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特集「過剰な女たち」

2014年5月25日

特集「過剰な女たち」 イルザ ナチ女収容所悪魔の生体実験 (1975年 事実に基づく映画)

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監督 ドン・エドモンズ
出演 ダイアン・ソーン

死だけが救い

 「事実に基づく映画」としましたが、史実をふまえた完全なフィクションというほうが正しい。モデルになった女性はイルゼ・コッホです。ブーヘンヴァルト強制収容所長の妻であり女性看守。所長の妻という立場を利用し、囚人に対するサディスト的な拷問を加え、死んだ囚人の皮膚でランプシェードやブックカバーを作ったことで有名です。工作用の皮膚が容易に入手できたのは、彼女が収容所の医師の愛人だったためとされます。囚人やら親衛隊員から「ブーヘンヴァルトの魔女」と呼ばれた。好色家・色情家ともいわれ飼い犬を女囚にけしかけ捕虜虐待が絶えなかった。1943年夫カールが収容所内の悪事で告発されたとき、イルゼも連座して投獄されたが証拠不十分で釈放。カールは死刑の宣告を受け1945年4月処刑されます。同年6月イルゼはアメリカ占領軍に逮捕され1947年終身刑を言い渡されましたが1949年恩赦で釈放。ドイツ当局は再度イルゼを告発し1951年終身刑としました。イルゼは国際人権委員会に無罪を主張するが認められず「死だけが救い」という遺書を息子に残して縊死しました。61歳でした。戦後イルゼの行状は虚実を交えた作品となって多々発表されました。本作もそのひとつ。ポルノと残虐行為がいっしょになった内容は、興味本位のフィクションに近い。しかしながら事実無根ではないことを考えると言葉を失くします▼1945年というから第二次世界大戦終戦の年だ。ナチスの第9医療収容所に多くの男女が送り込まれてくる。所長は医師でもあるイルザ(ダイアン・ソーン)。彼女は「苦痛への耐久性は男性より女性のほうが優れている」という独自の見解を証明するため、生体実験を繰り返していた。女性たちは梅毒、チフス、狂犬病、破傷風の病原菌を植え付けられたうえで延命実験。男性はイルザのセックスの相手として寝室に呼ばれ、ことが終われば去勢された。囚人男女が言葉を交わしただけで死刑。病原菌を植え付けられた女性は、肉体が崩れるほど病状が進んでも延命処置によって、絶望のなかで生かされていた。収容所にウルフというアメリカ人が送られてきた。特異体質で自分の意志でセックスをコントロールでき、イルザを満足させ去勢させられずにすんだだけでなくイルザのお気に入りとなった。マリオという囚人と親しくなったウルフは、もうすぐ連合軍が解放にくるといって励ますが、つぎつぎ仲間が命を落としていく女囚たちは待っている時間がなかった。彼女たちはウルフとマリオに協力を頼み脱走計画を練った。リーダー格のアンナがイルザに捕まり、苦痛除去実験のモルモットにされてしまう。気丈なアンナは収容所にきたときからイルザの拷問に耐え、電気張り形挿入拷問にも叫び声ひとつあげなかった。イルザが自分の貢献度を誇示するため、来所を待ち望んでいた将軍の視察が決まり収容所は歓迎ムード一色。アンナは脱走未遂を企てた見せしめとして頭部に電流を流す、片方の目をくり抜く、全身の皮膚をはがすなどの拷問によって、苦痛の感覚を除去したとイルザは嬉々として将軍に報告する▼ウルフとマリオが指揮した反乱は成功したが、ほとんど体が動かなくなっていた女囚たちは反乱に参加したものの、一矢を報い復讐をとげると息絶えた。ウルフはマリオと脱出しようとするが「男でいられなくなったオレがどこで生きていく」そう言って追撃を阻止するためにふみとどまり被弾する。鎮圧部隊が来た。ベッドにしばりつけられているイルザを発見した士官は、その場でとどめをさす。視察にきた将軍が収容所の実験を知って、連合軍に知られるよりさきに殲滅を命じたのだ。収容所は焼き払われた。看守も兵士も囚人も殺された。脱出に成功したウルフだけが丘の上から炎上する収容所をみていた▼「死だけが救い」とイルゼが遺書に書いたとき、彼女の脳裏にあったその言葉はだれのためのものだったのか。

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