女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集「男前」

2014年8月16日

特集「男前」 ゾーイ・サルダナ コロンビアーナ (2011年 アクション映画)

Pocket
LINEで送る

監督 オリヴィエ・メガトン
出演 ゾーイ・サルダナ

美しい殺し屋 

 ゾーイ・サルダナ扮する女殺し屋のカトレアが武器を達者にこなしている。メガトン監督はリアリティをだすため銃はみな本物、ただし空砲だと解説していたけど、それにしても出てくる銃器は半端じゃない。カトレアの部屋の武器庫には短機関銃(H&KMP5A3)とか、突撃銃(H&KUMP)とかがずらり。鉄色の重く冷たい光を放っている。屋根裏に隠したライフルはボルトアクション式シグブレーザーR93だ。映画のクライマックスの銃撃戦で、カトレアがガンガン撃ちまくる二挺の拳銃はIMIミニウージー。ごくフツーに持っているが一挺2.95キロ。約3キロの銃を片手で軽々と扱う筋力はたいしたものだ▼「美しい暗殺者」ゾーイ・サルダナ。世界でいちばんきれいな脚だと思った女優は「ビリー・ホリデイ物語/奇妙な果実」を演じたときのダイアナ・ロスだったが、ゾーイはそのつぎくらいかな。いやいや、脚だけじゃなくとにかくスタイルのいい人ですよ。背はそんなに高くないけど、スレンダーな肢体には「痩せている」という乏しい感じがひとつもない「細さ」なのよね。彼女が殺しの仕事に入ったときのしなやかな動きはブラック・マンバを思わせる。9歳で両親を殺された少女は 普通の少女の日常を失った。学校に行ったり(行くことは行くが学校生活はいっさい映画でカット)友だちとおしゃべりしたり、試験を受けたり、おしいものを食べに行ったり、デートしたりという社会生活は奪われた。彼女にあるのは復讐のみである。リュック・ベッソンの脚本らしいわかりやすさです▼ゾーイはアクションのためにクラブマガをレッスンした。クラブマガはイスラエルで考案された近接格闘術で、イスラエル保安部が採用し、世界中の軍や警察関係のほか、最近は一般市民の護身術としても広まってきた。ウェイトトレーニングにクラブマガ、戦闘訓練、銃器のロックや武器の装填はロスアンゼルス警察のスワットチームの上官と訓練したとゾーイは言っている。ところがアクション振付師がそれをみて「殺し屋が軍人みたいな動きをするか」。そのとき彼が言った「武器と君のあいだには親密な関係がある。それは技術的な関係ではなく、武器は君の親友みたいなものなのだ」。この一言のゾーイは「殺し屋開眼」したらしい。カトレアが自分の「親友」をどう扱うか、こまかいところまで神経のゆきとどいた銃撃アクションはゾーイ・サルダナのひとり舞台だ▼カトレアが失敗する原因は男に深入りしたからで、自分でも「しまった」と言うのだが、こういう甘い部分をつくらないと、女の殺し屋ってなりたたないという男の通念は、もはや退屈なだけだとだれかいってやらないのだろうか。男の家に泊まり熟睡のあげく朝寝坊し、男が撮る写真のシャッターの音にも気づかない殺し屋なんか失笑ものだわ。とっくにあの世にいってもおかしくないわ。このへんカトレアが間抜けに見えたけど、ロケット砲でマフィアのボスの屋敷ごとぶっとばす、壮大なスケールで失点を取り返した、そう思って目をつぶろう▼カトレアの少女時代を演じた女の子アマンドラ・ステンバーグがいいわ。一点を透視でもするかのように凝視する。この子がゾーイ・サルダナそっくりでまるで彼女の娘みたい(笑)。オープニング早々の、スピード感あふれる脱出劇は目を見張ります。少女の身の軽いこと軽いこと。殴ることと銃をぶっ放すことだけがアクションではないとこの少女は証明します。走る、跳ぶ、飛び降りる、倒れる、起き上がる、すべての動きが野生動物のような躍動感を備えている。撮影監督のロマン・ラクールバがいいのでしょうけどね▼少女の逃亡シーンに続き、成長したカトレアの刑務所への潜入殺人、ターゲットをサメの餌食にさせるとか、武器を満載した戦車みたいなトラックで乗り付けるやポーカーフェイスのままニコリともせず掃射するとか、いやはや最後まで刺激的です。カトレアが目的を果たし長距離バスにのるバス停はさびれた町のはずれ。夕日が落ちるバス停には黒人の中年女性がぽつんとベンチに座っている。人影もないさびしい風景。殺し屋の挽歌ふうエンドです。

Pocket
LINEで送る