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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2014年10月25日

特集 LGBT-映画にみるゲイ108
シスター・オブ・ドラゴン 天女武闘伝(1994年 ゲイ映画)

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監督 アンディ・チン
出演 コン・リー/ブリジット・リン

どこにいったい「許されぬ愛情」が…

 こういう映画がいちばん困るなあ。どう書けというのよ。DVDのパッケージにこうあるのですわ「ハンワンとチョンホイは姉妹でありながら、互いに許されぬ愛情を抱いていることに気づいた父親ユーティは、ふたりを引き離すため双子の姉妹チョースイとチョンホイを連れて、山にこもることを決意する」どう考えたってバリバリのゲイ映画だと思うじゃないですか。ところがだよ。オープニングの2、3分で姉妹ふたりがお互いの顔を見合わせ微笑んでいる、パステル調のシーンが一度きり、それ以外はほとんど全編これ大武闘の連続なのよ。思ったわ。この映画にとってゲイはどうでもよかったのだ、彼女らがゲイであろうとなかろうと知ったことではなかったのだ。国が中国であろうとモンゴルであろうと、いいやインドの密林であろうとアラビアの砂漠であろうと、それすら重要と考えなくても、たいしてさしつかえないような気がする。地球上でさえあれば、海でも山でもニューヨークの五番街でも、北極で泳ぐシロクマが、南極で行進するペンギンが共演したとしても、出演者らがとまどうことはなさそうなのだ。スクリーンに展開するのは空をとぶ秘術、なにもかもうまいことおぼろに隠すピンクの霧、この世の終わりを告げるかのような大爆発(なにが爆発するのかは不明)。みているうちに理由はよくわからないが、観客は混乱が支配する絶体絶命という、あきらめに似た気持ちがこみあがってこないか。助けてくれ、サンク・ジーザス▼自分を励まし、気を取り直して書くとこういう話なのだ。中国武術界の最高峰、天山派の大総帥ユーティには美しい独身の三姉妹がいた。長女・次女と三女は双子の三人だ。長女ハンワン(コン・リー)と双子の妹チョースイとチョンホイ(ブリジット・リン二役)。ある日ユーティは双子たちを連れて山にこもってしまう。長女のハンワンがチョンホイを愛してしまったからだ…だからって組織の最高責任者がさっさと山にひっこんでいいのかよ。公私混同もいいところだろ。武術の団体だから戒律は厳しいうえに厳しいと思える。だからいくら姉が妹を愛したからって、あっというまに昼メロみたいな情事に走るとは思えない。それを親父はそれこそ「あっというまに」引き離すのだ▼もうちょっと手立てがあってもよかったのではないか…そんなこと考えてもいっさい無駄だ。映画は姉と妹の愛の物語なんか放り出し、残された妹チョースイの天地をも溶かす怒りと呪いのマグマを満載し、ノンストップで走りだすのである。争いの根底にあるのは嫉妬か? 姉と双子の妹の仲がよすぎるからもうひとりの妹がひねくれた邪念を抱く。すぐ思い当たる闘争の原因といえばそう考えない? ちがうのよ。物語は若返りの絶技と天山派の総帥の座を狙う後継権力争いという、現実的で生々しい欲得ずくの展開になるのです。そこへ若い僧侶が少林寺の武術書「易筋経」を翻訳することになる。彼がまた…なんというか好青年ではあるのですが、当時第二・第三外国語を習得しているというのは、最高の教育を受けたエリートですから、白皙の秀才を思い描くでしょ。でもちがう。コンビニ弁当でもあてがえば、専門書など放り出してパクつくような、庶民感覚あふれる若い男の子だ▼ものごと少しは「らしい」ってものが要るのとちがうか。この程度ならわざわざゲイという設定でなくても、なんでもよかったのだわ。ラストに申しわけ程度に姉と妹がみつめあうが、もういいの。監督の親切かもしれないけど、お気持ちだけ受け取らせていただくわ。そうそう、最後にいちばんいいところを持っていき、みごと組織と事業を継承する第三の女が面白い存在だった▼そもそもなんでこの映画を見る気になったのだろう。ついでだからそれにふれると、「 ハンニバル・ライジング 」のヒロイン、レディ・ムラサキを演じたのがコン・リーだったのね。わりといい感じで、ほかにどんな映画に出ているのだろうと思ったわけ。大ヒット作「マイアミ・バイス」もあったな。でも反省。ゲイを「許されぬ愛情」ととらえるセンスは過去のものだと思え。

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