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特集「ディーバ(大女優)」

2014年6月19日

特集「ディーバ13」メリル・ストリープ マンマ・ミーア (2008年 ミュージカル映画)

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監督 フィリダ・ロイド
出演 メリル・ストリープ/アマンダ・セイフライド/コリン・ファース/ピアース・ブロスナン

「女性を励まし勇気づける映画」

 フィリダ・ロイド監督とメリル・ストリープは本作の後「マーガレット・サッチャー鉄の女の涙」で再びコンビを組み、メリルは三度目のアカデミー賞に輝きます。ロイド監督は「マンマ・ミーア」でメリルといっしょに仕事をして、どうしてももう一度彼女と組みたいと熱望していたといいますから、メリル・ストリープという女優には、監督をその気にさせる何か、この女優なら必ずいい映画に仕上げてくれるという信頼みたいなものを持たせるのでしょう。ロイド監督がメリルをベタ褒めする理由に「自分の立場をよく理解している人」をあげています。彼女がいうには「メリル・ストリープがとる行動は、撮影現場でも他の公的場所でも、女性の見本として見られることを意識した行動」だというわけ。確かに思い当たります▼ロイド監督とともに2012年来日したメリルは舞台挨拶で、つぎは日本人を演じたいといってジョークか、お世辞か、ともあれ観客を喜ばせました。これに先立ち1993年メリルの夫ダン・カマーの彫刻が設置された、北九州市の国際村文化交流センターの除幕式にメリルも来日し、夫婦で百万夏祭りのパレードに参加しました。日本蔑視の露骨なハリウッドのスターもいるのに、メリルのような行き届いた配慮はなかなかできないことです。もちろん彼らの日本に対する好き嫌いが、だから役者としての力量を左右するかとなると、そうだとはいいませんが、少なくとも「自分の立場が意識できない」頭脳であることは明らかでしょう。メリルとはまったく隙のない女優ですね▼「マンマ・ミーア」は5200万ドルの制作費に対し6億984万ドルの興行収入をあげました。舞台での大ヒットを受けたあとの映画化です。ロイド監督は「女性を勇気づけ励まし、希望を与える作品がまだまだ少ないと思う」と来日時のインタビューに答えていましたが、本作に登場する女性たちは充分その使命を果たしたようです。なにしろメリルを筆頭とする女たちの元気がいい。物語はすこぶるシンプルで、1970年代から80年代初頭にかけて活躍したポップ・グループABBA(アバ)のヒット曲でつづられる「見る人まで幸福にする結婚」物語です。美しいギリシャの海に浮かぶ架空の小島が舞台。リゾートホテルを経営するシングルマザー、ドナ(メリル・ストリープ)は、娘のソフィー(アマンダ・セイフライド)の結婚式を明日に控えて、女友達の親友ふたりを迎え大喜び。ソフィーもじつは到着を待ち望んでいる男性がいた。どうしても母親が明かさない、自分の父親と思しき3人に無断で招待状を出したのだ。父親とヴァージンロードを歩きたいというのがソフィーの夢だったのだ。しかしいきなりやってきた「昔の男」それも3人の出現にドナはあわてふためく。父親候補とはアメリカ人の建築家のサム(ピアース・ブロスナン)、イギリス人の銀行家ハリー(コリン・ファース)、スウェーデン人の水兵で旅する作詞家ビル(ステラン・スカルスガルド)。なんと贅沢な男優陣。彼らがそろいもそろって人情家の三枚目を演じる。歌がうまい、ヘタの評価もさることながら、なにはともあれチャレンジしている「パパたち」に拍手したい。それとアマンダちゃん。たいしたものね、吹き替えなしに全部自分で歌いました。天下のメリル・ストリープを相手に渡り合っただけでもえらいぞ。メリルの、いやドナの親友で結婚式にかけつけたのがジュリー・ウォルターズにクリスティーン・バランスキー。ジュリーはご存知「ハリポタ」シリーズのロンママ。クリスティーンはエミー賞やゴールデン・グローブ賞にノミネートされているが、最近ではヒット作「バウンティー・ハンター」(2010)に出演▼劇中歌い上げられる数々のナンバー。「ダンシング・クイーン」も島中の女の元気があふれてとてもいいが、メリル・ストリープが嫁ぐ娘を抱いて、思い出を歌う「スリッピング・スルー・マイ・フィンガー」もいい。せっかくのアバの歌だから歌詞を書いておこう「通学カバンを手に/朝早くでかけていくあの子/手を振っているわ/無邪気な笑顔で一心に/見送るわたしはまたいつもの悲しみにおそわれ/しばらく腰をかけずにはおれない/わが子を永遠に失うという思い/あの子の世界に入りきれぬまま/いっしょに笑い合う、そんなときが愛しい/おかしくて、ちっちゃな女の子/わたしの指の間をすりぬけていく/どんなにつかもうとしても/温もりは手元から消えていく/あの子の考えていることが/ようやくわかったと思うたび/もう成長している子」娘を嫁がせるのに、母親は父親とはまた別の寂しさ、自分の分身を失うような寂しさがあります。メリルが娘にドレスを着せてやったり、髪を梳いてやったり、膝にかかえて爪をきってやったりしながら切なそうに、しみじみと歌っています。いったいどこまでやる女優なんでしょうね。

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