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特集「過剰な女たち」

2014年5月29日

特集「過剰な女たち」 ブロードキャスト・ニュース (1987年 社会派映画)

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監督 ジェームズ・L・ブルックルズ
出演 ウィリアム・ハート/ホリー・ハンター/アルバート・ブルックス/ジョーン・キューザック

人生の強い肯定 

 なにしろ26年前の映画だから、主演三人がみんな若いですね。ホリー・ハンターが29歳、ウィリアム・ハートが37歳、アルバート・ブルックスが40歳。この三人は今も盛んに映画に出演中。つまり彼らは26年たってもハリウッドから消えなかった、当時から実力ある役者たちだったということになるでしょうか。ホリー・ハンターなんか子供みたいですけどね。彼女は本作の6年後、女性監督ジェーン・カンピオンのもとで名品「ピアノ・レッスン」によってアカデミー主演女優賞に輝きます。彼女はカーネギーメロン大学卒業。これがね、マサチューセッツ工科大学、カリフォルニア工科大学と並ぶアメリカ三大工科大学のひとつという名門工科系。世界の大学ランキングで上位ランクの常連です▼ジェーン・クレイブ(ホリー・ハンター)は切れ者で通るワシントンのテレビ局の若きプロデューサー。気鋭のニュースライターでレポーターのアーロン(アルバート・ブルックス)とは阿吽の呼吸で仕事できる親友だ。放送者会議でジェーンはニュース報道の使命をテーマに普段からの信念を一席ぶつが、入場者はアクビしながらつぎつぎ中座、まったく受けない内容でがっくりきたジェーンに、地方局のアンカー、トム・グルニック(ウィリアム・ハート)が「とてもよかった、感動した」と話しかける。相手にしなかったジェーンだが、トムは「一人を感銘させればいいというよ。君はそれができたのだ」と泣かせることを言う。トムは地方局のスポーツ部からワシントン支局のレポーターに採用された。ワシントン支局長の開いたパーティのさいちゅう、シシリーのアメリカ基地が爆撃されたという一方が入る。緊急報道体制が組まれ、トムがレポーターに抜擢された。くさるアーロンだったが私情をおさえ他局と差別化できる取材に協力、ジェーンの機転とアーロンの協力でトムのデビューは大成功だった▼テレビ局の裏側が生き生きと映しだされる。はさみこみたい情報や資料を、一秒を争って用意する。ジェーンのアシストを勤めるブレア(ジョーン・キューザック)は、ビデオテープをもってカートの下をすべりぬける。そんなスピーディーなシーンがニュース報道という「まったなし」の臨場感を盛り上げている。ジェーンはあれこれすべてにおいて指示確認しなければ気がすまない性格。トムは学歴・人脈・財産みんなないが人当たりとホドのよさで女には持てるし、上司には受けがいい。逆に努力家のアーロンは専門知識が豊富で記事もしっかりしている、だれにもひけはとらない実力があるのにいつも貧乏くじを引く。ジェーンもアーロンが好きだが、ハッタリをかましながら頭角を現してくるトムにもひかれる。レイプ報道で現場からレポートするトムの目に涙が流れるのをみて視聴者ばかりか局の仲間まで感動。いままでトムを疑わしい目でみていたやつまでほめたたえる。ひとり覚めていたのがアーロンだ。彼は何気なくトムにたずねる。「トム、すばらしい取材だったね。カメラは一台だったのかい」「そうだよ」アーロンだけがトムの涙のインチキをみやぶるのだ。アーロンは局を辞めるとき初めてジェーンにいう。「カメラは一台だった。トムの涙はいつ写せたのだ」ジェシーはハッとして保存ビデオを調べ直す。涙のシーンはトムの指示で撮り直し、つまりやらせだったのだ▼ジェーンがトムを弾劾するシーンに事実にこだわるニュース報道者の姿勢と良心がよく現れています。結局トムとジェーンは別れ、アーロンもワシントン支局を辞め地方局に。7年後トムの栄転を祝うパーティの席上、トムはだれもがあこがれる報道局長のポジションを辞退し、現場のアンカーでいくことを公表。会場の外にでたトムはそこで待っていた二人と久しぶりに顔をあわせる。ジェーンはいまや報道局長、地方局にいるアーロンは結婚し生まれた男の子を連れて。今や局の重鎮となったトムも妻とともに。ヤラセも色恋も、出し抜きも失恋も、だましうちみたいなことも、いろいろあったけど、おさまるところにおさまった、それが人生さ。バックボーンにある平凡な強い人生の肯定はブルックス監督の独壇場で、彼はここでもヘタ打つと浮き上がりそうな個性的な役者たちと映画に現実的な力を与えています。

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