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特集「男前」

2014年8月8日

特集「男前」 サンドラ・ブロック(下) ゼロ・グラビティ (2013年 SF映画)

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監督 アルフォンソ・キュアロン
出演 サンドラ・ブロック/ジョージ・クルーニー

地球っていいな

 ジョージ・クルーニーが早くに退場し、あとはサンドラ・ブロックの一人旅だ。サンドラ演じる医師ライアン・ストーン博士は、4歳の娘を事故で亡くし、生き甲斐を失った。宇宙の無重力空間に浮かんで、ベテラン宇宙飛行士マット(ジョージ・クルーニー)と、シャリフと三人で宇宙望遠鏡の修理作業をしている。マットとシャリフが軽口をたたきながら遊泳時間の競争をしているとき、ヒューストンの管制から「作業中止、緊急避難」指示が入る。膨大な量の宇宙ゴミが時速100キロで接近している、ロシアが自国の衛星を破壊したところ、他の衛星も連鎖的に破壊され、宇宙ゴミとなって拡散したというのだ。ライアンたちは船内に避難しようとするが間に合わず、宇宙ゴミの破片とスペースシャトルが衝突、シャリフは顔面を打ち割られ即死、ライアンとマットも宇宙空間に投げ出される▼作業をしながらマットが聞いた。「宇宙のどこが好きだ」「静けさよ」とライアン。夫はいないが娘がいたこと、幼稚園で事故にあい、連絡をうけたときは車を運転していた、娘は死に「目が覚めて、仕事に行き、運転する、それ以来いつもそう」。マットは「君は有能な医師だ」とライアンを励まし「女なのになんでライアンなんて名前だ」と遠慮なくきく。日本で言うならベランメエともいうような、あらっぽい口調だがマットの思いやりに、ライアンは気持ちが軽くなる。そこへこの衝突事故だ。宇宙船に乗り込んだのは初めてのライアンは、酸素が残り少なくなってパニック状態の過呼吸に陥る。「心配するな、宇宙服に残っている」とマットは落ち着かせようとするが、宇宙服の酸素も切れかけてきた。マットはライアンを励ましながらヒューストンと交信しようとするが、軌道上の衛星が破壊され応答がない。死亡したシャリフの遺体を収容しようとスペースシャトルに帰還すると、コックピットは大破し、宇宙服を着ていなかった乗組員は全員死亡、無重力の空間に遺体が浮いている。ふたりは地球帰還のためにスペースシャトルを諦め、国際宇宙ステーション(ISS)に向かう▼マットとライアンはたった一本のロープでつながっているが、マットのユニットは燃料切れ。自分を切り離すようマットはライアンに指示するがライアンは拒否、マットは自分からロープのフックを外し、虚空の宇宙空間を漂流しながら、可能な限りライアンに話しかけ通信がとぎれるまで励ます。マットはだんだん小さな白い点となって宇宙に消えていく。とうとう無音の空間にライアンはひとりぼっちだ。「宇宙なんか大キライ」と彼女は叫ぶ▼酸欠でライアンは意識もうろうとしながら、ISSの居住区画に入り宇宙服を脱ぎ、タンクトップとパンティ一枚になって一息つく。ついたと思ったら火災発生である。とにかくつぎからつぎトラブルが発生するのだ。火災のつぎは爆発。宇宙船ソユーズを母船から切り離そうとしたらパラシュートがからみついていて離れない。仕方なくライアンは再び宇宙服を着て船外へ。怒りながら着たであろう、宇宙服での修繕作業とは、このシーンのライアン博士の奮闘は、悪いけど「デンジャラス・ビューティ」のグレイシー・ハートとだぶって笑ってしまった。いやそれどころではない、まだまだピンチは続くのだ。パラシュートをやっと外すとさらに膨大な量のゴミが突進してくる。くそゥ、いったいだれがこんなゴミをまき散らかしているのだ! ゴミに直撃されISSは大破、おまけにソユーズは燃料切れ。救助を求めた無線には地球の電波が入り、犬の鳴き声と、赤ん坊をあやす声が聞こえる。ライアンは死別した娘を思い「もうすぐ会える」とつぶやく。船内の酸素供給を止め、死を覚悟して目を閉じたライアンのそばに、突然窓を破ってマットが入ってきた!▼もちろんそんなばかなことはない。これはライアンの幻なのだが、幻のマットは酸素供給を再開させ、着陸時の逆噴射装置を利用して中国のステーション「天空」までの推進力とするよう助言する。死んでも幻となってライアンを助けるなんて、マットはライアンを愛していたのね…それはあと、ライアンは地上のテストで失敗ばかりしていた着地操縦にトライする。自分が乗り込んだ着陸船の逆噴射エンジンを作動させ天空むけ発進する。天空に近づいた。ライアンはソユーズ着陸船を出て遊泳しながら天空にたどりつくと、あっちこっちハッチを手探りしながら宇宙船「神舟」に入り込んだ。このあたりの、うろたえながらの奮闘は「スピード」を思わせます。大気圏突入。ボイスレコーダーにライアンは吹き込む。「残されたことはふたつ。生きて奇想天外な話ができるか、10分後に焼け死んでいるかよ!」がんばれサンドラ姐御▼ライアンは湖に着水。ハッチを開くと船内は浸水し、ライアンは重い宇宙服を脱ぎ、またもや下着一枚になって湖面の光をめがけ水を蹴る。足が湖底に着く。ようやく岸にたどりついたライアンは倒れこんだまま濡れた地面をつかみ、重力を確かめる。この生きている実感がすなわち「グラヴィティ」(重力)です。「ゼロ・グラヴィティ」とは無重力空間。そこは死の世界。音もなく光もなく色もなく、酸素も水もなく、なにも生きることができない、永遠の黒い空間。ライアンが生還して地面を抱きしめたとき、理由もなくただしみじみ「地球っていいな」と思った。そう思わせる無条件の感動がこの映画にあります。サンドラはアカデミー主演女優賞にノミネートされました。理由? 色気過剰でないところが適役だったからだわ、きっと。

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