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特集「男前」

2014年8月26日

特集「男前」 クリスティーナ・リッチ ブラック・スネーク・モーン (2006年 社会派映画)

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監督 クレイグ・ブリュワー
出演 サミュエル・ジャクソン/クリスティーナ・リッチ/ジャスティン・ティンバーレイク

わたしを離さないで 

 とてもいい映画でした。クリスティーナ・リッチがオープニングに登場するシーンなんかね。かなり露出度の高いスタイルでリッチが正面から田舎道を歩いてくる、後ろからトラックが進んでくる。ゆらゆらとかげろうが揺れ、リッチは振り返りもせず右手をまっすぐあげ中指を立てる。それだけですが、この映画がこれから語り始める物語に無条件に耳を傾け、目をこらし、もっと深くこの映画のなかに入っていきたくなる、そんなイントロです。原題も「ブラック・スネーク・モーン」です。ブラインド・レモン・ジェファーソンの曲からつけられました。メンフィスはセントルイスと並ぶブルースの町、クレイグ・ブリュワー監督はメンフィスで暮らし、映画を撮り続けてきた監督です。彼のメンフィスへの愛惜がこの映画の叙情をきりっと引き締めている▼謹厳なクリスチャンで真面目一方、女房はそんな夫ラザラス(サミュエル・ジャクソン)が「陰気くさいつまらない男」だとし、ラザラスの弟とでき家を出た。ラザラスはブルース・ミュージシャンでギターを弾いていたが、今は農夫をしている。ラザラスはある朝、道に倒れている少女レイ(クリスティーナ・リッチ)を発見する。ひどい暴行を受けたことがひと目でわかる。敬虔なラザラスは、彼女こそ神様が自分に与えてくれた信仰の拠り所だと心を決め、レイを救おうとする。レイは子供のころ義父から性的虐待を受けた。それ以上に母親が見て見ぬふりをして助けてくれなかったことに深く傷ついていた。同じ町に住む母娘はまるで仇同士である。レイは母親に言う「あの男(義父)が嫌いだった。とぼけないで、ママはわたしをあの男の好きにさせたのよ」「町中の男に脚を広げ後始末をさせておいて今度はわたしのせい? 二度と面倒みないわよ!」レイは自分のセックス依存症をこう説明する。発作のように症状が起こるときは決まって「あのころのことが頭に浮かぶ。わたしがやったことやされたことが。それが疼きだして頭から体中に伝わる。両手、胃、もっと下へ。すると抵抗できない」…恋人のロニー(ジャスティン・ティンバーレイク)が新兵として入隊したあとの寂しさをまぎらわすため、パーティでドラッグに溺れ、ロニーの友人ギルを挑発して車から突き落とされ失神したのだ。前後のいきさつがわからないままラザラスはレイを看病する。意識朦朧としながらも汚い言葉で侮蔑するレイに、この少女のかかえる地獄が普通ではないとラザラスは察する▼意識が戻ったレイは腰にまきつけられた長い鎖、見知らぬ初老の黒人男に唾棄する。ののしり、誘惑するレイにラザラスは知らん顔。品のいいさっぱりした服を買い与え、家の中だけいては足が弱ると散歩に連れていく。レイは鎖を持って後ろからついてくるラザラスに、くやしそうに吐き捨てる「楽しい? 人をラバみたいに散歩させるのは」ラザラスは動じない。静かな夜ラザラスが弾くギターの、ブルースの渋い弾き語りを聞きながら、レイの心はいつしか安らいでいく。ラザラスは聞く「君の天国はどこにある」レイは答えた「ロニーよ」そのロニーが帰ってきた。重度の不安症と診断された早期除隊だった。しかし家にレイの姿はない。恋人を探しまわるロニーはレイがラザラスの農場で、ふたりで暮らしていることをつきとめ、逆上して車を走らせる。ロニーが拳銃を手に踏み込みレイの制止もきかずラザラスを殴り倒す。ゆっくり起きあがったラザラスは「撃ってみろ」銃口をつかんで自分の胸に当てる。サミュエル・ジャクソンが圧巻です▼レイに必要なのはロニーなのだ。そのロニーもまた神経を病んでいる。ラザラスは頼れる女友達アンジェラに頼み、ふたりの結婚式をあげることにする。立会人はラザラスにアンジェラ、ラザラスの農場で働く少年のリンカーンだ。この朝はみな正装でラザラスの家の前に集まった。ロニーはネクタイをリンカーンに結んでもらい、レイはアンジェラが選んだ白いウェディング・ドレスに身を包んだ。ラザラスはレイに言う「勇気をかきあつめ人生を生きるのだ」レイはラザラスを抱きしめ「わたしを離さないで」…だれも自分のことを真剣に考えてくれなかった彼女の人生で、たった一人の味方がラザラスだった。しかも結婚はしたもののさきゆき決して楽観できない、ふたりの病気の「ぶり返し」を映画は暗示しますが、同時にどっぷりのみ込まれていた心の闇から脱出し、ロニーをいたわるレイの力強さも示しています。女って健気ね。どこまで男に尽くすのでしょうね。ロイのジャスティン・ティンバーレイクがよかったですよ。社会で受け入れられない繊細な青年を終始暗い顔つきで頑張って演じました。彼は「 バッド・ティーチャー 」でキャメロン・ディアスと、「ステイ・フレンズ」でミラ・キュニス(「 ブラック・スワン 」)と、「 人生の特等席 」ではエイミー・アダムスと、「 TIME/タイム 」でアマンダ・サイフリッドと共演。早くから評価を得た高名なミュージシャンであるとともに、俳優としても注目を集めています。クリスティーナ・リッチはこの年27歳。「 アダムス・ファミリー 」のしっかり者の長女ウェンズデーが11歳のとき、幽霊に心を開く孤独な少女「キャスパー」が15歳、シャーリーズ・セロンをめろめろにした「 モンスター 」が23歳。「スリーピー・ホロウ」他ジョニデとの共演3部作など、幅広い役を着実にこなしています。

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