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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2014年3月17日

特集 LGBT-映画にみるゲイ60トランスアメリカ(2005年 ゲイ映画)

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監督 ダンカン・タッカー
出演 フェリシティ・ハフマン/ケヴィン・ゼガーズ/グラハム・グリーン

ブリーって素敵だ

主人公のブリーを演じたフェリシティ・ハフマンという女優さん、いいですね。「デスパレートな妻たち」で注目された人で、面長のどうかしたときの表情が、ジェニファー・ビールス(「L の世界」)に似ている美人です。なんといっても彼女のブリーに感動しました。ブリーはロスに住むトランスジェンダー。レストランのウェイトレスをしている。念願の性転換手術を一週間後に控えたブリーに、ニューヨークの拘置所から電話がかかった。息子を預かっているというのだ。17年前たった一度関係した女性エマとの間にできた子、トビー(ケヴィン・ゼガーズ)だった。息子がいると知らなかったブリーだが、きけばトビーの母親は死に、一時引き取られた母親の実家からも家出し、男娼をして麻薬にも手をだし、今回捕まったのは窃盗だという。憂鬱そうにブリーは保釈のためニューヨークに向かう。手術は週末の金曜日だ。それまでにすべての問題を整理して帰るのだ、と自分にいいきかせつつ。ブリーは「教会の更生施設から派遣された者」と偽り、息子に会う。ブリーはトビーを実家に連れていったがそこで継父の性的虐待を知る。置いておくのはとんでもない。仕方ない、ロスに連れて行こう。そこでふたりの「トランスアメリカ」(アメリカ横断=変容のトランスとかけてある)が始まった▼ブリーはいきなり現れた息子に戸惑っていたが、ろくな言葉遣いも知らないトビーに「その言い方をやめなさい」と丁寧に、根気よく注意し、歴史や地理の基礎知識を教え、将来なにになりたいのか、とか尋ねる。トビーは俳優になりたいと答える。やがてふたりはブリーの実家に到着する。ドアをあけて立っている中年女性が、女装した息子スタンリーだと知ってブリーの母親は驚倒し嘆く。決して好意的な対応ではなかった。母親は「かわいそうなスタンリー。見ておれないわ。ご近所に見られたらどうするの」父は「母さんはお前を愛しているよ」母「愛しているけど認めていないわ」。トビーが自分の孫だとわかった母親は態度を軟化させ、トビーだけここに置いて行けとまで言う。ブリーは自分が実の父親であることを隠しているし、トビーも本当のことを知らないながら、血は争えないのか、だんだん親近感を覚えてきたふたりだった。あるとき用を足すブリーにペニスがあるのを見て、トビーは衝撃を受ける。親切な、少しおせっかいなおばさんとしか見ていなかった彼女は女装した男性だった。トビーの態度は一変しブリーを「化け物」とののしる▼旅の途中でいろんな出会いがあった。トラックの運転手カルヴィン(グラハム・グリーン)はブリーの知性あるつつましさに好意を持った。ブリーは大学時代(つまり男性時代)優秀な学生だった。カルヴィンは「どんな女性にも秘密をもつ権利がある」といい、無用の詮索をしない。カルヴィンも言う「わたしには隠していることがある。わたしは前科者だ。左の目はほぼ失明。左の脚に銃弾の破片が入っている。だがこの近くへきたら電話してくれ」。グラハム・グリーンが渋いですねえ。「グリーンマイル」では最初に処刑されるネイティブ・アメリカンの囚人、「翼をください」ではガーデニングでヒロインの心を慰める庭師に扮しました。ところが「あの人たち(家族のこと)が一度でいいから本当のわたしをみてくれたら」と悲しむブリーに、とうとう最大のピンチが訪れる。ホテルに投宿したときにトビーは言うのだ「結婚しよう。せまい家でいい。いっしょにいたい。あんたはセクシーだ。おれには本当のあんたが見える」▼旅する一週間。わずか一週間ですがトビーにしたら驚天動地の連続でした。いつしかその生き方に惹かれるようになっていた相手は女と思っていた男、しかも自分の父親。トビーは思い描いていたのです。「おれの父親は立派な人だから、おれはスーツを着て父親に会いに行くのだ」泣かせますね。ブリーは言います。「ごめんね。わたしで。金持ちでも立派でもないわ。夢を破っちゃったわね」トビーのショックは大きすぎてとてもブリーを許せず、ブリーのもとから去ります。なんとか金曜日までにロスに戻れたブリーは病院へ到着。長い廊下を毅然と胸を張って歩いてくる。性転換手術は無事に終わり完全な女になりました。夢を叶えたのです。レストランできびきび働くブリー。女らしいこぎれいなブリーの部屋をトビーが訪れた。俳優になる夢は曲りなりにも実現。ポルノ俳優として出演しているという。ブリーはいつか大学に戻り研究を再開させたいと、部屋は専門書でいっぱいだ。明るいロスの日差しが部屋に満ちている。ソファに腰掛けくつろいで雑誌を読んでいる息子に、ブリーは静かな声で言う「わたしのきれいなテーブルからその足をどけて」トビーはあわてて足をおろす。素直に。

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