がして。この映画が世に送り出されたという事実のためにも、自分が感じたいろんなことをはっきりさせ、同じ問題に対する自分の立ち位置や考え方を確認する義務みたいなものが自分にも、人間にもあるのでないかと思いました▼映画のオープニングは画面が暗く、夜か、濃い夕暮れか、雲かなにかよくわからないがなにかが空を飛び去っていくような、不安をかきたてるような導入です。登場人物が現れたとおもったら、いきなり差別用語オンパレードです。「変態め」とか「おまえ男じゃないのに女になにするつもりだ」とか「ダイクだと認めろ」とか、主人公のブランドン(ヒラリー・スワンク)はさんざん罵声を浴びせられ、意気消沈してフォールズ・シティのバーに入ってくる。カウンターのとなりにいるキャンディスがその様子をみて「いやな夜なの?」と声をかける。ブランドンは「最悪だよ」と答える。彼女の友達がラナ(クロエ・セヴィニー)だった。ブランドンとラナは惹かれ合った。ブランドンには従兄がいて彼はゲイである。ラナにプロポーズするとブランドンは従兄にうちあける「フォールズ・シティで同性愛者は殺されるぞ。手術は? 自分が女だと告白したか?」「今度はきっとうまくいく」「いっそ監獄へいくことになるぞ」▼ブランドンは20歳。車両窃盗で青少年犯罪歴にデータがある。免許証の提示から検索されたブランドンは犯罪歴が暴かれブタ箱入り。ラナが面会いに来た。ブランドンは飛び上がる。いちばん隠していたことがばれてしまったのだ。「ラナ。なぜここへ」あわてるブランドンに「あなたこそ女子監房でなにをしているのよ。ちゃんと話して」「真実を? とても複雑な話だ。おれは両性なンだ」「?」「両方持っている。男と女の性別要素をどっちも持っている」ブランドンは汗をにじませ苦しそうに言う。「本名はティナ・ブランドン。つまり」ラナはいきなり遮り「黙ってブランドン。関係ないわ。あなたがどっちだっていいの。わたしがここから出してあげる!」身柄引受人となったラナといっしょに走って警察から出ていくブランドンの後ろ姿が幸福にあふれていました。ラナはそれまでにブランドンが女だということを感づいています。ふたりが初めての行為のとき、ラナは「ハンサムね」といってブランドンの顔にてのひらをあてる。やわらかな頬、シャツの胸の隙間から見えるかすかな隆起、Gパンの上からでも感じるなだらかな下腹。ためらいがあって思い切った動きに移れないブランドンにラナはやさしくいいます「わたしにまかせて。ブランドン」▼ラナの母親の愛人ジョンというのが刑務所帰り。彼がラナに横恋慕する。ラナがブランドンを愛し自分に振り向きもしないことで煮えくり返っている。母親はラナに「あなたを助けたいのよ。あなたが心配なの。あんな薄汚い同性愛のくそったれに惑わされないで」ジョンとその手下のトムがラナの留守中、母親や妹のいる前でブランドンをレイプする。女たちはさすがに目をそむけるが男の強姦に容赦はない。ズタズタになって路上に放り出されたブランドンを帰ってきたラナが見つける。助けようとするラナにそれでも母親は浴びせる「化け物を家にいれないで!」救急車で運び込まれたブランドンを女性看護師は傷ましげに手当するが、警官らの事情聴取はもはや見世物である。生まれつき性の障害があり医者にかかっても治らなかったことを話すブランドンに「障害とはなんだ、具体的に説明を。どこにどうされた。挿入は?」「膣です」「君は男だろ」懸命に事情を話そうとするブランドンの目から絶え間なく涙がこぼれおちる▼ズタズタになったブランドンがどこにいくあてもなく、キャンディスを訪ね納屋で夜をあかそうとした。ラナが探し当ててきた。「どんなだった? 男になろうと思う前は。わたしみたいに外見も女だった?」「ああ。ずっと昔はね。それから男だったり女だったりした。今でも。でも不思議だった。ずっと心が落ち着いた」「わたしも完璧じゃない。心配しないで。あなたの夢をみたこと覚えている? いっしょに旅をする夢よ。町をでましょう」「いつ」「今夜すぐに」ラナは翼の折れた鳥みたいなブランドンを抱き「どうやって愛し合えばいいの?」とつぶやきます。ブランドンはもう焦りもためらいもなく「自然とわかるよ」。これ以上たちいった状態は映されませんが、キンバリー監督が本作の数年後「Lの世界」のエピソード「彼女たちの情事」を撮ったことを思うと、まだまだ社会のしめつけは厳しかったのですね▼先に出発しようとしたブランドンをジョンが襲撃します。虫ケラのように撃たれたうえ、ナイフでまで刺されたブランドンの胸にラナは顔をよせて動きません。ポケットにラナあての手紙があった。「君がこれを読むころおれはリンカーンにいる。このさきとても不安だけど、君を思えば生きていける。君を待っている。永遠の愛をこめて。ブランドン」ブランドンは21歳だった。ブランドンとの約束を守りリンカーンに行ったラナは、その後フォールズ・シティにもどり娘を産んだ。つかの間の幸せが、相思相愛の幸せがブランドンの短い一生の上にあったことをよかったと思う。ジョンは死刑判決を受け控訴中、手下のトムはジョンの不利になる証言をして終身刑に減刑されたとある。控訴? 出てきたらぶっ殺してやる。

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