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特集「ディーバ(大女優)」

2014年6月9日

特集「女のわがまま2」 ルームメイト (1992年 サスペンス映画)

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監督 バーベット・シュローダー
出演 ブリジット・フォンダ/ジェニファー・ジェイソン・リー

犯人はなんでゲイなのだ 

 どっちの女優もよく頑張りましたね。ブリジット・フォンダが28歳、ジェニファー・ジェーソン・リーが30歳のときの映画です。ブリジットは結婚してから引退同様ですが、生き馬の目を抜く映画業界で、あれほど育ちと毛並みのよさがまるわかりという女優も少なかったですね。ハリウッド嫌いの地味な性格は、モンタナの田舎に居住して我が道をいく父親、ピーター・フォンダに似たのでしょうか。劇中アリー(ブリジット・フォンダ)のルームメイトとなったヘディ(J・J・リー)が鏡の前に並んでアリーに言うせりふがこれ「見て。わたしとすべてが違っているわ。あなたはスタイル抜群で、才能があり人に好かれる。恋人ができて当然だわ」。ヘディだってきれいな子なのですが、なにしろ高身長・ブロンドのアリーと並ぶと頭ひとつ低いだけでもソンってことか。でも映画人一家ということではJ・Jも生え抜きです。父親はヴィック・モロー。性格俳優というより日本ではテレビ「コンバット」シリーズのチップ・サンダース軍曹というほうが早い。母親は脚本家のバーバラ・ターナー。代表作に「私が愛したヘミングウェイ」「バレエ・カンパニー」「ポロック ふたりだけのアトリエ」などがあります▼本作のあとブリジットは「アサシン暗・殺・者」(ジョン・バダム監督)「カミーラ あなたといた夏」(ディーバ・メータ監督)「ジャッキー・ブラウン」(クエンティ・タランティーノ監督)らいい監督と組んで女優として台頭しましたが30代で事実上引退しました。いっぽうJ.Jはデヴィッド・クローネンバーグ監督の「イグジステンス」、クリスチャン・レヴリング監督の「キング・イズ・アライブ」に出演、と思うと「アニバサリーの夜に」では監督・主演。キャシー・ベイツと共演した「黙秘」(スティーブン・キング原作)では性的虐待を受けた過去をもつ陰のある娘役を演じ、ベイツと堂々渡り合う快演でした▼映画はオープニング、おやと思うサウンドで始まります。沈んでいるのに濁っていない、澄んでいるがでもどこか底流にマニアックなものがあるこの音楽は、やっぱりハワード・ショアでした。ところは大都会ニューヨーク。コンピュータのプログラマー、アニーは恋人サムと喧嘩して追い出し、ルームメイト募集広告「こちら白人・女性・シングル」を出した…これが原題です。数人の応募者の中から選んだのがヘディ。ヘディは地方から出てきて書店の店員をしている目立たない娘でした。気があったふたりは順調に暮らしていましたが、アリーはヘディの振る舞いにどことなく奇妙なザラツキを感じるようになります。ねっとりした凝視が身にまといついているような違和感。その感触を映像で表現した凄腕の撮影監督がだれあろう、ルチアーノ・トヴォリです。ミケランジェロ・アントニオーニ監督との「さすらいの二人」、ホラーの傑作「サスペリア」そしてシュローダー監督とは、一心同体で緊密な仕事をしてきました。比較的新しいところでは江戸川乱歩原作の日仏合作「陰獣」(2008)があります。主人公にフランスの貴公子ブノワ・マジメル、ヒロインに源利華。藤村志保も出ていました。ついでだからあげると「運命の逆転」「判決前夜」「死の接吻」「完全犯罪クラブ」はみなふたりのコンビネーションによる映画で、出演した役者とくれば目眩がしそうだ。ジェレミー・アイアンズ、グレン・クローズ、メリル・ストリープ、ニコラス・ケイジ、サンドラ・ブロック、サミュエル・L・ジャクソンらです▼ここまでぐちゃぐちゃ書いているうちに、本作の粗筋を書くのは無駄みたいな気がしてくる。面白くて当たり前だろ、みたいなね。短い女優業にしてはわりと出演本数のあったブリジットだけど、代表作といえばやっぱり彼女のワンマンショーともいえる本作です。ブリジット・フォンダの灰汁のないきれいな表情や性格がとてもよく撮れています。叔母のジェーン・フォンダ、祖父のヘンリー・フォンダ、父親のピーター・フォンダ。かれらが繰り返した結婚、それによって生じた兄弟姉妹とその係累、従姉従兄らをいれたら親戚の名前も覚えきれないフォンダ一家です。24時間どこかで映画のことをだれかが喋っている、そんなところで揉まれてきたら、30代で引退したくもなるかな。ひるがえってJ.Jはニコール・キッドマンやキーラ・ナイトレイ、ベン・スティラーら年齢性別ジャンル不問で共演し今も元気な第一線です。名作なんかでなくても映画にはいい映画がある。J・Jがイカレタわがまま女をエネルギッシュに演じた本作なんかまさにそうですね。ただひとつ旧態依然としていたのがこの扱い。ヘディのアリーへのアプローチは屈折した恋情である。つまり同性愛嗜好をみせる女は異常な犯罪者で、ついには社会の制裁を受けねばならないという構図。1990年代になってもまだゲイは罰せられねば収まらなかったのね。

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