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特集「過剰な女たち」

2014年5月22日

特集「過剰な女たち」 クルーエル・インテンションズ (1999年 恋愛映画)

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監督 ロジャー・カンブル
出演 サラ・ミシェル・ゲラー/ライアン・フィリップ/リース・ウィザースプーン

つまらない理由 

 ラクロの「危険な関係」が原作で、舞台を現代のニューヨーク、マンハッタン高校という有名校のティーンエイジャーたちに置き換えたのが本作。そこでできあがったのはエロガキどもの学園映画ですから、ラクロ云々はきれいさっぱり、頭から消してしまったほうが後腐れありません。1999年といえばライアン・フィリップとリース・ウィザースプーンが結婚した年。主役級3人の当時の年齢はサラ22歳、ライアン25歳、リーズ23歳。まあハイティーンをやってやれない年じゃないにせよ、出演者たちの超マセガキ度、ひねこびれ度はぬぐいようがなかったわね。リーズなんかコテコテのメークでマネキンみたいだった。彼女が「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」でオスカー女優になるのはこの6年後です。ライアンは「ダメージ/シーズン5」にゲスト出演していた。弁護士パティ・ヒューズ(グレン・クローズ)の餌食になる草食系の被告役で。こうしてみると俳優のキャラっていうか、持ち味っていうのはそう変わらないものね。サラはこののちなぜか若者向けホラー映画の出演が多くなった。「呪怨」とかね。本作の憎まれキャラが尾を引いたのか、どうみても高校生には思えない過剰なエロガキの気色悪さが祟ったのか、とにかくサイテー・最悪の映画だった。見ているうちに胃に鈍痛を感じた。ところがさ、この映画が制作費1050万ドルに対しアメリカだけで3800万ドル、世界で7590万ドルというヒットだったっていうから、日本でこういうのなんていうの、そうそ「勝てば官軍」か。二の句が出んよ▼粗筋は、両親の結婚によって義理の姉と弟になった高校生のキャスリン(サラ・ミシェル・ゲラー)とセバスチャン(ライアン・フィリップ)。彼らは新学期に赴任する新校長の娘アネット(リーズ・ウィザースプーン)をセバスチャンが落とせるかどうか夏休みに賭けをする。姉弟はマンハッタンの豪邸で暮らしながら、競って他人を陥れる悪事に酔いしれている。キャスリンはセバスチャンが生真面目なアネットの処女を奪ったら望み通りのセックスの快楽を与え、失敗したら彼の愛車ジャガーをいただくというのだ。アネットは生徒会長である。学力優秀、品行方正、歩く表彰状みたいな全校生徒の模範だ。転校生セシルの母は、彼女を見込んで指導をお願いしたいとまで言ってきた。キャスリンはこのセシルを使って自分からアネットに乗り換えた男に復讐しようと謀をめぐらす▼いっぽうセバスチャンはアネットに本気で惚れてしまう。アネットはしっかり者である。セバスチャンが女たらしの不誠実な男と知って適当にあしらっていたが、ありとあらゆる手練手管でアネットの歓心を買おうとするセバスチャンを憎からず思うようになる。ああだ、こうだとやっているうちに、セバスチャンは賭けの経緯をすべてアネットに告白し、許しを乞おうと、書き綴っていた日記「残酷な企み」(クルーエル・インテンションズ)をもって会いにいく途中、セシルの恋人ともみあい、車にはねられ死亡。夏休みが終わり新学期、セバスチャンの葬儀で生徒会長のキャスリンが弔辞を読み上げているにもかかわらず、生徒たちがつぎつぎ退席する。いつのまにか講堂の外でセバスチャンの日記のコピー「残酷な企み」が配られ、キャスリンの正体が暴露されたのだ▼金とヒマをもてあます十代の高校生が大人の世界をみくびっている。みくびるのは若さの特権だからいいというかもしれないが、だから傷つけ実害実損を与えるのは特権もヘチマもない、犯罪である。彼らは人をばかにすることによってしか自分を差異化できない人間だ。案外こういう人はわたしたちのまわりに多い。彼らが社会に出て仕事を持つと、人の批判ばかりして自分の実績のなさをカバーする、そんなからっぽの人間になるだろう。ラクロが描いたのは悪徳のデガダンスにみちた恋愛ゲームだが、彼らは退廃を知る知性も感性もない、あるのは無知と性欲だけで、朝から晩までサカリがついている。やれ復讐だ、はかりごとだと言っているが、復讐にも謀略にも情熱と忍耐と頭脳がいる。そのうちひとつでもこの姉弟にあったか。セバスチャンは簡単に 恋の返り討ちにあって賭けをおりるし、キャスリンはコピーをばらまかれたくらいでうろたえ反撃する能力もない。悪も退廃も凡庸では務まらないのだ。だからこの映画はつまらない。

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