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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2014年3月23日

特集 LGBT-映画にみるゲイ66
フル・モンティ(1997年 ゲイ映画)

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監督 ピーター・カッタネオ
出演 ロバート・カーライル/マーク・アディ/トム・ウィルキンソン

一糸まとわぬスッポンポン

ゲイがテーマではないのですけどね。ストリップするために集まった6人の男性が、トラブルとストレスを乗り切りながら一生に一度「フル・モンティ」のショーをやる、なかなかうまくいかない、離脱者もでるし、警察にしょっぴかれたりする。チン騒動を起こしながら初志貫徹しようと練習に励む、ひょんなことからメンバーのふたりがしっかりと結ばれる、それを見た仲間が「あいつら芸にめざめたのだ」「ゲイを極めたのさ」なんてジョークをとばす。わりとセンスのいいコメディでした。今でこそ男性ストリップショーは珍しくなくましたが、映画は1990年代、それもイギリスの片田舎。ストリップを見る立場であった男が見られる立場になったとたん、たちまち被虐的になるところなんかが、きっちり描かれていましてね。それまで女に向かってタレチチだ、腹が出ている、シワだらけだと好き放題言っていた男が「おれたちだってその通り言われる」ことに恐怖を感じる。逆に見られる立場であった女が、町にやってきた男性ストリップショーを見る立場になって意気軒昂、彼女らは失業中の夫にかわりスーパーで働き、家事を片付け、食事の支度もして夜になったら連れ立ってストリップを見にいく、小屋は男性客入場禁止で女たちだけの行列ができている、詰めかける女たちの元気なこと。言辞行動ともパワフルになってそれまで受動的だった意識が逆転している。直接の裸云々より、裸がまとっているジェンダー(性差)の落差がピリッと辛子を効かせていました▼イギリスの北部シェフィールドは鉄鋼の町。鉄鋼業界の冷え込みで、25年前の栄光は見る影もなく廃れてしまった。産業革命以来イギリスを代表する世界の牽引車だった鉄の力は失われ、男たちは失業。毎日職安のオフィスに行き、雑談やカードで時間をつぶす。みなりはだらしなく、うらぶれて覇気は失せた。北部イングランド独特の、どんよりと重い灰色の空の下に、それよりまだクソ重い〈失業〉というユーウツが垂れ込めている状態を、一種のユーモアをまじえて監督は開陳する▼ガズ(ロバート・カーライル)は失業者のひとり。バツイチだ。別れた妻はすでに別の男と世帯をもち、ガズが700ポンドの養育費を払えなければ息子ネイサンの親権を剥奪するという。ガズは息子といっしょに住んでいる。息子を奪われないためになんとか金をつくりたい。同じく失業中の親友デイヴと歩いている時、男性ストリップショーに町中の女が詰めかけていることを知る。デイヴの妻も夢中だ。小屋に潜入したガズは、熱狂する満員の女性客をみて、自前でストリップショーをやることを思いつく。しぶるデイヴを説得し団員募集にかかった。かつての同僚ロンパーは自殺しようとしていた。もと上司のジェラルド(トム・ウィルキンソン)は、失業を妻に隠して毎日出勤するふりを装って職安に通っていたが、ダンスの心得のあることからストリップに勧誘される。冗談じゃない、とジェラルドが断り面接を受けにいくと、ガズが妨害してご破産にしてしまう。仕方なくジェラルドは仲間に。彼らは空き倉庫を面接会場にし、オーディションを始めた。応募にきた黒人のホースはかなりの年齢だったがダンスのセンスがよく合格。ガズは踊りがまったくダメだが「大きさだけは自信がある」と披露に及んだところ全員が一目みて合格。父親のとんでもないアイデアに呆れていたネイサンだったが、自分を手放したくないがゆえの父親の真意がわかって全面協力。音楽係を買ってでる。メンバー6人がそろった。しかし会場を抑えるために払う前金が作れない。ネイサンは小遣いをためた100ポンドの預金通帳をもって銀行に行く。太ったデイヴは、みっともない自分の体でストリップなんかできるはずがないとリタイアする。彼は失業のストレスからデキなくなっていて、妻に応えられないのだ。必死に体をしぼろうと密かにダイエットを始めるが、夫の挙動不審に妻はてっきり浮気だと勘違い。おいつめたところガズたちとストリップショーをやることになったが自信がないというではないか。おれの裸なんかだれも見たがらないと嘆くデイヴに「わたしは見たいわ」と妻が言う。スッタモンダのあげくやっとステージに立つのですが「前代未聞、鉄鋼ストリップ」という新聞のスッパ抜きによって彼らのストリップは町中の評判になっていた。小屋は満員で熱気むんむん。男たちは音楽にのって服を脱いで上半身裸に。ガズ以外だれひとりまともな筋肉ではないにもかかわらず、究極の開き直りが興奮を巻き起こす▼彼らが練習のために見るビデオが「フラッシュダンス」です。溶接工として働くジェニファー・ビールスは当時イェール大学在学中で20歳くらいだったでしょうか、溶接マスクをとって一瞬ですが顔をみせます。あれから30年。社会現象となった「Lの世界」の主役として華々しく帰ってきました、年齢相応の自然な変化こそあれ体型もそのまま、全然変わっていませんでしたよ。フル・モンティのモンティは第二次世界大戦のイギリス陸軍のモンゴメリ将軍の愛称。モンゴメリ・クリフトもモンティでしたね。彼は確実な勝利をもたらすために徹底的な準備をし、勝ち戦のできる将軍ということで部下の信頼と人気があった。そこで周到な準備で徹底的にやることが〈モンティ〉という意味に使われるようになったとか。フル・モンティとは文字通り〈一糸まとわぬスッポンポン〉です。

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