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シネマ365日

2014年11月2日

ペイチェック 消された記憶 (2003年 アクション映画)

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監督 ジョン・ウー
出演 ベン・アフレック/ユマ・サーマン

出たぞ、白い鳩 

 ジョン・ウーっていう監督、稚気愛すべしってところがあると思いません? たとえば本作で、爆発しかかっている実験室の煙があがっている部屋に白い鳩()を飛ばすのよ。(出た~)と思ったね。つぎ。昨日までコンピューターしかいじっていなかった技術者が、イーサン・ハントも失神しそうなカンフーの達人に豹変する。棒術まで使うじゃないの。変身させるにもホドがある。主人公が未来を予測する小道具として持ってきたのがなんですって、サングラスに地下鉄のチケットに、紙の切れ端などの20のアイテム。断捨離だぞ、そんなもの。ユマ・サーマンってとてもきれいで脚の長い女優さんね。彼女のアクションって馬が蹴っているみたいだったけど。そうそ。ユマは生物学者に扮するのよ。物理学者でも化学者でもよさそうなものなのに、なんで生物学者なのよ。ポイズン・アイビー()のギャグだろ。ユマは今回最後までまともな女性だったけど彼女にしちゃ珍しいな。最初ミステリアスにすべりだしたこの映画、進行するにつれ、どんどんジョン・ウー・ナイズされていき、主人公は不死身になるわ、カー・アクションはテンコ盛りになるわ、女は隅においやられるわ(彼の本領は男のドラマです)、二丁拳銃こそなかったけど白鳩は立派に飛んでくれるわ、そしてラストの爆発シーン。なんでもいいからそのへんのもの全部爆発させてやるって勢いでガンガンぶっ壊すのよ。暴れだしたらとまらないジョン・ウー・パワーここに極まる。だからっていうか「人類と地球の未来を救う」大問題を扱っているわりに、具体的な危機がどうの、登場人物のキャラがこうのなんて考えるヒマも必要もなかったわ▼粗筋といえば近未来のお話。コンピューター技術者のマイケル(ベン・アフレック)はフリーで仕事を請けおい、ハイテク企業の極秘プロジェクトに参加、終了後に秘密を守るため彼の記憶はすべて消去される。彼の今回の仕事は業界大手のオールコム社から100億円という巨額の報酬を約束されたプロジェクトだ。ただし期間は3年。長期だが報酬額に魅了されマイケルは引き受けた。プロジェクト完成後マイケルは3年間の記憶を消されもとの生活にもどることになった。しかし彼がオールコム社から出るとき、報酬は全額放棄したという自分のサインと、業務終了後に受け取るはずの物品として、こまごましたガラクタ同然の19のアイテムが封筒に入っていた。20だと聞いていたのになんで19だ、とマイケルは不審がるが、ちゃんとあとで種明かしがあります。マイケルには暗殺者がつきまとう。FBIとオールコム社にやとわれたエージェントが彼の命を狙うのだ。窮地に陥ったマイケルは、オールコム社の研究開発で協力し、かつ恋人であった生物学者のレイチェル・ポーター博士(ユマ・サーマン)の助けをかり、謎をとくために奔走する▼封筒の中のアイテムは、マイケル自身が開発した「未来予知マシン」を破壊するための誘導だったとわかる。マシンが描き出した未来とは、戦争と窮乏と破壊された地球だった。未来がわかればわかるだけ、巨大企業は利益誘導のシステムを開発し、その争奪により戦争が生じ、戦争によって引き起こされた未来をまた予知して、新たな武器やシステムが開発される競争が繰り返された結果なのだ。ここでマイケルは「未来なんか知らないほうがいい」と結論。あまりにあっさりしていて、じゃ、今までの前段はなんだったのかキョトンとしてしまうが、もはや映画はノンストップ。あとはただひたすら、研究室・実験室ついでに社屋もろともの爆破、爆破。そして主人公と悪漢の対決に突き進むのであります▼この作品でみる限りベン・アフレックはそろそろ監督に集中したらどうかと思った。その年のゴールデン・ラズベリー主演男優賞はやっぱり彼だった。ユマ・サーマンもユマでなくてもだれでもよかったし、役そのものもあってもなくても影響なかった。ポイズン・アイビーのほうがよっぽど強烈だったわ。映画を見たあとになにか残るとか残らないとか、そんなことテンからこの映画は要求していないの。2時間ひとつも退屈させないのだから上等といおう。

白い鳩=二丁拳銃とともにジョン・ウーの戦闘場面で必ず飛んでくる定番アイテム。
ポイズン・アイビー=バットマン・シリーズの女性悪役。植物を偏愛し植物が健やかに生育する環境保護にのめりこむ人間嫌い。ハーレクインが唯一の親友。緑色のコスチュームで登場する)

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