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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2014年4月7日

特集 LGBT-映画にみるゲイ81
恋のミニスカウェポン(2004年 ゲイ映画)

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監督 アンジェラ・ロビンソン
出演 サラ・フォスター/ジョーダナ・ブリュースター/ホランド・テイラー

彼女は最高

 最初に舞台裏をいうと、アンジェラ・ロビンソン監督は本作の2年後、ゲイ映画のランドマークとなった「Lの世界」の監督・脚本として登板します。本作でスパイ学校の女性教官ミス・ピートリーを演じるホランド・テイラーは「Lの世界」のペギー・ピーボディです。レスビアンの娘ヘレナの母親。使い切れない資産を有する世界的な大富豪にして本物の知性と教養を備えたピーボディ財閥の総帥という、アホらしいほどカッコいい役でした。ロビンソン監督の長年の盟友にジェイミー・バビットがいますが、彼女もまた「Lの世界」の監督陣のひとりです。水脈をたどれば「Lの世界」のシーズン「1」でシェーンのストーカーになったタミー・リン・マイケルズはロビンソン監督が本作の前に撮った短編に出演する女優です。まさにゲイ映画は一日にしてならず。本作の内容ときたら高校生のミニスカのガキが、国家機密をスパイするなんてどうしようもないマンガですが、マンガなりに〈見せる〉のですよね。女ふたりがじわじわと距離を縮めていくプロセスが、いかにもおもしろいのです▼悪の天才ルーシー・ダイヤモンド(ジョーダナ・ブリュースター)の得意技はダイヤモンド泥棒。2年前に世を捨てて行方をくらましたルーシーがこの町にもどってきた。秘密の準軍備学校「D.E.B.S」に学ぶ4人の学生、エイミー(サラ・フォスター)、マックス、ジャネット、ドミニクにルーシー逮捕の命令が下る。いっぽう悪の隠れ家にいるルーシーはお見合いのレストランにいくよう相棒から急かされている。彼女は2年前ひどい振られ方をして引きこもりになり、気をまぎらすためにオーストラリアを沈没させようとしたり、南極に閉じこもったりした、しかし一向に「悪の女神」として再起する気配はない。心配した相棒は「失恋の痛手は恋でおぎなうしかない」とお見合いをお膳立てしたのに、直前になってルーシーは渋る。相手はロシアの殺し屋だ。「美人だぞ、デートしろ!」相棒の「美人」の一言にやっとルーシーは重い腰をあげる。そう、彼女がゲイなのだ▼さてお見合いの席である。「殺し屋って人を殺す仕事ね」とルーシー。「ダー。手足も切るわ。別料金で」美人の殺し屋ニノチカは金髪のグラマーである。「羊飼いをころすときは羊の毛を刈るハサミで。チキンが好物の男を殺すときは6羽のニワトリをのどに詰めて窒息死させた」と自己紹介しているとき、レストランに潜入したミニスカ班がルーシーを攻撃、撃ちまくりながら追い詰めた倉庫で、ルーシーとエイミーが鉢合わせをする。お互いに銃をつきつけあっているうちにエイミーの卒論が「悪の天才ルーシー・ダイヤモンド」であること、エイミーがきれいなブロンドのルーシー好みの女の子であること、ルーシーもまた魅力的な殺し屋であることがわかってきて惹かれ合ってしまう。エイミーを探す同僚らの声に一瞬ふりむいた隙にルーシーは忽然と姿を消した。ルーシーが生かしておいた目撃者はエイミーだけだということで、エイミーはルーシー捜査班の班長となった▼ルーシー捜査網はせばまり、班長は義務と責任でがんじがらめ。話をはしょるとルーシーはエイミーを誘拐した、という形で隠れ家にとじこもり、ハネムーンさながらの甘い一週間をすごす。マックスらが踏み込んできたときはベッドで真最中だった。仲間の彼女らは突っ立ったまま思わず発する「そんなにイイの?」。ルーシーは逃亡しエイミーは学校に戻るが「ミス満点」と呼ばれている最優秀学生エイミーが、行方をくらまし、ぶっ続けにルーシーと情事に及んでいた事実をどう収拾する。上官ミス・ピートリーも頭をかかえた。助け舟をだしたのがルーシーの部下マックスだ。ここは学校の名誉のために、知らぬ顔を決め込んで事を隠蔽するしかない、エイミーは誘拐されながらも隙をみて脱出、自分たちが踏み込んだときルーシーは逃走したあとだった、卒業パーティで予定通り成績最優秀のエイミーがルーシー追撃のプロセスを報告することで一週間不在だったお茶を濁そう。パーティにはエイミーはもちろんボーイフレンドをともなって出席し、よからぬ噂を払拭するのだ▼パーティが始まった。エイミーのスピーチを会場に忍び込んだルーシーが聞いている。エイミーはなにを言うのか。途中までシナリオ通りの文言でルーシーの悪行を肯定してきたエイミーは、ルーシーがそれを聞いていることを知って、自分の気持ちを欺いている自分に我慢できなくなる。ここからラストまでがこの映画のヤマですね。けっこう聞かせるのです。同性愛者の命がけだったカムアウトは、なんとミニスカの学生が満座を前に「彼女は最高だった」と言ってのける、天真爛漫のカムアウトができる時代なってきました。エイミーがルーシーと暮らす条件が「ルーシーを更生させる」です。盗まれた名画がいつのまにか美術館に戻り、強奪された銀行にはいつのまにか全額が振り込まれ、という「更生」の具体化には笑いました。

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