女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集 LGBTー映画にみるゲイ

2014年3月29日

特集 LGBT-映画にみるゲイ72
翼をください(2001年 ゲイ映画)

Pocket
LINEで送る

監督 レア・プール
出演 パイパー・ペラーボ/ミーシャ・バートン/ジェシカ・パレ

翔べないはやぶさ

主人公のポーリーがちょっと幼すぎて、共感を得にくいのではないかと思うのですけど。ポーリーは全寮制女子校の生徒。演ずるハイパー・ペラーボは24歳だったから、ずいぶん年齢のギャップがあるものの、まあ不自然ではなかったですが。彼女の恋人がトリー(ジェシカ・パレ)です。そこへ転校生としてやってきたメアリー(ミーシャ・バートン)が同室になる。3年前母を亡くした彼女は継母とうまくいかず寄宿学校に入ることになった。ミーシャ・バートンは15歳だった。美少女とはこういう子をいうのかと一瞬息をのむような子である。瓏長けたというのではなく14、15歳という思春期の少女らしい、外の世界に対する内気さを隠し、屈折しやすい複雑な内面を無理なく表象している。このミーシャ・バートンに比べると、ペラーボもパレもどこか誇張がありますね。映画はメアリーの「語り」によって進みます▼トリーは美しく頭もよく、育ちの良さがよくわかる。ポーリーは学内ではアウトサイダー的言動が目立つがそれゆえみんなの注目を集める存在。ふたりは仲がいい。性格は対照的だが、ポーリーもトリーもお互いを信頼し、大切にしていることがメアリーにはよくわかる。ふたりもさびしそうなメアリーにやさしく、メアリーもだんだん打ち解けてくる。何も知らないメアリーは、夜目を覚まして同室のふたりのベッドがカラで、窓の外をみると木陰でキスしているのを見たがうぶな彼女は(ボーイフレンドができたときの練習をしている)なんて思う。でもある朝ベッドにいる素っ裸のふたりをみて、さすがに何の練習とも思えず察しをつけるが、聡明なメアリーは騒ぎもせず奇異にも感じず、こういう愛もあるのだからその行方を見守ればいいと受けとめる。落ち着いたいい子ですね。でもメアリーみたいな子ばかりじゃないのだ。三人の親密な平和な関係が続いていたが、同じ学校の下級生であるトリーの妹と同級生が、姉とポーリーが愛し合っている現場を見る。トリーは動揺し、妹が両親に知らせることを恐れ、あからさまにポーリーを拒むだけでなく、同性愛者という烙印を払拭するため兄の友人ジェイクと付き合い始める。ポーリーは深く傷つく。ポーリーは森で傷を負って飛べないでいるはやぶさを見つけ餌を与え手当した。飛べなくなったはやぶさは、まるで自分自身を見るようだったのだろう。はやぶさはポーリーになつき、肩に乗って移動するまでになった▼食堂でもトリーはポーリーのそばに来ない。同じ部屋にいるときもよそよそしい。今までポーリーを崇めるように群がっていた女生徒たちは潮が引くようにポーリーを避ける。メアリーだけが「トリーには時間が必要なのよ」と静かに時を待つよう忠告するが、激情家のポーリーは返事しようとしない。事態は刻々破局に向けて進む。ポーリーはジェイクにフェンシングの決闘を申し込み、メアリーを立会人に、はやぶさを連れて森の中の決闘の場所に行き、対決してジェイクの足に剣を突き立てる。決闘のあと負傷者の助けを求め学校に駆けもどったメアリーは、校庭の空に飛翔するはやぶさを見た。女生徒たちが驚いて見上げた校舎の屋根にポーリーが立っている。はやぶさは大きく輪を描きポーリーの肩にとまった。先生も校長も悲鳴をあげてポーリーを阻止する。トリーもいた。メアリーも叫んだ。ポーリーはゆっくりと翼のように両手を広げ翔んだ。翔んでしまったのだ。痛ましくも取りかえしようがない▼ポーリーが同性愛だと批判され、自分はただトリーを愛しているのであって同性愛者ではないと激しく反撃するシーンがあるのですが、これって成り立つことなの? そりゃね、女の子同士でベッドに入っているところを見られたからって、あわてふためいて言い訳に走ったトリーもカッコいいものじゃないけど、ポーリーのあまりの直情径行にビビってしまったトリーの弱さも責められないと思うのよね。このふたりが学校生活をなんの懸念もなく送っていたシーンがあるけど、みていて気持ちいいくらい仲良くてのびのびしているのね。できうればあの幸せが続けばよかったのに。メアリーのいう「時間」が解決したかもしれないしね。でも仕方ない、なにしろ翔んじゃったのだから。本件は「これにて終了」にしよう▼さて、お気に入りのメアリーだが、ミーシャ・バートンのその後は本作の「メアリー」とは打って変わって激変する。酒気帯び運転で逮捕、マリファナ所持で逮捕、アルコール依存症で入院、一時はパリに引っ越した。風の便りによれば激ヤセと激太りを繰り返したとか。どこまでが本当かしらないが、歩くスケルトンみたいな映像が流れたのは事実だ。ただ2008年「あの日の指輪を待つきみへ」のキャンペーンで来日したとき、お騒がせ女優の噂に反して、丁寧にインタビューに答えるクレバーな女優という印象を与え、かつての「メアリー」の一面を示した。「あの日の」ではリチャード・アッテンボロー監督の抜擢に応え、シャーリー・マクレーン演じるヒロインの若き日を好演した。まだ27歳だ。もたもたするにはもったいない年齢だ。

Pocket
LINEで送る