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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2014年3月8日

特集 LGBT-映画にみるゲイ51 カウガール・ブルース(1994年 ゲイ映画)

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監督 ガス・ヴァン・サント
出演 ユマ・サーマン/レイン・フェニックス/ジョン・ハート/キアヌ・リーブス

アンドロイド的なユマ 

 ユマ・サーマンはこのとき23歳でしたね。20歳でゲーリー・オールドマンと結婚して2年で別れていますから、本作は離婚直後の作品です。それにしてもどこか子供っぽいな。180センチ以上の長身でのちに「キル・ビル」なんかで見せるアクションもなかなかいいという、シャープな体躯のわりに時々みせるトロンとした目つきが、マレーネ・ディートリッヒに似ていたりする。もっともユマ・サーマンの場合、ディートリッヒが倦怠と傲慢をうまくそのなかに隠した「トロン」ではなく、天然味の「トロン」に近い。本作でもノンビリした「トロン」の目が随所に出てきます。こういう性格だから11年間も気ままにヒッチハイクやってこられたのだ、と思わせるヒロインです▼生まれながらに異常に大きなシシー(ユマ・サーマン)の親指には、宇宙創生のパワーが宿っている。彼女が親指を立てれば止まらない車はなく、流れ星さえ方向を変える。シシーはその「神が与えた力」を自覚しているいっぽう、自分は「奇形だ」といってはばからない。つまりクイアでありフリークスである。ガス・ヴァン・サントの描くマイノリティとアウトサイダーの世界に彼女も身を置いています。彼女は強烈ないインパクトのある親指のため普通の生活ができず、ヒッチハイクに出てアメリカ大陸を何度も横断縦断している。シシーがまだ十代のとき最初にモデルに採用したのがロシア男の「伯爵夫人」つまりゲイの牧場オーナーであるカウンテス(ジョン・ハート(「エレファント・マン」)だ。カウンテスから手紙がきて(シシーは各地に私書箱を設置して自分への連絡をチェックしている)「紹介したい男がいる」というのでニューヨークに行った。そこで待っていたのはインディアンの画家ジュリアン(キアヌ・リーブス)だった。ジュリアンはシシーを見てショックを受け持病のぜんそくの発作を起こす。キアヌはものの10分足らずで退場です。ふざけているよな(笑)▼カウンテスの推薦でCF撮影のため牧場にきたシシーは、初めてカウガールの存在を知る。彼女らのリーダー、ジェリービーン(レイン・フェニックス)が言うには、カウガールの歴史は古くからあった、しかし男社会の抑圧と搾取により添え物としてしか扱われず、正当な評価も得られなかった、この牧場でもカウガールは不当な差別を受けている、自分たちは自由と誇りを取り戻し、この牧場を正当な手続きを経て自分たちの拠点としたい、そして絶滅の危機に瀕するアメリカシロヅルの飛来地である、当地の優れた環境を保護するのだと主張した。シシーは感動しジェリービーンと深く愛しあう。とてもけっこうだわ。でも文句つけるわけじゃないけどこのシーンね、ユマ・サーマンが例の「トロン」とした目でレイン・フェニックスを見つめキスしにいくのですが、ユマ・サーマンという女優、どうしてこうあっさりしているのだろう。どっかユニ・セックス的・アンドロイド的で、シシーにすれば生まれて初めてにちがいないセックスなのに、やさしくはあるのですが、エロティックでもなければ興奮しているふうでもないのです…まるで植物のツルがまきつくみたいでね。マアいいか、ひとのセックスをとやかく言うまい▼地球環境ならびに野生動物の保護、エコノミー、同性愛、フェミニズム、資本主義並びに家父長制度とその社会への批判が盛り込まれ、仙人のような日本人まで現れる。ジェリービーンたちはシロヅルのえさにドラッグを混ぜるなど、とんでもないことをするものの飛来の長期滞留に成功、オーナーが妥協し、牧場は晴れてカウガールたちの管理下におくことが法的に認められた。シシーとジェリービーンの交歓は日増しに濃くなるが「移動すること」で生きてきたシシーは定着することに尻込みがある。愛しているとジェリーがささやくと引いてしまう。それを指摘されたシシーは「もしそうだとすればそれはわたしたち二人の問題だわ。どんな関係にもなにかある。生徒に悩まされる先生、患者に困らせられる医師、愛し合っていても問題を感じることはあるものよ」と、よくわからんがどことなく意味の深そうな意見を述べる。そうはいいながらも自分から「愛している」とジェリービーンに言うようになり、ここを離れるつもりはないことを伝えるのであるが…ハッピーエンドではないですが、それなりにソフトランディングでした。シシーとカウガールたち、いわゆるアウトサイダーたちをみるガス・ヴァン・サントの自然流というか無手勝流というか、なにかをこじつけようとしない、無理のない視点がいいですね。カウガールたちが下半身を露出し、臭いをまき散らしながらパーティ会場に繰り出すという、パンチの効いたシーンも含めて。

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