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シネマ365日

2014年4月23日

アウトロー (2012年 アクション映画)

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監督 クリストファー・マッカリ
出演 トム・クルーズ/ロザムンド・パイク

「2」は断ってね、トム 

 この映画が2億1656万ドルのヒットだって。やっぱりトム・クルーズってすごいのだな。彼の真摯な役作りって好感が持てますものね。本作のカーチェイスだってスタントなし、自分でやるとか。それに上半身の筋肉がまた隆々。毎日どんなトレーニングをしたらこういう体を維持できるのでしょうか。「ミッション・インポッシブル」シリーズに比べると、アクションは地味だし(トムが妙な格闘技をします。一瞬体をひねったと思ったら相手が倒れている)セリフは少ないし(冒頭30分くらい無言シーンが続きます)、女性はトムの相棒の女性弁護士と殺される若い女の子くらい。ラブシーンもないしベッドシーンもない。トムはとてもクールなのだがいうなれば元軍人で現在無職、定職なしのアウトローならぬプータローだ。事件が起こって無実と思しき元部下を救うため、どこからともなく風のごとく現れた。飄然という形容ぴったりに、後ろ姿のトムが夜のピッツバーグの町を歩いています。演じる主人公ジャック・リチャーは寡黙だが冷たくはなく、それどころか部下の弁護にあたる弁護士と協力し、姿なき敵に挑む。なんだろうコレ。簡単にいえば鞍馬天狗と月光仮面をミックスし、ルパン三世で味付けし、明智小五郎の頭脳と十津川警部の行動力を兼ね備えたクールな主人公という設定らしいな。無職のわりにお金に全然不自由していなさそうなのはなぜだ。陸軍の退職金か。いいや、女性弁護士ヘレン(ロザムンド・パイク)の父親は検事だけど、娘が事件解決にトムと組むときいて、いったいだれが雇うのだ、報酬はだれがはらうのだ、なんていちばん先にお金の心配をしていたから、トムが出るにしてはけっこうせちがらい映画だ▼アクション映画だと思っていると肩透かし。トムも大車輪のアクションより新味の技を工夫して、冒頭の妙な格闘技になったのかもしれない。そのかわりサスペンスありミステリーありの盛り沢山。クライマックスになるはずの銃撃戦がショボかったのは残念ですが。ついでだから言うけど。黒幕の頭の毛のないおじさん、ロシア人らしい設定だけどなにもの? 拷問の話をさかんにして人質にした弁護士を脅すのだけど、そんなもの、観客にはトムが助けにくるのがわかっちゃっているでしょ。そんなバレバレの筋運びのうえ、銃撃戦は迫力にすればシュワちゃん映画の10分の1くらい。これじゃトムもかわいそう。監督はクリストファー・マッカリ。名作「ユージュアル・サスペクツ」でアカデミー脚色賞受賞の彼の監督作品です。そうだなあ。あの傑作とどこがちがうかといえば、監督がイメージした主演男優のちがいにつきるな。「サスペクツ」はだれあろう、ツルン顔のケヴィン・スペイシーだから成功した。カイザー・ソセ(「ユージュアル・サスペクツの主人公」)にトムをもってきてもだめだった。同様に本作のジャック・リチャーって、トムには複雑過ぎる。こんな正体不明のプータロー男こそ、ケヴィン・スペイシーみたいな、わけのわからない俳優が面白いのだ▼ぼやいていないで粗筋を書こう。ペンシルバニア州ピッツバーク。メジャー・リーグのピッツバーク・パイレーツのホームグラウンド、PCパークのリバーサイド。アレゲニー川沿いにある駐車場に男が運転する白いバンが入る。男は駐車料金を支払ったあと、川向うが見える対岸からスナイパーライフルでつぎつぎ通行人やらベンチに座っている市民やら5人を狙撃する。警察が到着し刑事たちは現場からライフルの薬莢や、駐車場料金の支払いに使われた硬貨を発見する。硬貨の指紋から元アメリカ陸軍のスナイパー、ジェームズ・バーが容疑者として浮上、彼の家に突入するとバンはガレージに、犯行に使われたライフルがありバーは逮捕。あっけない犯人逮捕で警察は一件落着にしようとしたところ、バーは供述書へのサインを拒み「ジャック・リチャーを呼べ」と書く…ここまでに伏線がいくつかある、ということは、監督は早い段階で謎解きアイテムを揃えていてくれたわけ。本作のジャックって、雰囲気で言うと「コラテラル」の殺し屋が似ている。したがっておもしろいキャラじゃない。失敗作だったとまでは言わないけど「アウトロー2」の話がもちあがったらトム、断ってね。

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