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特集「新宿2丁目を連れて歩きたいボーイフレンド」

2014年7月21日

特集 新宿2丁目を連れて歩きたいBF マット・デイモン「エリジウム」 (2013年 SF映画)

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監督 ニール・ブロムカンプ
出演 マット・デイモン/ジョディ・フォスター

悪のフォスター。アクションのデイモン 

 2154年地球は人口が爆発、大気汚染によって少数の富裕層は地球外の第二の惑星「エリジウム」へ移住した。そこは高度な科学技術によって老いと病気から解放された人々が、新鮮な水と豊かな緑に囲まれてすごす宇宙コロニーだ。地上は荒廃した貧困の地獄。掘っ立て小屋が並ぶスラムの住人は、過酷で危険な労働を強いられ、ケガや病気になっても医療技術の遅れからすぐ死んでしまう。エリジウムに憧れ密航を企てる者もいるが、デラコート防衛長官(ジョディ・フォスター)は反移民法にのっとりロボットや傭兵を配して殺してしまう。ロサンゼルスの工場に勤めるマックス(マット・デイモン)は、作業中の事故により致死量の放射能を浴び、余命5日と診断された。彼はエリジウムの先端医療に活路を求め、闇商人スパイダーと取引し、エリジウムへのチケットを手にするが、エリジウム内の権力抗争に巻き込まれ、不平等な世界をただし、地球に置き去りにされた人類を「エリジウム市民」に認めさせるための戦いに挑む▼マット・デイモンって、ジャン・ギャバン、ジャン=ポール・ベルモンドにつながる〈ブ男の系譜〉のなかでも最高ですよね。なんだろ。彼の魅力って。スマートでもハンサムでもないけれど、どこか温かみのある知性的な顔。鍛え上げた筋肉。43歳ですが本作のアクションでもまったく衰えを感じさせません。黙っているときにより多くを語れる繊細な表情を持っています。本作では正直言って(ンなはずないだろ)というシーンだってあるのよね。ブスッとナイフでお腹刺されて、5日で死ぬはずのマックスが、あっという間に治っちゃう。それこそエリジウムの先端医療だって? ちがうわよ。治療なんか受けもしないのにとっくに治っちゃったような、神がかり的な暴れ方なのよ。でもマット・デイモンなら許そう。なんと言ったって不死身のジェイソン・ボーンだもの。それを受けて立つのがジョディ・フォスターの悪の長官。へ~。フォスターの悪役だよ。正義と知性の代名詞みたいなフォスターが冷酷無比な防衛長官になる。フォスターは彫り込みの深い大理石の彫刻のような冷たさをたたえて登場します。にこやかに笑っていますが彼女の容貌上の特徴であるどこまでも青い瞳、細い鼻梁、引き締めた唇には情けのかけらもにじませていません。どうやったらこんな顔になるのか(おまえ血抜きでもしたンか)といいたくなる。フォスターは51歳ですがこれまた日頃の鍛錬を充分にうかがわせるあの脚。ふくらはぎの筋肉が盛り上がった、アスリートも(かくや)と思わせる脚線です。とても小柄な人ですがそれを感じさせません。シガニー・ウィーバーは「コピー・キャッツ」で、相棒役のホリー・ハンターをズケズケ「チビ」と呼んでいましたが、これがフォスターだと言いかけてやめたと思います▼本作でフォスターはあっさり死んじゃいます。エリジウム征服を狙う権力欲の権化みたいな女は、それはそれでよかったのですが、いかんせん、女の悪を生かせる脚本でも監督でもないからスカみたいだった。ニール・ブロムカンプ監督は同じSF映画「第9地区」で注目された人。地球に難民としてやってきたエイリアンと、それを抑圧する人類の対立をドキュメンタリー風に描いた映画でした。上空に停止した巨大な宇宙船とか隔離地区の圧政とか、社会的・政治的な問題提議が本作と似通ったスタンスです。あんまり女は得意じゃないみたいですね。本作でもマックスの恋人がいつのまにか結婚していて小学生くらいの娘がいて白血病の末期である、刑務所暮らしが長かったせいもあるが、久しぶりであった恋人に娘がいることに驚き、別れてからの事情を聞くが恋人は「複雑なの」というだけ。マックスは娘の命を助けるため挺身するが、何を聞いても恋人は「複雑なの」ですませる。なにが複雑なのかはとうとう最後まで触れもされない。どうでもいいらしい。つまり「複雑なの」という台詞だけで背景を押し通す、みたこともない台詞術でした。中学生でももう少しマシなこと言うよね。デラコート長官の傭兵のクルーガー(シャールト・コプリー)は、歩く殺人兵器みたいな男。彼の武器は電磁シールドやミサイルの他、手裏剣、ナイフ、日本刀など刀剣類を愛用する。それらの武器をつぎつぎ繰り出すところはどことなく「弁慶の七つ道具」みたいだ。本作の制作費は1億1500万ドルという膨大なものだったけど、2億8000万ドルの興行収入をあげたからまあまあか。ここしばらく「コンテイジョン」とか「幸せへのキセキ」とか、おとなしい役が多かったマット・デイモンのひさびさの精悍なアクションでした。

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