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特集「男前」

2014年8月1日

特集「男前」 アナとエルサ アナと雪の女王 (2013年 ファンタジー映画)

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監督 クリス・バック/ジェニファー・リー

「わたしの王国」 

 「シネマ365日」は本日から第四巻に入ります。特集は「男前」。その第一日目は「アナと雪の女王」です。ンま。本作のヒロインふたり、姉娘のエルサと妹のアナのキャラってひとつそれると「悪の女王」まちがいなし、というところで、ジェニファー・リー(脚本・監督)は〈寸止め〉したのね。いつも白馬の王子さまの出現を待つ受け身の女、シンデレラでもなければ白雪姫でもないのね。姉のエルさは成人して王位を継承する、つまりディズニー映画のヒロインとしては初の成人女性でして「可愛い、可愛い」のお人形みたいな女の子じゃないってことにリー監督は設定したのね。いいぞ、監督、女子力全開だぞ▼生まれながら超能力を持つアレンデール王国の王女エルサ。アナはいつも姉エルサに魔法をみせてくれとせがむ。エルサは世界を凍らせる魔力を自分でも持て余しているが、アナはちっとも恐くない。やさしい姉が、指をちょっと動かすだけで宮殿の広間でアイススケートができるし、雪だるまを作って遊べる。でもその日は過ってエルサのオーラはアナの額を直撃、アナは生死不明の重態に陥るが、かろうじて助かる。父王と母王妃はエルサにその力を二度と使わないよう説得し、エルサは蟄居する。早い話座敷牢に閉じ込められたみたいなものです。アナは姉と遊びたいが姉は姿を見せることを頑なに拒否、アナはさびしくて仕方ない。父と母の存在は通常と異なった才能を持つ女に対する世間の代表でしょうね。普通と変わりなければ幸福に暮らせるのに、異能であるばかりにこの子にはとんでもないことが起こるに違いないと両親は危惧する。そこで監督は船の難破で遭難死ということで王・王妃を退場させます。残る姉妹はふたりだけで生きていかねばならない。姉妹は美しく成長し姉君戴冠の日が来た。国民は美しい後継者を祝福し、隣国や関係諸国から国家代表が式典参列のため王国を訪問する▼なかにハンスというイケメンがいて、彼はさる国の十三番目の王位継承者。上に兄貴が十二人。これじゃ自分が国王になれる可能性はない、どこかの女王をものにしてその国の王になることにしようという、せこいハンサムボーイ。男に免疫のないアナはすっかり夢中になり「姉上、わたし結婚します」姉は飛び上がる。「冗談じゃないわ、今日あったばかりの男のなにがわかるの」と戴冠式もそっちのけ、妹を説得するが恋につける薬はない、アナは姉の反対がうとましく言うことをきかない。エルサの魔力は彼女の成長とともに威力をまし、制御するのが難しいまでになっていた、怒りと嘆きとともにエルサのエネルギーは噴出、アレンデール王国の人民も建物も大地も森も川もすべてを氷に変えてしまう。エルサは自分の持つ力が決して人を幸福にするものではないと悲観し、山頂に逃避。ここで自分は独りで生きていく「もういいわ、わたしは自分の力を隠さない、雪も風も吹き荒れるがいい、寒さなんか平気、恐れはもうわたしを苦しめない、風と空はわたしのもの、これでいいの、善や悪にしばられず、未知へと突き進み、わたしはわたしの道を行く」と歌う。これが主題歌「レット・イット・ゴー」です。凍りづけを免れたアナは、姉国王(エルサ)を呼びもどそうと氷の山頂にアタックすることを決意、留守中すべての権限をハンスに委譲する▼アナを恋する勇敢な山男クリストフとその相棒、トナカイのスヴェンとか、雪だるまの精オラフとか、おもしろいキャラが登場します。でも最高はやっぱりハンス君。アナがピンチに陥って「真実の愛」しか彼女を助けることはできない、クリストフは婚約者ハンスがくやしいけどその人だろうと信じていますから、瀕死のアナをハンスのもとに運ぶ、ハンスはニヤリ、キスしてアナを助けるどころか思うツボにハマったと本性を表す、ハンスはエルサを訪ねアナの死を報告し呆然自失のエルサの頭上に剣を振り下ろす刹那、アナはエルサのもとにたどりつき姉の身代わりとなって剣を受ける。エルサは氷の彫像と化した妹を抱きしめ慟哭、するとアナを凍りつかせていた氷が溶けアナは元に戻る。エルサは自分でもわからなかった魔力の解凍法は、自分を恐れることではなくだれかを愛することだと知る…あらそう。じゃ何か。アナをもとに戻す真実の愛って、ハンスのキスでもなければ、自分の愛こそ真実の愛と、自信を持ってかけつけたクリストフをおしのけてアナは姉を助けに行っちゃうのだから、男はお呼びじゃないってことだったわけ? 監督。要するにこの映画は、男の救済や愛によって幸福になる女のお話ではなく「わたしたち、自分でアイデンティティを確立しました」っていう女ふたりの精神的独立宣言だったってことなの?▼あっそ。「もうわたしは自分の力を恐れない」なんてカッコいいわよ。ただし力があればね、なんて斜め見のひねくれた見方はやめようよ。そんなやつに限って持てる力に自分で気がつこうとせず、ツキを逃してばかりいる運の弱いやつなのよ。ありのままの自分に自信をもてばみなそこが「わたしの王国」であり「新しい夜明け」であり、世間がカスタマイズした女とはオサラバ。そんな女は「もうどこにもいない」とエルサは歌う。ディズニー史上始まって以来のヒロインの登場に、世界中が拍手した空前のヒットでした。

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