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シネマ365日

2014年4月15日

ベティ・ブルー (1986年 恋愛映画)

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監督 ジャン=ジャック・ベネックス
出演 ベアトリス・ダル/ジャン=ユーグ・アングラード

旅に出よう、ベティ

 恋愛映画としたけれど、これはもう純愛物語ですね。主人公はタイトル・ロールのベティ(ベアトリス・ダル)だが、その恋人ゾルグ(ユーグ・アングラード)の語りで映画は進行する。「ベティは透明な感性をもつ奇妙な花だ」とゾルグは言う。喫茶店でウェイトレスをしていたベティは店主に嫌気がさして店をやめ、ゾルグの部屋に転がり込む。ふたりは毎晩セックスする。海辺のコテージで一人暮らしをしているゾルグは30歳、ベティは18歳。ベティを見ていると「脚を折った野生馬が立ち上がろうと必死でもがき、輝く草原を夢見て暗い柵の中に迷い込む」ようだとゾルグは思う。これ以上付け加えることはないほどだ。家主が500軒のコテージのペンキ塗りをおしつけ(しかもただで)ゾルグが従順にいうことを聞いたと知ったベティは怒りにまかせ家主の車にペンキをぶちまけ、部屋中の家財を二階から撒き散らす。ゾルグが小説を書いていると知ったベティは夜を徹して夢中で作品を読み耽る。ゾルグを馬鹿にする家主にベティは激昂し「彼は偉大な作家よ。天才よ」そう言って家主を二階からつきとばし、火のついたランプを部屋に投げ込み家を全焼させる。過激である▼ベティの古い友人リサを頼ってパリに出たふたり。ベティは部屋にこもってタイプを打ち、パリ中の出版社に原稿をおくりつける。返事のひとつはこうだった「あなたの小説のような悪趣味は初めてです。吐き気を催します。このような作品は本来の場所に、つまりあなたの脳の沼地に返るべきです」ベティはその編集長のマンションに怒鳴りこみ、櫛で顔をひっかき告訴される。警察署長はゾルグの説明を聞きながら、黙って引き出しから分厚い原稿の束をだし「おれなんかあいつに27回も突き返された。あいつこそ能なしだ。よくやった」しかし「告訴した以上もみけすわけにいかん。いちばんいい方法は奴に告訴を取り下げさせることだ」ゾルグはその足で編集長を訪問。微笑を浮かべ「ベティはおれの命だ。刑務所にいれるわけにいかない。告訴を取り下げてくれ」それまでベティに振り回されるまま、なにひとつ主張しなかったおとなしいゾルグが、合口をつきつけ脅しあげるのだ。ゾルグの大胆不敵な行動はまだある。彼は女装して強盗に押し入りがっぽり現金をまきあげる。島を買い土地を買い、そこでベティの好きなことを全部叶えさせてやるため…▼リサの恋人エディの母親が死んだ。ゾルグとベティはリサとエディを車にのせ900キロ離れたエディの故郷に行く。母親が残したピアノ店をひきつぎ、ゾルグとベティはそこで暮らすことにする。ゾルグは働き者だし、たまにベティが店番をするとなぜか知らないが、上手にピアノを売るのがゾルグは不思議だったが。ゾルグはベティにベンツを買ってやる。ドライブに行き広大な草原をみはるかし「目に入る限りの土地を買う。この静けさも安らぎも君のものだ」そして車のトランクから取り出したものはケーキ。「20歳のお祝いだよ、ベティ」永遠の愛の誓いはしかしベティの精神の変調で破られる。子供が生まれることを待ちわびていたベティは妊娠の兆候に歓喜するが、検査の結果陰性だとわかったとき、ゾルグがどうすることもできないショック状態に陥り、自分で自分が許されず右目をえぐってしまう▼ベティが収容されたのは精神病院だ。理性がもどることは困難であり、植物人間として生きていくのだ。ベティが原稿を送りつけた出版社のひとつから契約したいという電話が入った。ゾルグはベティに知らせたいが、結婚しておらず家族ではないゾルグは面会が許されない。ゾルグは再び女装して受付をすりぬけ病室に入る。出版の報告をしてもベティの反応はない。残った目が黒い穴のように見開かれている。ゾルグは言う「ふたりで旅にでよう、ベティ」。ベティに出会うまえのゾルグは30歳になろうというのに人生になんの目的もなかった。ベティだけが彼の才能を信じ、偉大な作家だと確信しその通り行動した。他人がゾルグをいいかげんに扱うのが我慢ならなかった。そんなベティに自分は守られてきたことをゾルグは知っている。ふたりで旅にでよう。そこではだれにも邪魔されないふたりだけの時間が流れるのだ。ゾルグはベティを窒息死させ、薬漬けで命だけながらえる肉体からベティを解放する。ラストシーンはゾルグのアパートだ。ゾルグは黙々と原稿用紙に向かっている。「書いているの?」ベティの声が聞こえた気がした。その方向をみると二人が可愛がっていた白猫がじっとゾルグをみつめている。その猫に言う「考えていたんだ」部屋は静かである。

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