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シネマ365日

2014年4月17日

サンシャイン・クリーニング (2008年 家族映画)

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監督 クリスティン・ジェフズ
出演 エイミー・アダムス/エミリー・ブラント/アラン・アーキン

温かい気持ちになれる

 殺人現場の清掃というテーマは「 フェティッシュ 」(1996 レブ・ブラドック監督)や「ザ・クリーナー 消された殺人」(2009 レニー・ハーリン監督)がありました。壁に肉片が飛び散り、床に血溜まりが広がり、頭蓋骨が吹っ飛び、ちぎれた指が部屋のすみに、バスタブには毛髪がこびりついていたりする。部屋中が酸鼻を放っている。死者が感染症の保菌者であることもあるから、現場に残った血液は危険なものだ。掃除人はしっかりと(宇宙服とまではいかないが)防御できるユニフォームを着て現場に入るのである▼ローズ(エイミー・アダムス)は30代半ば、小学校の男の子をかかえ、ハウス・クリーニングで生計をたてるシングルマザーだ。田舎の高校ではチアガールとして男子の憧れの的だったが、今は元同級生と不倫するしがない中年の主婦。不倫相手は警官で、彼が犯罪現場清掃業を紹介する。ローズは無職の妹ノラ(エミリー・ブラント)に声をかける。自立するでもなく、定職を探すでもなく、いまだに父親ジョー(アラン・アーキン)といっしょに暮らすノラはしぶしぶ引き受ける。父親はあやしげなお菓子やエビやらを訪問販売している。姉妹の母親は女優だった。彼女らは母親のことをいうとき「お母さんは才能があって美人だったから台詞のある役をもらえたのよ」と言う。ウェイトレス役の母親が発する台詞はたった一言だったけれど。どことなくやるせない空気をただよわせて映画は始まる▼不倫相手の警官が結婚したのは高校時代、まったく冴えなかった同級生だ。しかし彼女はローズにあうと「花形チアリーダーもみる影ないわね」。ローズは不動産の資格を取るためセミナーを受けているが、資格試験に受かるとは限らず、すぐ仕事にありつくわけでもない。息子はなんでも物を舐める症状があり、女教師の足を舐めて退学になる。父親はそんな孫を可愛がり、妹は「私生児ってなに?」と尋ねた甥にこう答える「いまにわかるけど、最高にカッコいいことなの。バスタード(私生児)ってバンドを組めばもてるわ」…学歴もなく資格もなく財産もなく、ろくな仕事にもつけず家族はあてにならず、どう考えてもローズの人生はうだつのあがらない人生かもしれない、でもそれはゼロということではないのだ、観客はこの映画をみながらどこかでそんな気がしてくる▼掃除道具を売る店の右腕のない店員が親切に業界のイロハを教えてくれる。テレビをみながらでもセックスをしながらでも、ニュースで殺人・自殺・事故を知って現場に走る姉妹たちはいつしか仕事のこつを覚え、受注もふえ繁盛し始めた。自殺した夫のそばで動転のあまりショック状態の年老いた妻に、ローザは手を握って付き添ったりする。ノラはこれまた自殺現場に残された遺品を、家族に届けてやろうとする。人の死が指し示す人生の重さと深さは、おろそかにしてはいけない大切なものが、どんな人にもあることを教える。高校時代の同級生のベビーシャワー(生まれてくる子供を祝うパーティ)に誘われたローズは、仕事とバッティングする。自分ひとりじゃ無理だから「パーティはキャンセルして」とたのむノラを無理やり説得してローズは出席。いまや高収入を得るビジネスとなり、事業拡大の展望もできたことがローズはうれしくてたまらない、自分のことをバカにした連中を見返してやりたかったのだ▼ノラはひとりで掃除をはじめるが、ろうそくの火から火事を出してしまい家は全焼する。4万ドルの弁償金をどうすればいい。ローザは奈落の底に。妹は「旅にでるわ」(お前な、自分が4万ドルの借金こさえて「旅人する」はないだろ)と思うが、彼女は焼けた家から連れてきた猫とともに車で出発。親父が転がり込んできていう「いっしょに住むことにする。家は売った」彼は家を売って娘の借金を肩代わりし「見ろ」指でさしたバンには「サンシャイン・クリーニング」とロゴが入り「お前が社長だ」つまり社長と社員あわせてふたりの会社がたちあがったわけだ。こざっぱりしたユニフォームを着て親父と娘は車に乗り込む。妹もそのうち帰ってくるだろう。頑張っている姉と父をみて驚くにちがいない。現場に急ぐ「サンシャイン・クリーニング」の車をみたら応援してあげよう…温かい気持ちになれる映画です。

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