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シネマ365日

2014年6月30日

アイアン・フィスト (2012年 アクション映画)

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監督 RZA
出演 ラッセル・クロウ/RZA/ルーシー・リュー

アクションの匠一堂に 

 ハリウッドを拠点とするマーシャル・アーツ系のお友達が勢揃い。監督・脚本・主演・音楽のRZAはそもそも「キル・ビル」の音楽を担当したことでクエンティ・タランティーノと意気投合。「キル・ビル2」と「ジャンゴ 繋がれざる者」でも音楽を受け持った。「北斗の拳」「少林寺三十六房」の大ファンである彼はカンフー映画へ寄せる熱烈な思いでタランティーノ監督を動かし信頼を獲得。そもそもこの映画にはタラ映画の人脈総集編である。劇中の娼館「ピンク・ブロッサム」の女主人マダム・ブロッサムに扮するルーシー・リューは「キル・ビル」で「ヤッチマイナ」という、一瞬聞いただけでは何語かわからなかった日本語をしゃべった女殺し屋。本編のクライマックス、敵味方入り乱れての大戦闘シーンでは、刃を仕込んだ扇を武器に華麗なる空中戦。壮観にして美麗、さすが「グリーン・ディステニー」の国のワイヤー・アクションだと感動した。「イングロリアス・バスターズ」に俳優として出演したイーライ・ロスも脚本で参加。武闘集団オオカミ族の一員としてチラッと顔までみせるサービスぶりだ。ラッセル・クロウがジャック・ナイフというとぼけた名前の人物で出演。主人公RZAの鍛冶屋を助けるナイフ使いの名人に扮する▼ハリウッドとカンフーといえば、なつかしい「燃えよドラゴン」に始まり、「ラスト・ドラゴン」「マトリックス」「キル・ビル」「ベスト・キッド」などでカンフー・ファンを魅了してきた。たくさんの武闘家、監督、俳優がカンフー映画から生まれた。過剰な血しぶき、グロテスクなまでの破壊力、と思えば神技に近いマーシャル・アーツ。本作でも元プロレスラーのデビッド・バウティスタ、キックボクシングの元チャンピオン、カン・リーら本物の武道家が迫真のわざを競っている。いつも思うに、カンフー映画がファンを恍惚とさせるのは演技がどうの、物語がこうのという枝葉末節の部分ではないのだ。彼らの肉体と武術は宗教であって、それ以外の要素が介入する隙すらない、とびきりのカンフー映画とはそんな高密度異次元の世界を呈する▼カンフー映画へのオマージュもいたるところに見られる。「鏡の間」まで出てきた。主人公の「鉄の拳」(義手)は「片腕カンフーVS空飛ぶギロチン」か。出演者たちの武器は奇想天外。鉄の針が無数にとびだす鎧、拳銃とナイフの合体、気合に応じて全身の皮膚が金色の鋼になる、人間の肉体ではありえない現象も平気で起こっちゃうのだ。そこでなにがどうなっているのかわからない、なんて弱音を吐いてはこの映画についていけません。多国籍に無国籍入り乱れての活劇である。時代は19世紀、武装集団が群雄割拠し争いが絶えない中国の小村。黒人の鍛冶屋ブラック・スミス(まあこのわかりやすい名前=RZA)は、愛する女が娼館勤務。身請けするため明けても暮れても働いて金を貯め、女のもとに持っていく。行くたびに「あとどれだけで自由になれる」と指折り数える。王朝の金塊護衛をめぐり、最大勢力の獅子族の間で金獅子が銀獅子と銅獅子に殺される。金獅子には後継者である息子がいて婚約者に別れをつげ敵討に。鍛冶屋は自分の作った武器で自分の腕も切り落とされ、恋人は殺され、ジャック・ナイフと金獅子の息子に助けられ復讐の鬼と化す。ラックロはオフ・シーズン丸出しのぶくぶくした体を惜しげも無く、いや恥ずかしげもなくさらし、ラストは皇帝直属の秘密捜査官という身分をあかす。この時代に中国のCIAというわけ? どだいむちゃくちゃなのだけどたちどまっておれないのがこの映画。腕を落とされた鍛冶屋は口頭で指示してアイアン・フィストを作り上げ、無敵の鉄人に変貌する。仕込み武器のX刀、夫婦合体技の双飛、猛毒の吹き矢をあやつる怪人▼いやー素晴らしい。素晴らしくてしまいにどうでもよくなってくるのに最後までみてしまうのがタランティーノでありカンフーであり、マーシャル・アーツの引力なのだ。ストーリーの流れからいうと金獅子の息子がエリートの後継者で、粗筋の中心になるはずだが、最初隅っこでモゴモゴしていた鍛冶屋が本編のヒーロー、アイアン・フィストになってしまうというのもご愛嬌だ。ルーシー・リュー姐御のアクションはさすが筋金入り。鍛冶屋の恋人といいリュー姐御といい、数少ない出演女優なのに情け容赦なく殺すのかよ。男・男・男の映画ですな。暑気払いかストレス払いにはおすすめです。

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