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特集「新宿2丁目を連れて歩きたいボーイフレンド」

2014年7月24日

特集 新宿2丁目を連れて歩きたいBF シャイア・ラブーフ 「欲望のバージニア」 (2012年 事実に基づく映画)

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監督 ジョン・ヒルコート
出演 シャイア・ラブーフ/トム・ハーディ/ジェイソン・クラーク/ガイ・ピアース/ジェシカ・チャスティン/ミア・ワシコウスカ/ゲイリー・オールドマン

豪華な復讐三兄弟 

 禁酒法時代に密造酒を造っていた三兄弟が主人公。この映画に登場する人物たちがみな、だいたい酒を飲むなという法律が間違っている、というスタンスであるのが面白いですね。だから彼らの村、1930年代のバージニア州フランクリンでは、だれもこそっと密造したりしていない、あの家の酒はうまい、オレとこも工夫しなくちゃ、なんて競い合い、腕と味を磨いては町に売りにいく。町ではギャングたちが買い手だ。彼らは彼らで、酒をまた売りさばくのである。保安官も見てみぬふり、味見役で役得にあずかるくらいだから、村あげて密造酒で生計をたてているのだ。大げさに言えばこの映画は金と女と銃という映画の黄金率で成り立つ▼禁酒法時代の酒の需要と供給が、密造によってふしぎなバランスを保っていた平和な村に異変が生じたのはこの男のためである。新しく赴任した特別補佐官レイクス(密造酒の取締官=ガイ・ピアース)が、厳しい取り締まりを開始した、のではなく、厳しい賄賂の請求を開始したのだった。法外な額に村人は驚きながらも従わざるを得ない。今まで酒を舐めて密造の味方になっていた保安官も、ガラリ態度を変えて取り立ての側につくし、村はすっかり陰気になってしまった。でもこの三兄弟はちがった。ボンデュライト家の三人息子である。長男のハワード(ジェイソン・クラーク)、次男のフォレスト(トム・ハーディ)、三男のジャック(シャイア・ラブーフ)だ。長男・次男の腕っ節の強いこと。ハワードはここ一番というとき、森の獣が全員逃げ出すような雄叫びをあげる。フォレストは度胸もいいしアタマもいい。不死身であるとさえ言われる。でも女にはオクテで、シカゴから流れてきた女マギー(ジェシカ・チャスティン)が、ある日兄弟の営む酒場のカウンターにふらりと現れ、雇ってくれとたのんだときは目が点。白蝋のようなチャスティンの肌が、古ぼけた田舎の酒場から浮き上がっている。フォレストが息をのみながら「あなたのような美しい人がなぜ、こんなところに…」(急に文芸調になる)。マギーはフォレストが好きだがフォレストはいつまでたっても手もにぎらない。とうとう自分からフォレストの部屋に入っていく(女がフルヌードになるまで放っておくのかキミは)▼さてシャイア・ラブーフ君の三男であるが、兄貴らはギャングを相手にするのは危険だから町に行くなというのに、気が弱くケンカも弱いのに商才のあるジャックはギャングと手を組んでビジネスを広げたいと野心満々。牧師の娘バーサ(ミア・ワシコウスカ)に出会いさっそく口説くなんて、オクテの兄貴とえらいちがい。この三男がトラブルメーカーなのだが、強い兄貴たちがいるから一目おかれているものの、ケンカとなるとたちまちボコボコにされる。ちょっと大人っぽくなったシャイア・ラブーフがはまり役でいい感じをだしています▼三兄弟のほかに本作を牛耳る役者がふたりいます。ひとりはもちろんこの男ガイ・ピアース。憎らしいの、なんのって。たとえようもない、歩く毒ガスみたいな男が香水の匂いをプンプンふりまいているのだから、輪をかけていやらしい。密造人から賄賂をとるうえ、取り締まりにかこつけて殺人もヘッチャラ。自分になびかないボンデュライト兄弟を目の敵にし、いつか葬ってやると虎視眈々、罠をはりめぐらす。コテコテに塗り固めた頭髪をピチっと真ん中からわけたずるがしこい目つきの、弱い者いじめが大好きな男。兄弟の長男と次男が男気の固まりみたいだから、対照的もいいトコですが、ガイ・ピアースは天下一品のいびりかたで兄弟をいためつけます。いや、彼らが愛する女も無傷にはしておかない。フォレストはのどをかき斬られ、九死に一生をえるものの、愛するマギーを踏みにじられます。それを知ったときフォレストは復讐の化身となります。もちろん長男は黙っていない。文字通り黙っていないのです。意味は不明だが野獣も凍りつく雄叫びをあげ宣戦布告。ジャックは心やさしく、虫も殺せない幼友達が無残にも撃ち殺され、怒りにふるえたちあがる。クライマックスの銃撃戦でガイ・ピアースの殺されるド派手なこと。まあこれくらいやっつけないことには腹の虫はおさまらん、ということですね▼もうひとりはやっぱりこの人。ゲイリー・オールドマン。彼は55歳になりました。「裏切りのサーカス」の久しぶりの主演もよかったですが、本作のようにチョイとでてきて二言、三言台詞を行って退場する、そのくせ「おお、ゲイリー・オールドマンが出てきたぞ」と観客が待ち望んでいる、そんなやつって、同業者からしたらクソ腹のたつ役者でしょうね。

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