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特集「男前」

2014年8月13日

特集「男前」 ジェニファー・ビールス フラッシュダンス  (1983年 青春映画)

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監督 エイドリアン・ライン
出演 ジェニファー・ビールス

ジェニファーがリードした部分 

 この映画、主演がジェニファー・ビールスだったという以外なにも思い出せませんでした。逆をいえば30年前にもかかわらず覚えられている女優がジェニファーだったってことか。改めて書く必要はないと思いますが、ゲイ映画史上の転回点となった「Lの世界」長丁場6シーズンを、トップクレジットで主演した人。役柄も彼女を迎えるのにぴったりの設定でしてね。それこそ水を得た魚でしたよ。彼女が来日したとき新宿2丁目に行きレスビアンバーを訪問して大歓迎を受けた。彼女は「L」以来LGBTへの理解が深まったとしてLGBTフレンドリーを広言しています。そんなジェニファーですが「フラッシュダンス」のデビューが劇的だったせいか、その後のみごとな沈没というか、失敗作と駄作の連続でジェニファーは死んだも同然。特に「フラッシュダンス」の次作「ブライド」が大コケのうえ自身はゴールデンラズベリー賞のワースト主演女優にノミネートされ意気消沈、3年ほど沈黙した。マアよく引退しなかったと思うほど鳴かず飛ばずの時期が続くが、それでも持ち込まれる「フラッシュダンス2」のオファーを頑として断り続けたという硬派です▼「フラッシュダンス」のヒロイン、アレックスが成長したら、ひょっとしたら「Lの世界」のベットみたいな女性になっていたかもしれないと思わせます。ベットとは華やかにみえますが目立たないところで粘り強い。我慢も忍耐も知っている。典型的な〈出る杭は打たれる〉ですが、だからといってひっこんだことがない。かすかな微笑を頬にうかべ議論のとば口を切る。別れた恋人ティナでさえ「そこまで言うか」とあっけにとられるほど、議論に独特の展開をみせる。冷や飯食っているときでも必ずチャンスは来る、だからその日のためにおさおさ準備は怠らず体を鍛え、節約し専門分野に秀で、妥協しない。「フラッシュダンス」は青春映画の予定調和そのもので、アレックスがうまく行きすぎ。男にもてすぎ。しっかりした知性的な女の部分とワイルドな自然児の女の部分のバランスがとれすぎ…これではあんまりシャクなうえ、映画は大ヒット、おまけにジェニファーは映画初出演でアカデミー賞主演女優賞にノミネートとなったから、やっかみが燃え上がり、ダンスシーンがボディだったという理由でオスカーに該当せず、となったという話が今でも信じられている。だれでもボディくらい使っているじゃん▼2003年3月、ジェニファーは「L の世界」のオファを受けました。放映が始まったとき登場した彼女をみてだれしもが驚倒したに違いない。「フラッシュダンス」から20年。あのときのアレックスよりもっときれいに、知的に、スタイリッシュに、能動的になったベットに女性たちは目が点。しかも、な、なんだと。ベットはカリフォルニアにある美術館のアート・ディレクター。そこをやめたらヘッドハンティングでUCLAの文学部長。華麗な学部長の前には朝も夜も女子大生が行列、振っても断っても言い寄られる。なんじゃコレ「ええ加減にせいよ」とみな思うわよ。だからでしょうね。ベットが最愛の恋人ティナと別れ、さびしさのあまりのたうちまわる愚かさ。自分の浮気のせいだからが自業自得なのだ。あんまりスムーズに行ったばかりに嫉妬で焼き殺された過去の二の舞いは踏まぬと、ジェニファーはわざわざみじめでおバカな女の部分を設定したのじゃないでしょうか▼とにかくジェニファーは復活した。5年の間「Lの世界」でレギュラーを続けた。彼女は劇中、自分が白人でないことで攻撃を受けたり、レスビアンであることで差別されたりするシチュエーションをとりいれ、きっぱりと信念を表明している。そんなベットの発言や態度に共鳴する女性たちが、ゲイであるなしにかかわらず自らの意識を鮮明にした。ちょっとおおげさになるが、80年代の「フラッシュダンス」と「Lの世界」で彼女の演じた「男前」が女の意識を、社会をリードした部分がある。

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