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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2014年10月18日

特集 LGBT-映画にみるゲイ101
姉 妹(1969年 ゲイ映画)

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監督 ロベルト・マレノッティ
出演 ナタリー・ドロン/スーザン・ストラスバーグ

ふ~ん、罪なん? 

 仲のいい姉妹が一線を越えて恋人同士になっちゃった。これって近親相姦になるの? で、かわいそうに妹のマルタ(スーザン・ストラスバーグ)は悩むのですね。姉のディアナ(ナタリー・ドロン)は同時通訳として、あちこちの国際会議に出席している知性派だ。2年ほど会っていない。会議で近くまできたからと姉は妹の家に(というより屋敷ですね)会いにいく。妹は年の離れたアレクスと結婚した。アレクスは典型的ブルジョワだ。郊外の広大な邸宅で狩りやパーティに優雅に暮らす。マルタもそれに溶け込んでいる。しかしこの映画は始めから鬱々としたディアナを映し出す。彼女は煩悶をかかえている、そう観客に訴える。仕事はてきぱきとこなし、通訳としてのキャリアは充分、すべて順調なはずの彼女が食堂車でジーッと離れた席にすわる女の子を見つめる。見つめられた女の子は気味悪がって席を立つ。あとで妹に似ているとわかる。男が話しかけてもハナもひっかけない。ディアナはすれちがう人がふりむくような美人である。挿入される回想シーンによって彼女が妹に会いにいくのだとわかる▼自分たちの愛情に危険を感じた妹は、結婚して逃れようとしたし、姉も妹から遠ざかろうと世界中の会議に出ていた。姉妹は再会したもののぎこちない。妹の部屋をみた姉は「昔は使わなかった香水がたくさんある」とか「あなたが普通の暮らしに満足しているみたいなので驚いた」とか、一つから一つ、ケンのあることを言う。アレクスとマルタはセックスレスの関係で、マルタは敷地の手入れをする森番との逢瀬で処理している。アレクスの従兄が遊びにきて、ディアナに誘いをかけるが一蹴される。姉妹はふたりきりになりたくてしかたがないのだが、一飛びにそうもいかないのだというふうに、監督はジレジレさせながら筋を運んでいく▼「やっとふたりきりになれたわね」とディアナ。これは姉妹の仲に見当をつけているアレクスが、従兄をさそって馬車で遠出したのである。「なぜ来たの」と妹は怖い顔で聞く。「会いたくてたまらないからよ」と姉。別れた恋人同士みたいな会話である。姉は自分を棄てて(ト思っている)結婚した妹が許せない。「あなたは変わったわ。空虚な喜劇を演じ続けている」「だとしたら姉さんのせいよ。あなたが少しずつわたしを変えたのよ」「わたしは不幸だったわ。あなたも同じね。見ればわかるわ。違うなら証拠をみせて。わたしはわたしたちの美しい関係を恥じたくない」「そんな話ききたくない。このままで生きたくない。あなたも同じでしょ。わたしも会いたかった。でも憎かった。姉さんをどうみていたか教えてあげるわ。心の底では大嫌いだった。今もね。あなたと暮らすくらいなら自殺するわ」「あげるわ」(ト姉がさしだした茶色の小瓶は、なんだ、青酸カリか。手回しのいいこと)▼とにかく血をわけた姉妹の言うことであるから、憎いだの嫌いだのといったところでどこまでがどうかわからない。夫婦げんかは犬も食わぬが、兄弟(姉妹)げんかだって似たようなものである。妹は「あなたにさわられると虫唾が走るわ。二度と来ないで。とにかくもうあなたにはウンザリ」顔をしかめて言いたい放題。「なにか望みは」と姉がきく。「姉さんから離れたいだけ」。激しい言い合いにもかかわらず姉は妹を風呂にいれ体を洗ってやる。妹も黙って姉の手の動きに任せる。姉は妹の体の一部にふれ「虫唾が走るのはうそね」「…姉さん、背中も洗って」「いいわ」「体の芯まできれいになる。全身の血が沸き立つわ。寒い。眠気が…ディアナ来て。最後まで手伝って」つまり妹の自殺に姉が手を貸すのです。死にゆく妹は姉にそばにいてくれと頼み「あなたがいないと死んでしまう。昔からずっと。でもふたりなら怖くない」。アレクスが従兄と帰ってきたとき、ディアナは虚脱して温室にいた。そこには太陽の光を嫌う陰湿で美しい花が咲いている。それをみてアレクスはすべてが終わったことを知る▼しかしなあ。こんなことでいちいち死なねばならんものでしょうか。姉妹は、一時は「自分たちの家で死ぬまでいっしょに暮らそう」と決めていた。だれに迷惑かけるわけじゃなし、それならそれでよかったと思うけど。問題は妹が二人の関係に罪悪感を持ってしまったことね。姉の方は全然気にしていない、どころか映画では終始積極的。愛情って、たとえ薄まりも弱まりもしなくても形を変えていくものだし、姉妹のただいまの関係が恋人同士から友人や、親子に近い関係になることだってあるのだし。だいいち姉妹だからいくら仲がよくても他人からみたら「けっこうなこと」ですむじゃない。くどくど説明したりいいわけしなくていい恵まれた情況よ。なんとかなったわよ。それを死んでしまったりしては、姉は一生自分たちの関係を許せないじゃないの。生き残ったほうが貧乏くじだわ。ものごと思いつめたらろくなことがない。なんの脈絡もなく思い出したけど「人生はドンマイ、ドンマイ」生きてさえいりゃ、なんとかなるわい…美輪明宏さんの人生相談集、おもしろかったですよ。

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