女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集 LGBTー映画にみるゲイ

2014年10月10日

特集 LGBT-映画にみるゲイ93
トリコロールに燃えて(2004年 ゲイ映画)

Pocket
LINEで送る

監督 ジョン・ダイガン
出演 シャーリーズ・セロン/ペネロペ・クルス/スチュアート・タウンゼント

勇敢な女ふたり 

 ギルダ(シャーリーズ・セロン)とミア(ペネロペ・クルス)の出会いはこうだ。道でミアをみかけたギルダがあとをつけどこに住んでいるかつきとめた。ギルダはピンとくる人をみると話しかけたくなる。子供のころ占い師から34歳で死ぬと言われてから、ギルダは運命論者だ。すべてのできごとは起こるべくして身の上に起きる。何かを感じた人と話したくなるのも「その人と二度とあえないかもしれないでしょう」。ギルダはアメリカの大富豪の娘。継母と気があわず父の豪邸にいつかず、渡英して写真家として個展を開こうとしている。ミアはスペインの内戦で負傷した弟を、医学の知識がないために救えず、ロンドンでキャバレーの踊り子をした。今は看護師の勉強をしている。いつかスペインにもどり人を助けるのが願いだ▼ガイ(スチュアート・タウンゼント)は、ケンブリッジの一年生のときの雨の夜、偶然部屋にまぎれこんできたギルダと知り合った。ギルダはその後国外に旅して消息が絶え、帰国したのが3年後。教師になったガイを自分の撮影助手にする。ギルダ、ミア、ガイのトリコロール(三色カラー)がそろったのは1938年代。第二次世界大戦開戦の直前だ。ミアにとってギルダは恋人だった。いつか祖国スペインに帰る思いをギルダに打ち明けるが、ギルダは本気できこうとしない。男と奔放な関係をあちこちで結ぶ。ギルダにすれば「34歳で死ぬ」強迫観念があるから一瞬、一瞬を刹那的に生きるのはやむをえないと自分で思っている。そんな彼女が唯一継続的な関係を保ちたかったのがミアとガイだった。ギルダの個展の画廊主であるルシアスとミアがつきあっている。ある日ギルダがアパートに帰り、いつものように「ミア、ミア」と呼ぶが姿を現さない。床に落ちた服をみて、着替えたはずなのにおかしいとギルダが浴室をのぞくとミアがうずくまっていた。背中に無数のむち打ちの傷があった。「ルシアスね」。ギルダは彼に電話する。「ミアには内緒にしてくれるわね。じつはわたしあなたと同じ趣味なの。会わない?」ルシアスは二つ返事。ギルダは「ガイ、ミアを映画に連れていって。コメディがいいわ」と頼み、行く先を告げずでかける。ギルダはルシアスをベッドに倒し、ヒールで胸を踏みつけ、喜悦の表情を浮かべたルシアスの両腕をベッドにしばりつけ、さるぐつわをかまし「いろんな遊びを思いついたの」と、革ベルトをとりだす。あとは打擲の音が響くだけ。ギルダはアパートに帰り、映画から戻っていたミアに「あんなクズのことは忘れて」▼3人は1年間いっしょに暮らした。スペインの内戦のレジスタンスに加わるというガイとミアがイギリスを離れる最後の週、3人でギルダの父親の屋敷で過ごした。最後の日になった。3人はダンスホールに行った。ギルダはミアと踊り「ミア、なぜあなたも行くの?」と、ミアの唇に歯をたてるような激しいキスをする。激戦地でミアは死んだ。ギルダは戦地からミアの手紙を受け取ったことがある。「あなたへの愛は変わらない。そして許して。いつもあなたを思っているわ」▼ガイのことなのだけれどね。どうも彼の役割がこの映画でぱっとしないのよ。ギルダは再々三人でパリでいっしょに暮らしたときが人生でいちばん幸せだったといい、ふたりがスペインに行ってしまったことは、はかりしれない絶望だった。本来ギルダは世界のことに無関心な性格で、戦争も国家も内戦にも目もくれず自分の世界に没頭する女性である。しかしだ、自分のことばかり考えず世界にかかわりを持って変えていかねばというガイは、スペインの戦争に失望してパリに帰る。そこではギルダが占領下のドイツ人将校の情人となっていた。ギルダをあきらめきれない彼はレジスタンスとなって彼女の前に現れるが「自分のことは忘れて、あなたも過去の人なの」と追い返される。パリ解放の日、ギルダは売女としてリンチにあい命を落とす。ガイはギルダの部屋のゴミ箱のなかに、書きかけて捨てた自分宛ての手紙をみつける。「わたしは運命論者であり、運命は定められた時に尽きると信じていました。しかしふたりを失い独りでは生きていけないと気づいたとき、運命と闘わねば負け犬になると思いました」そこであの世情に無関心なギルダが、自ら進んで諜報活動に入ったのだ。だれもそれがわからずギルダは敵方の情婦という汚名のまま死んだ▼そこで再びガイのことなのだけど、ギルダはガイと再会したときひとつも喜ばないのよね。ちょっと不自然じゃないの。戦場から恋人が帰ってきたのにさ。要は愛していなかったのよ。ミアのときは号泣したのに、生きて帰った恋人に眉も動かさないなんて。ギルダが国家に命を賭ける思想的人間とはどうにも思えないしねー。こういうどうでもいい役割をガイに振り当てたために、ガイをさっぱり説得力のない男にしてしまったのよ。だれでも世界の一員だ、よって関心と関わりをもたねばならぬ、そこで内戦に参加してやっぱりおれにはどうにもできん、帰ってきたら敵将校の愛人になった恋人を「うまく世渡りしている」と批判しただけで許すでもなければ取り返すでもなく、ストーカーみたいにつけまわし、あげく恋人が殺されたあとで真相を知る。こういうウダウダしたキャラを無理やりにでも登場させないと映画にならないと考えるのは男の撮り方よ。自分の生き方に没頭して死んだミアとギルダがよっぽど勇敢にみえるわ。

Pocket
LINEで送る