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シネマ365日

2014年11月1日

マイティ・ソー (2011年 SF映画)

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監督 ケネス・ブラナー
出演 クリス・ヘムズワース/ナタリー・ポートマン/トム・ヒドルストン

王家の器 

 CG使いまくりの最新映像だけど、内容はとてもクラシックです。下敷きになるのは自制心に欠ける手に負えない少年が、さまざまな困難に出会って分別ある王に成長するシェイクスピアの「ヘンリー五世」、別世界からきた使者が地球のトラブルを解決し惜しまれて自分の星にもどるところなんか「かぐや姫」男版ですね。ともあれケネス・ブラナー監督のメリハリのきいた娯楽映画となりました。主役ソーのクリス・ヘムズワースも、ジェーン博士のナタリー・ポートマンもいい役をもらっているけど、この人がよかったな。ソーの弟・ロキに扮するトム・ヒドルストンです。知性がにじむ物静かな居住まい、ブロンドの髪、端麗な容姿、187センチの高身長の32歳。スクリーンの初見のときから(素敵な役者だな~)と思っていたの。イートン校からケンブリッジですってよ。ンま。ウィリアム王子といっしょの高校ね。ケンブリッジを最優等で卒業後、王立演劇学校に学ぶ。かつてここを首席で卒業したのがケネス・ブラナーです。ブラナーは「ソー」のオーディションを受けに来たヒドルストンがすっかり気にいりロキを任せた。直情径行でわかりやすいソーに比べ、生まれと生い立ちが異なっているロキは、屈折した性格です。ソーは後継の第一子として、帝王教育を受けてきた陽気な子供。ロキは兄が光なら、自分は影の部分を受け持とうとするのですが、ある日自分が血をわけた実子ではないことを知り王家に反旗を翻す。といっても正面から攻めこむような激情型ではない。嘘と裏切りを重ねながら王位と権力を手中にし、自らの謀略によって墓穴を掘り、命を断つ、そんな陰影の濃い青年を好演しました▼性格が明るいソーは、たしかにトップとなって人をひっぱっていくのに適していますが、ちょっと大雑把なところがあり、感情に我を忘れやすい。彼が真に王たる器に成長する、これはブラナー好みの教養課程みたいなところがある映画です。ロキは自分が権力を握ったにもかかわらず臣下がいうことをきかない。戦争好きな兄よりよほど国益のためにもっともな方針をとっているつもりだが、人気がない。これがロキの悩みでして、だんだん彼は腹がたってくる。ちょっと脳天気だった社長を引っ込め、代わりに緻密な専務が代行に就き、まともな戦略を出していくのになぜか社員を巻き込む力がない。社長職に就いたばかりのときは、たいていこういう悩みがあるものですが、ロキも例外ではない。ただし彼の場合は国と国の奪還がかかっていますから悩むだけですまない。血を流して斬りこんでいかねばならぬ。この抜刀戦・地上戦となると理論家のロキは弱いのです。余計なことを考えない兄貴の独壇場である。信長でも秀吉でも家康でも、彼らが天下分け目の戦いのときとった戦略はたったひとつ「迷うな」である▼しかしソーの部下たちはなんでこうみんな弱いの。頼りない連中ばっかりね。ソーを呼び戻しに地球に行こうといってやってきたのはいいが、ロキが派遣した破壊者デストロイヤーというマシンにガンガンふっとばされてばかり。浅野忠信も部下の一人だけど、彼を大きく扱ってくれていたのはDVDのジャケットだけで、映画の中ではさっぱりだったわ。残念ね。おかしかったのは神の国を追放されて地球にきたソーは、パワーがない、というのもパワーの根源である王者たるものが持つべき斧を失ったから。ソーが力をもってアクションやるのは斧にはじまり斧に終わるのだ。アクション映画としては大味すぎるよね。ヘムズワースは190センチ以上の美丈夫で、じつに隆々たる筋肉美。その彼が斧をふりまわすときだけ冴えているというのも残念だったわ。最近こういう傾向が多いのよ。人工的にコテコテの筋肉をつけただけで運動神経そのものの機能をしっかり示してくれないという。スティーブ・マックィーンのような、野生のヒョウみたいな役者が少なくなった。粗筋? これ以上知っていてもいなくても大局に関係ないからいいでしょ。

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