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特集「ディーバ(大女優)」

2014年6月20日

特集「ディーバ13」メリル・ストリープ ミュージック・オブ・ハート (1999年 事実に基づく映画)

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監督 ウェス・クレイヴン
出演 メリル・ストリープ/エイダン・クイン

あなたがやり遂げたこと 

 メリルさま、今度はヴァイオリンですか。一説ではラストのカーネギーホール、超有名ヴァイオリニストと教え子たちが合奏するクライマックス、バッハの「ヴァイオリン協奏曲ニ短調」を自前で弾いたとか。どこまで弾いたかはわかりませんが「猛特訓? さもあろう」と思わせるところがメリルさまですね。この映画にあんまりゴチャゴチャ文句つけると、どこまでひねくれた根性ワルだと思われるに決まっていますから、素直に感動したといいます(笑)。もともと短編ドキュメンタリーを映画化した作品で、ヒロインのヴァイオリン教師、ロベルタ・ガスパーリをメリル・ストリープが演じた実話です▼ところはニューヨークのイースト・ハーレム。セントラル・パーク・イースト小学校だ。ロベルタはかつてヴァイオリンのプロの演奏家をめざして情熱を燃やしていたが教職の道へ。子育てに時間をとられ、海軍勤務の夫は転勤族でつぎつぎ学校を変わり、私立の小学校でクラスを持ったが夫は不倫して出て行った。家には母親と息子二人。ギリシャで買ったヴァイオリン50挺だけが残った。早く就職先を見つけねば。そこへ高校の同級生ブライアン(エイダン・クイン)と出会い、彼の口利きでいたるところで爆竹が破裂している小学校に就活した▼教師としてまともなキャリアのないロベルタを、黒人女性のジャネット校長は不採用とするが、後がないロレッタは引き下がっておれない。息子ふたりの手を引き、校長室を再度訪問、親子三人で合奏する。美しい音色に校長は臨時教員としてのチャンスを与える。しかし親たちは生活が苦しく、子どもたちはドレミだけで飽きるほど集中力がなかった。ロベルタは教えればだれでもヴァイオリンを弾ける、音楽は素晴らしいものなのだという信念を曲げない。指示に従わないのは子供たちだけでなく黒人の母親も「白人の音楽は習わせない」と子供を連れて帰ろうとする。「音楽を楽しむのに肌の色が関係あるの」とロベルタ。子供の中には足の悪い女の子がいて、姿勢を保てないため弓に力が入らない。義足を見たロベルタは「松葉杖のイツアーク ・パールマンは椅子に座って素晴らしい演奏をしたのよ。人は足だけで立つのじゃない、気持ちでしっかり立つことが大事なのよ」と励ます。同僚の先任音楽教師のイビリ、黒人の親の反感、手に負えない子供たち、そこへ届いた夫からの離婚要請の手紙。ヨレヨレのロベルタにひとり味方ができた。2年を担当するイザベルだ。「来年うちの娘が学校にあがったらあなたの教室にいれるわ。ヴァイオリンを教えてやって」「来年までいるかどうかわからないわ」「あなたはどうせすぐやめるから付き合っても無駄と思われているの。まあ中には性格の悪い女もいるけどね」逃げ出しかけていたロベルタは覚悟を決める。ある日白人の音楽は習わせないと言った母親につかつかと近づき「わたしはだれも救う気はないの。ここにいるのは子供を養うために必要な仕事なの。あなた、それで息子を守っているつもり? テニス界にだって黒人のチャンピオンはいる。ヴァイオリンを弾いている時ナイーム(息子の名)の目が輝いているのを知っていた? 見にきたら?」▼ロベルタのスパルタ教育ときたら「そんな音じゃ聴いた人がゲロ吐くわ。やり直し!」子どもたちに優しくという校長の注意を受けたロベルタはおだやかな授業を試みるが「急にどうしたの?」子供たちは「やさしい先生は大勢いる。いつものほうが楽しい。今日のロベルタ、気色悪い」。子供たちとともに支え支えられ、ロベルタは初めて小コンサートを開くことにした。ナイームの母親が教室にきて、この子にヴァイオリンを教えてやってくれと頼んだ。子供たちの演奏に校長や保護者は感激のうえに感激、絶賛する。ロベルタ自身も自立した強い女性に変身した。それから10年。50人で始めたヴァイオリン教室は150人の希望者でふくれあがっていた。そこへ市の予算カットで、ヴァイオリン教室は閉鎖、ロベルタは解雇を通告される。ロベルタはクラス存続のためあらゆる方面に働きかける。ニューヨーク・タイムズの記事が契機となって、ロベルタはチャリティ・コンサートを開くことに決めた。親たちも友人も手弁当で奔走した。会場が使用できなくなるアクシデントが生じた時、友人のひとりはヴァイオリン奏者である夫を動かし、なんとアイザック・スターンにたどりつき、場所はカーネギーホールと決まったのだ。曲目はバッハ。子どもたちの朝・昼・夜、特訓につぐ特訓が始まる。下見のためカーネギーホールの舞台に立ったロベルタに話しかけたのはアイザック・スターンだ。「あそこからハイフェッツが、あっちからラフマニノフが、そこからはホロヴィッツのピアノが聞こえる。彼らはみなここに立つ者を歓迎してくれます。それがカーネギーホールであり、わたしたちもその一員です。わたしの友達も参加させてほしい。あなたがやり遂げたことへの感謝のしるしに」。晴れて演奏会の日。子供たちの力演に花を添えたスターンの友達とは、マイケル・トゥリー、カレン・ブリックス、ジョシュア・ベル、サンドラ・パーク、イツアーク・パールマン、アーノルド・スタインハート、目もくらむ演奏家たちがバッハを合奏したのだ▼ロベルタを最後まで援護してきた校長のあいさつはこうだった「ロベルタは子供ならだれでもヴァイオリンを弾けると信じていた。わたしたちが力を合わせ、1000人を超える子供たちに教えたことは、努力によって人生で何が可能になるかということだった」1993年のこのコンサートの収入は3年間ヴァイオリン教室を支えた。その後オーパス118が誕生し資金活動を行った。この映画の撮影中クラスは再建されロベルタは同じ地区に養女と住み、こう言っている。「演奏している子供たちの顔をみると、ヴァイオリンを弾けることが誇りなのね」

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