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特集「過剰な女たち」

2014年5月20日

特集「過剰な女たち」 トゥルース 闇の告発 (2010年 事実に基づく映画)

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監督 ラリーサ・コンドラキ
出演 レイチェル・ワイズ/デヴィッド・ストラザーン/ヴァネッサ・レッドグレーヴ

闇の中の勇気 

 ネブラスカ州に住む警察官キャシー(レイチェル・ワイズ)は、離婚した夫のもとにいる娘の近くに住みたいと、転勤願いを出しているがなかなか叶えられない。家のローンをかかえ、金が必要なとき上司から民間の軍事会社デモクラ・セキュリティを紹介される。期間は6カ月で報酬は税抜き1000万ドル。赴任地は民族紛争後のサラエボだ。戦争や紛争のあと国連の監視活動が高まるが、この映画は本来それを取り締まる国連内部の腐敗の告発なのだ。さまざまな人種が混在し言葉も複雑、女性蔑視どころか女は性の道具であることが明らかになってくる。キャシーはしかしある事件を解決したことから国連高官のマデリン(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)の信頼を得て、IPTF(文民警察)の課長に抜擢される。ある日キャシーは、負傷した少女ラヤを保護しようとしたことから、関係者らがだれも事件の解明に協力しない現状に気づく。独自で調査を進めた彼女は、現地の警官や国連の派遣局員が売春組織から賄賂を受け取り、事件のもみけしを始め買春と、少女人身売買まで斡旋している事実を知る▼この映画をみる限り暴き出された国連ってえげつない組織だな。ああいう巨大集団になると、かえって悪事は隠蔽しやすいのか、それとも寄り合い組織だから異動があるたび事件は闇に葬られるのか、現にキャシーが事実を報告しても「慰安婦はどこにでもいる」なんて、こんなこと国連関係者が平気で言うのよ。欧米が日本の慰安婦問題に介入したがらない、まともにとりあげようとしない理由がわかったような気がしたわ。面倒なことにかかわりたくないというより、自分たちの藪蛇になるからよ。キャシーのもとにはいやがらせ電話、脅迫、盗聴、さんざんおどされるが、最高はこれよね。上司が「君がよく頑張ってくれていることは聞いている。疲労がたまっていないか。娘の顔もみたいだろう。ハードな仕事をしている職員に我が社は特別な措置がとれる。休暇を利用して英気を養いたまえ」キャシーが拒否すると「君には母性がないのか」ですって? オッサン、おまえ正気か? 少女の身で故郷からさらわれ、性の奴隷になって地獄にいる子供たちを必死で助けようとしている女のどこをみて「母性がない」などといえるのだ。レクター博士、こいつの脳ミソこそ食ってしまうべきよ▼人身売買の被害者の家族の現実にも目をそむける。困窮のなかで高額の収入を得る手っ取り早い方法として、娘を売り飛ばすのは常道となっていた(日本でもありましたけどね)。父が娘を、叔父が姪を売る。血をわけた姉妹が自分の夫を手引して姪を売ることがあった。ラヤを売ったのは母親の妹、じつの叔母だったのだ。少女たちはどうなるか。日のささない暗い湿った一室に数人が同居し不衛生なベッドで起居、汚い洗面器や便器、体調を崩しても高熱を発しても放置される。国はおろかどんな救いの手も届かない。だいいち監視・救助機関である国連が悪の温床になっているのだ。キャシーの行動がおさまらないので会社は一方的に解雇する。孤立無援となったキャシーにマデリンが方策を授ける。不当解雇でデモクラ・セキュリティを訴えることと、証拠を握って同社の本社があるイギリスのBBCに告発すること。デヴィッド・ストラザーンが数少ないキャシーの味方として、国連関係者の脅迫を録音させます。BBCはこれを特集しましたが国連が断固拒否したとき、キャシーの提出した証拠が録音テープでした。映画の最後に、国連・警察関係者は部署から解かれますが、本国送還だけで懲罰はなかったと字幕が出ます。どこまで人をバカにした組織でしょう。本作が日本未公開だったのは、こういう告発がまかり通ったら都合が悪いからか。もし自分がキャシーだったら、あたふたと荷物まとめて国に帰ろうとする、自分の姿が一瞬彷彿としました。でも闇の中で勇気を棄てなかったキャシーの、足手まといになってさえ、ビビリながらでも人間ならなにかしなければいけない、そんな気もしました。

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