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特集「過剰な女たち」

2014年5月14日

特集「過剰な女たち」 聖トリニアンズ女学院 (2007年 コメディ映画)

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監督 オリヴァー・パーカー
出演 ルパート・エヴェレット(二役)/コリン・ファース/タルラ・ライリー/レナ・ヘディ/ラッセル・ブランド/ミーシャ・バートン

女子力が最高よ 

 最高ね。ストーリーやキャスティングの妙がこの映画の成功だというのはもっともとしても、それを支えている面白さの基盤は、なんといっても社会がひきずっているジェンダー(性差)を小気味よく足蹴にした女子力でしょう。監督はその基軸をくどくど説明せず、わずか数秒でこう言わせています。カミラ(ルパート・エヴェレット)はいわゆる非行・不良少女の集団といわれる女学院の校長。税金50万ポンドは滞納する、生徒たちは手に負えない悪評をふりまく。新任教師はつぎつぎ血祭りにあげられ半年間に4人が辞めた。ジェフリー文部大臣(コリン・ファース)じきじきの視察となった。ジェフリーとカミラは大学時代の恋人同士である。ジェフリーは「イギリス国内で最悪の学校だ」と烙印を押し、差し押さえの通告にきた税務署の署長は「教育、教育というがあいつらはしょせん非行少女の集まりではないか」カミラは言い返す。「男にとっては非行でも女にとっては自由なの」▼この女学院にアナベル(タルラ・ライリー)が転入することになった。画商である彼女の父カーナビー(ルパート・エヴァレット二役)は学院長の弟、つまりアナベルは学院長の姪である。腕をさすってまちかまえていた在校生らはさっそく大歓迎をやる。シャワーを使っている間に服がなくなった。素っ裸を盗撮されネットで流された。校庭では女生徒に縄をつけ芝刈りローラーでひきずっている。「パパ、こんな学校イヤよ。イカレタ魔法学校みたい」もっともな抗議だがパパは「そのうち慣れるさ」。おかしいのは生徒ばかりではない。寮長ケリーは「授業選択コースは何にする? コギャル系、お嬢さま系、金のことならオタク系、エモもあるわ」エモとは情緒不安定系である。生徒らがジロジロ自分をみる視線に「なにをしているの」とアナベルが聞くと寮長は「あなたが何日保つか賭けているのよ」。ある日国語のディキソン先生(レナ・ヘディ)が赴任した。学院に来る途中、早くも生徒たちのいたずらにかかり野道で泥まみれ。息もたえだえで学院にたどりつき校長に面談を乞うと、受付嬢はインタホンで「ホームレスの方が校長のお知り合いだとか」▼〈自由〉の女学院にもついに税金のとりたてがきた。4週間以内に50万ポンドの滞納金が支払われないとき女学院は閉鎖である。「ヤッホー、もう勉強しないですむ」飛び上がる生徒たちに「アホ。ほかの学校に転校よ。フツーの学校に行ったら今みたいなわけにいかないわ」とクールな寮長。それもそうだ。楽園のような母校を守らねば。でも50万ポンドをどうする。学校に出入りしているいかがわしいチンピラの青年フラッシュ(ラッセル・ブランド)に犯罪講義を受け、決めた対策がフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」を盗み出し、フラッシュをヨーロッパで有名な美術家・ドイツ人伯爵に仕立て、アナベルの画商の父カーナビーに売りつけること。怜悧な寮長はアナベルの父がひとつも娘を可愛がっていないことがわかっていた。でもアナベルのほうは「パパ、パパ」と父親の愛と権威を信じている。寮長はある時「アナベル? どうなってもいいよ。だいいちオレの子かどうかもわからん」という父親の言葉を物陰にいるアナベルにきかせ「どう。これで目が覚めた?」▼フェルメールはイギリス文化の殿堂ナショナル・ギャラリーにある。現場を偵察した彼女らは難攻不落の防御システムを知る…ただひとつ大手を振って中にいることのできるチャンスがあった。ディキソン先生がチラッといった学校対戦クイズショーの決勝戦はナショナル・ギャラリーで開かれるのだ。なんとしてでも決勝戦に勝ち残ろう。彼奴らの戦略と役割分担がこれまた最高。バスの底を破りギャラリーに通じる抜け穴を作る、フェルメールの「少女」がいる部屋に行くにはクイズショーの会場の真上をロープで横断するしかない、展示室にたどりつけばはりめぐらした赤外線センサーを突破しなければならぬ。綱渡り決死隊がきく「真下のホールまで高さはどれくらい?」「ざっと10メートル。正確には11メートル30センチ」「下水道を通って警備員の目をかわし、大勢の観客の上で綱渡りをするのよね。そのあとは? まさか海峡を泳いで渡り山にも登れと?」「いいえ。警報装置と防犯レザーと鋼鉄のシャッターが迎えてくれるわ」▼ここからがクライマックスである。決勝に進出した聖トリニアンズ・チームが奮戦している間に、実行部隊がついに展示室に潜入した。しかしナビ送信をジェフリーに見破られてしまい、正解を送ってもらえなくなった出場チームは立ち往生。形勢逆転しメタメタに点差が開いた。このままではあっという間に勝負がついてしまい、実行部隊がセンサーを解除してフェルメールに接近する時間を稼ぎ出せない。休憩になって彼女らはしょげかえっている。ディキソン先生が言う。あなたたちは優秀なのだ、自信をもてばなんでもできるのだ。先生に扮したレナ・ヘディ。ご記憶でしょうか。「四角い恋愛関係」でヒロイン、花屋のルースを演じた女優です。生徒たちにさんざんやられたシーンは、どろまみれの見分けのつかない顔になっていましたが、ここではキリッとした彼女本来の容貌を見せるのですぐわかります。「翼をください」で女学校の転校生を演じた美少女ミーシャ・バートンが元寮長となって生徒たちの特別コンサルにあたる。ダサかったアナベルが仲間たちの策略にのってモデルも真っ青な変身をとげる。ついに勝利をおさめ祝宴を張って歌い踊る彼女ら凱歌を聞いてみよう、面白いよ。「わたしたちは我慢しない/ありのまま、さらけだす/鋼鉄のホッケーチーム/それが聖トリニアンズ。やられたらやり返す/手を出したら覚悟して/だれもが恐れる暴れ者/それが聖トリニアンズ。わたしたちの雄叫びと恐怖の歌を聞け/もうだれもわたしたちを止められない/わたしたちが最高よ/ほかの奴らは気にしない/やりたいようにやるだけ/それがわたしたち聖トリニアンズ、自由の守護者」アッハッハッですな。

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