女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集「男前」

2014年8月28日

特集「男前」 アマンダ・セイフライド ラヴレース (2012年 伝記映画)

Pocket
LINEで送る

監督 ロバート・エプスタイン/ジェフリー・フリードマン
出演 アマンダ・セイフライド/ピーター・サースガード/シャロン・ストーン

わたしが棄てた男 

 ポルノ映画「ディープ・スロート」にリンダ・ラヴレースという芸名で出演したリンダ・ボアマン(アマンダ・セイフライド)は公開されるや否や、全米で一大センセーションを巻き起こす。1972年のこと、リンダは22歳だった。1973年に離婚、1980年に出版した自伝で、夫との関係は「銃をつきつけられて無理やりポルノに出演させられた」「売春を強要され、拒否すれば暴力をふるわれた。複数の男に強姦させた」と悲惨な結婚生活を明らかにした。彼女は夫と別れたあと再婚し子供を産んで、ポルノ映画への出演経験をもとに、ポルノ映画調査委員会の前で証言するなど、20年間ポルノ反対と女性擁護の社会活動を続けた▼ざっと大筋を書くと以上だけど、本作を感情の起伏に富んだドラマティックな映画にしたのは、アマンダの頑張りだわ。シャロン・ストーンがアマンダの母親役で、性格の難しい婦人を演じて恐いほどの存在感だ。やさしい働き者の父親はいつも娘のことを案じている。フロリダにある、平凡なつつましい家庭に暮らすリンダは21歳。10代のときに妊娠し産まれた子供を母親は里子にだした。それでなくとも敬虔なカトリック教徒の家なのに、母親は以後さらに厳しくなり11時の門限に遅れると平手打ちを食う。リンダは地元でバーを経営するチャック(ピーター・サースガード)と知り合い、彼の調子のいい甘い言葉が耳に快く、両親に紹介すると、父と母まで「いい人みたいね」とダマされてしまう。礼儀正しく優しかったはずのチャックは結婚して正体を表し、うぶなリンダにセックスのてほどきをしていく。経営するバーでの売春容疑で逮捕され、保釈金やアブナイ方面からの借金でクビが回らなくなったチャックは、リンダをポルノ映画に売り込む。あまり「フツー」すぎて「痩せてケツが小さい」から出演は無理と断られると、チャックはリンダに教えたあるテクニックをビデオで見せる。その大胆な性戯に男たちは呆然、その場で契約する▼リンダがポルノ映画撮影にかかわったのはたった17日間である。それが彼女の一生に影響した。「ディープ・スロート」は6億ドルの興行収益をあげ、リンダに支払われたギャラは1250ドルだった。チャックの束縛のためリンダには自由も金も時間もなかった。金に困れば売春させる夫のもとを逃れ、実家に戻った娘は「しばらく置いてくれない」と母親に頼む。母親は「一度嫁いだ娘が帰ってくるなんて」恥さらしだといい、「せめて3日、だめなら今夜だけでも」と涙ながらに懇願する娘に「家に帰って夫の言う通りにするのよ。お前の姉を未婚で産んだときのつらい目をお前にさせたくない。結婚した人生を手に入れることが幸福なのよ」と説得する。でもねえ娘が目の前で泣いていることだけでも異常でしょう。このお母さんアタマおかしいわ。そう思われて当然の母親を、シャロン・ストーンがおぞましいくらい好演している▼屈強な男たちの強姦の道具として部屋に軟禁されたリンダが、帰途あまりの情けなさに道にしゃがみこんで泣く。チャックはかがみこんで様子をきくが、パトカーが止まりチャックに尋問すると「これは女房だ」という言葉に立ち去ろうとする。ひとりがリンダ・ラヴレースと気づき「サインしてくれませんか」と頼む。リンダが涙をこらえながらサインするのが痛々しい。なんでこんな男の、どこがよくていっしょになったのだろうと思う不潔な男がチャックである。がんじがらめの母親のもとを離れたかったのもひとつでしょうが、こうなると男を選ぶのは運命の分かれ道ね。リンダはかねがね映画出演をすすめてくれていたギャングのボスに会いに行く。オレから借りた金を返しにきたのかときくボスに、リンダはサングラスを外す。アザだらけの顔にすべてを察し、ボスはチャックをつかまえ足腰立たなくなるまで打擲し「リンダに二度と近づいたら容赦しない」と言い渡す。チャックは男からみても虫唾が走るような男だったのでしょうね。おかげでリンダは離婚できたけど▼リンダは本を出版したときのインタビューで「チャックと出会ったのが不運だった。彼の性的な要求がいやだったけど、わたしは夫に従うように育てられたのです。あんな虐待は神が許さない」この自伝は3版まで出版された。アマンダ・セイフライドは役作りについて「リンダはひとつのことしか向いていないと言われたけれど、挫けず戦い続けた。生きる強さを訴えかける物語よ。事実に添って演じたわ。敬意を込めてね」。「 レ・ミゼラブル 」のコゼットとは打って変わった複雑な役でしたが、重みのある演技で男を棄てる女を熱演しています。それにしてもピーター・サースガードの、いやらしいダメ男ぶりは特筆ものでした。彼と、それとシャロン・ストーンがいなかったらアマンダのさすがの熱演もひきたたなかったと思います。記者会見でアマンダをグイッと抱き寄せ、グワハハハと笑っていたシャロンは、アマンダが小柄なだけにどっちが主役かわからないほど豪快でした。この人いくつになっても変わりませんね。撮影中シャロンがいつも励ましてくれたと、アマンダは感謝を述べていました。

Pocket
LINEで送る