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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2014年10月20日

特集 LGBT-映画にみるゲイ103
セレブの種(2004年 ゲイ映画)

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監督 スパイク・リー
出演 アンソニー・マッキー/ケリー・ワシントン/モニカ・ベルッチ

ひとり1万ドル 

 粗筋は二本軸になっていましてね。「主人公ジャック(アンソニー・マッキー)は、勤務する大企業が行っている、エイズ治療薬開発にからむ不正を内部告発する」「別れた元婚約者ファティマ(ケリー・ワシントン)がゲイの恋人アレックスとふたりで現れ、ジャックの精子で妊娠したいという。精子バンクは冷凍精子の中身が肩書通りかなんの保証もない。またゲイ同士の女性が養子を取るのは難しい。謝礼としてひとり5000ドル払う」。ジャックは断っていたが引き受ける。理由はの結果、会社は報復手段としてジャックの全財産を差し押さえ、経済封鎖に追い込まれた。そこでの精子提供つまり種付けビジネスを了解した、というわけ▼ファティマはセレブのゲイの女性をジャックに紹介する。みな高学歴でビジネスに成功している。種付け料はひとり1万ドル。ファティマは手数料として10%もらう。最初の訪問者5人のひとりナディアは「養子を取ろうとしたが養子詐欺に騙され、5万ドルも使った。ばからしい、もう自分で産むわ」。オニ「精子バンクでは教養や家柄、髪の色、筋肉のつきかた、健康状態がわからない。男とは大学2年のとき以来よ。ちょっと待って爪をみせて。爪を切ってから前戯に入って。入れるだけじゃだめ」。あれこれ注文を受けながらジャックは仕事を果たす。5万ドルの稼ぎだ。数日後ファティマは別の5人を連れてきた…▼結婚式を目前にしていたジャックとファティマがなぜ別れたのか。ファティマがゲイだったからだ。女とのセックスの真最中にジャックがやってきて一部始終を目撃した。別れるのはそら当然ね。現在はそれから4、5年たつという設定。ファティマに未練のあるジャックは今も独身である。「いつから女が好きだったのだ。君を愛していた。婚約までしたのに。あの女はだれだ。行きずりの女と寝たのか。レズはふしだらだ。男よりたちが悪い。会ったらその場でファックする」「聞きたくないだろうけど、わたしのほうから誘ったの」「つまり君は親戚や友人に結婚式の招待状を出しながら、性のオリエンテーションに挑戦したのか。ゲイがエイズをばらまいている」「同性愛への偏見だわ。だからいうのが嫌だったのよ」「女と寝てなにがわかった」「わたしはプッシーも好きだってこと」「悲しいよ」「落ち込まないで。わたしたちの絆は永遠よ。この子がいるから」(彼女は計画通り妊娠した)。「なにかで読んだ。女は排卵日にうそをつくらしい」「男は生きているとうそをつくのよ」▼以上のようにリー監督はサイドストーリーを巧みにおりまぜながら、映画をふくらませていく。本来なら冒頭のとによる「ゲイ女性を妊娠させるビジネスの成功と失敗」を述べれば、150分も延々この映画をみないですむのである。アレックスはファティマとのあいだにジャックが割り込んでくるのではという不安で、ふたりの関係に一時ヒビが入るとか、種付け希望にマフィアの娘シモーナ(モニカ・ベルッチ)がやってくるとか。そこへジャックの元雇用者が、自分の不始末を隠蔽するためジャックが「不正な種付けビジネスによって証券詐欺を逃れようとしている」と訴えた。このあたりになると、ほとんどの観客はもうそろそろ幕引きにしてほしいと思うのではないか。なにしろジャックが種付けした女性たちはそろって出産の時期を迎え、ジャックはいっきょに20数人の赤ん坊の父親になるのだ。裁判の結果というのがふるっていて「被告を監獄につなぐより、父親としての義務を果たさせるべき」など、ふざけた判決でジャックは無罪になる。いったいこの映画はどこに着地するのか。わからなくなってくる。リー監督のくくりかたはこうだ。ジャックは父性に目覚めファティマとアレックスの子供たちの父として生きていくと決める。なぜなら「君たちを愛している。ぼくは子供たちの父親だ。ぼくたちは家族だ」。リー監督、あなた本気でこんなことしてうまくいくと思っているの? この後の展開は「 キッズ・オールライト 」になるに決まっているじゃないの。ふたりのゲイの女性の間に入って、どっちもの子供を育てようという男性が(絶対とはいわないが)関係性の複雑なからみを思えば、簡単にいるとは思いにくい。あいた口がふさがらないようなエンドのために、せっかくふくらませていた映画はす~と気が抜けてしまいました。

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